終活に関するお金の疑問を解説!費用や財産管理、独身だとどうなる?
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終活の内容を簡単におさらい!
「終活」は、最近では一般に用いられていますが、そもそもの造語の成り立ちを見ると、2009(平成21)年に「週刊朝日」で連載された「現代終活事情 変わりゆく葬儀のかたち」で初めて用いられた言葉です。
「終活」は、「週刊朝日」の連載内容からも分かるように、もともとはもっぱら葬儀及びお墓の準備を行うことを指していましたが、最近の内容としては人生の終末期を迎えるための準備活動のことを指して用いられています。
そして、人生の終末期を迎えるための準備活動としては、相続を念頭においての財産の管理を考えておく必要があります。
終活のやることリストが知りたい方は以下の記事をご覧ください。
【保存版】終活やることリストを公開!本人と子供目線でまとめました
終活の際、資産やお金の管理はどうするべき?
終活の際に行うべき資産やお金の管理とはどのようなことをすることなのでしょうか。
終活の際の資産やお金の管理は、相続を念頭におく必要があります。
以下、不動産、動産、預貯金、現金、株式、投資信託、クレジットカード、貸金庫、パソコン、スマホやタブレットの順に、それぞれの管理について見てみましょう。
不動産の管理
不動産について記録して整理しておく必要がある情報は以下のようなものになります。
❶不動産は所有しているのか借りているものか
❷所有しているときは購入したものか相続したものか
❸購入したものであれば売買契約書はあるか
❹登記済権利証や登記識別情報はあるか
❺借りているものであれば賃貸借契約書はあるか
❻売買契約書や賃貸借契約書などはどこに保管しているか
❼不動産の購入や賃貸などに関連する資料はどこに保管しているか
❽不動産の固定資産税の納付書はあるか
❾不動産の登記簿謄本はあるか
❿不動産の占有者はいるか
⓫不動産に担保が設定されているか
⓬土地境界は明確になっているか
⓭建物建築請負契約書等はあるか
⓮建物の建築図面はあるか
動産の管理
動産を管理する場合、重要な価値のある動産かどうかが重要になります。
残しておく動産か処分する動産かを明確に分け、日ごろからいわゆる「断捨離」をしていなければ、遺族が遺品の動産を整理するのに大変な思いをすることになってしまいます。
動産には、自動車、自転車、電気製品、家具、洋服、宝石類、貴金属類、絵画、書画、骨とう品、書籍などがあります。
相続の対象となる重要な価値のある動産について記録して整理しておく必要がある情報は以下のようなものになります。
❶購入したときの売買契約書はあるか
❷書画、絵画の場合、作者は誰か
❸鑑定者や作品に関する記録はあるか
❹市場価格を判断する資料はあるか
❺骨とう品の場合、いつころ誰からいくらで購入したか
❻動産やその関連資料はどこに保管しているか
預貯金の管理
複数の預貯金口座を並行して利用している場合には、終活の一環として、利用頻度や利用目的を考えてなるべく利用する預貯金口座を絞るとともに、利用しなくなった預貯金口座については解約して整理するのが望ましい預貯金の管理といえます。
預貯金は、金融機関名、支店名、種類、口座番号、普通預金・定期預金の別等によって特定されます。
また、預貯金の預入れ、引き出しには、通帳、届出印、証書、キャッシュカードが必要になります。
預貯金について記録して整理しておく必要がある情報は以下のようなものになります。
❶金融機関、支店名はどこか
❷預貯金の種類、口座番号は何か
❸それぞれの預貯金残高はどれくらいか
❹通帳、届出印、キャッシュカードはどこに保管しているか
❺クレジットカード利用料金や公共料金などが自動引き落としになっている口座名は何か
❻インターネット銀行の利用はあるか
❼キャッシュカードの暗証番号を記載したメモはどこに保管しているか
現金の管理
現金について記録して整理しておく必要がある情報は以下のようなものになります。
❶税金、公共料金、保険料、未払い金を支払うために用意した現金なのか
❷生活費のための現金なのか
❸他の用途あるいは目的があっての現金なのか
株式の管理
株式について記録して整理しておく必要がある情報は以下のようなものになります。
❶どの会社の株式を何株保有しているか
❷どのような種類の株式を何株保有しているか
❸株式を保有している目的は何か
❹株式保有が投資目的であれば運用報告書はどこに保管しているか
❺株式を取得したのはいつか、書類はあるか
❻株式の運用益はどの程度あるか
❼株式の現在価値はどの程度あるか
❽自社株の場合には発行株式数はいくらか、事業承継のために何を望むか
❽自社株の場合には株主名簿、自社の計算書類や重要書類はどこに保管しているか
投資信託の管理
投資信託について記録して整理しておく必要がある情報は以下のようなものになります。
❶投資信託の販売会社(金融機関や証券会社など)はどこか
❷投資信託の口座開設に関連する書類はあるか
❸販売会社からの郵便物はあるか
❹通帳はあるか
クレジットカードの管理
複数のクレジットカードを利用している場合には、終活の一環として、不用なクレジットカードを解約して枚数を減らすのが望ましいクレジットカードの管理といえます。
クレジットカードについて記録して整理しておく必要がある情報は以下のようなものになります。
❶クレジットカード名は何か
❷クレジットカードの有効期限はいつか
❸クレジットカードの暗証番号を記載したメモはどこに保管しているか
貸金庫の管理
貸金庫について記録して整理しておく必要がある情報は以下のようなものになります。
❶貸金庫使用契約書により管理されている金融機関はどこか
❷貸金庫には何を保管しているか
保険金
保険金について記録して整理しておく必要がある情報は以下のようなものになります。
❶保険金の種類は何か
❷誰が保険料を負担しているか、被保険者は誰か
❸保険金の受取人は誰か
パソコン、スマホやタブレットの管理
パソコン、スマホやタブレットには、個人情報が保存されています。
パソコン、スマホやタブレットの利用者は、ログインパスワードを決めた本人ですから、ネット銀行やネット証券の口座、写真データ、連絡先などの個人情報を確認できます。
しかし、本人が亡くなった後においては、遺族がログインパスワードを知らなければ、パソコン、スマホやタブレットの個人情報にアクセスできないということになります。
そのような事態を避けるためには、家族とそのログインパスワードを共有しておく必要があります。
パソコン、スマホやタブレットの共有方法としては、万が一のため家族がパスワードを知ることができる手段について生前から話をしておくことが必要です。例えば、白地のカードサイズの紙を用意し、パスワードを記入した上で、財布の中に入れておくことや預金通帳や実印などと一緒に保管しておく旨を家族と共有しておく必要があります。
身寄りなしの終活における資産管理
身寄りのない独り身の方が終活する場合、どのように資産管理をすればよいのかについて解説します。
身寄りのない独り身の方は、相続人がいないので、特別の事情のない限り、遺産は国庫に帰属されます。
身寄りのない独り身の方が、亡くなった後に遺産がどのようになろうと意に介さないのであれば、資産管理についても特段の手当てをしないまま、亡くなるまで生活することになるでしょう。
そして身寄りがなくても、自分が元気に生活できている間は資産管理に注意を払う必要もないわけです。
しかし多くの方は、たとえ身寄りがなくても、生活していかなければならないので、老後のことに思いを馳せないわけにはいきません。
加齢とともに、身体的に日常の買い物にも支障が出てくること、入退院を繰り返すことも想定されます。そうなれば終活を切実な問題として捉える必要があるでしょう。
そこで、身寄りのない独り身の方が、効率的に終活で資産を管理する際の注意点や重要なポイントについて見てみましょう。
身寄りのない独り身の方は、以下の3つに分けて資産管理を考えておかなければなりません。それは「委任」「任意後見」「死後事務委任」で、公正証書で契約を締結することで確実に目的をかなえることができるというものです。ひとつずつ見てみましょう。
委任契約公正証書
委任契約公正証書とは、まだ元気で資産管理を十分できる人が、高齢等で外出が大変になることに備え、資産管理が自分で十分できるうちからある一定の行為を代わりにしてもらうために、信頼できる方との間で公正証書で契約を締結することです。
委任契約は、資産管理を他人に任せる契約ですから、受任者に勝手なことをされないよう、どのような行為につき代理権を付与するか慎重に考え、明確に定めておく必要があります。
委任契約で資産管理の代理権を付与する内容は、以下の❶~❾のようになります。
❶不動産、動産等全ての財産の管理、保存に関する事項
❷各種金融機関における、委任者名義の預貯金に関する払戻し、預入れ、口座開設、振込依頼、解約、その他全ての取引に関する事項
❸証券会社、保険会社との全ての取引に関する事項
❹生活費の送金、生活に必要な財産の取得、物品の購入、家賃・地代・年金その他の社会保険給付等定期的な収入の受領及び家賃・地代・公共料金等定期的な支出を要する費用の支払いに関する事項
❺医療契約、入院契約、介護契約(介護保険制度における介護サービスの利用契約、ヘルパー・家事援助者等の派遣契約を含む)、その他の関連福祉サービス利用契約に関する事項
❻登記申請、供託の申請、住民票・戸籍謄抄本・登記事項証明書等の請求、税金の申告・納付等行政機関に対する一切の申請、請求、申告、支払い等に関する事項
❼要介護認定の申請及び認定に関する承認、又は審査請求に関する事項
❽復代理人(代理人によって選任される代理人)の選任並びに事務代行者の指定に関する事項
❾以上の各事項に関連する一切の事項
また、受任者に任せきりにしないで、定期的に必ず報告させ、必要があれば報告を求めることができるようにしておくことも重要なことになります。
さらに、受任者との間に金銭トラブルを起こさないよう、受任者の報酬、事務処理費用の負担などを明確にしておきましょう。
任意後見契約公正証書
任意後見契約公正証書とは、まだ元気で資産管理を十分できる人が、将来、認知症等により自分の資産管理が自分でできなくなった場合に備え、判断能力が十分な間に、将来自分の資産管理を代わりにしてもらうために、信頼できる方との間で公正証書で契約を締結することです。
任意後見契約は、判断能力が実際に不十分な状況になった後に家庭裁判所が任意後見監督人を選任して任意後見契約の効力が生じ、受任者が資産管理をすることになるので、委任者の判断能力がずっと十分であれば、契約の効力が発生することはありません。これが、委任契約公正証書との違いです。
自分の判断能力が低下したときに備えて、信頼できる方に自分の資産管理を委ねておくというという終活を行う場合には、任意後見制度が最も適しているといわれています。
任意後見契約で資産管理の代理権を付与する内容は、以下の❶~❾のようになります。
❶不動産、動産等全ての財産の管理、保存及び処分に関する事項
❷~❾は、上述した委任契約で資産管理の代理権を付与する内容と同じ
この契約は、公正証書による契約締結後、公証人からの嘱託により法務局に登記されます。
そして、この契約を結んでおけば、自分の判断能力が低下した後に、任意後見人が任意後見契約で決めた事務について、家庭裁判所が選任する「任意後見監督人」の監督の下に自分を代理して契約をすることで、自分の意思に従った適切な支援をしてもらうことが可能になります。
死後事務委任契約公正証書
死後事務委任契約公正証書とは、自分の死後において処理が必要となる様々な手続きの履行をしてもらうために、信頼できる方との間で公正証書で契約を締結することです。
死後事務委任契約は、資産管理だけでなく、自分の死後の全てのことを実施してもらうように契約することになります。
死後事務委任契約で死後事務を委任する内容は、以下の❶~❼のようになります。
❶関係各所への連絡事務
❷通夜、告別式、火葬、納骨、埋葬、永代供養に関する事務
❸医療費、施設利用費、公租公課等債務の清算及び施設等入所一時金の受領に関する事務その他一切の債権債務の清算事務
❹家財道具及び生活用品の処分に関する事務
❺行政官庁への各種届出及び取下げ事務
❻火葬許可書その他の各種書類の受領事務
❼以上の各事務に関する費用の支払い事務
なお「委任者は受任者に対し、上記の各事務処理にあたり、受任者が復代理人を選任することを承諾する」旨の条項を設けるのが一般的になっています。
死後事務の委任は、自分が亡くなった後の様々な処理に関する委任になります。
自分の死後を見据え、身寄りのない独り身の方には終活としての死後事務委任は欠かせないことになります。
以上が、死後事務委任契約公正証書で資産管理を含む死後事務を委任する際の注意点や重要なポイントになります。
終活にかかる費用はいくら?
終活の費用についていくつかの項目に分け、金額の目安をご紹介します。
葬儀代金
・10人以上の一般的な葬儀⇒約40~200万円
・4〜5人規模の家族葬⇒約33~45万円
・通夜を省く一日葬⇒約28~40万円
・儀式なしの直葬⇒約8~20万円
墓代
・墓石代+永代使用料+工事代⇒約154~200万円
・納骨堂⇒約93万円
・樹木葬⇒約72万円
・墓地年間管理費⇒約1万円
その他の費用
・エンディングノート⇒数百円~数千円
・専門業者に生前整理を依頼⇒数十万円
・仏壇購入費⇒約73万円
・遺品整理費用⇒約47万円
・遺言(弁護士等)費用⇒約69万円
・相続(行政書士等)費用⇒約49万円
・空き家処分費用⇒約110万円
その他葬儀の形態や、お墓の種類、物や財産の整理をするかどうかによって異なり、費用には大きく差が出てくることが考えられますか、総額で約80~300万円ほどが終活の一般的な費用だと考えられます。
まとめ
この記事では、終活とはどういうことか、終活としての資産やお金の管理はどうするべきか、身寄りのない独り身の方が終活で資産を管理する際の注意点や重要なポイントとは何か、終活にはいくらくらいの費用がかかるのかについて解説しました。
終活は、ご自分の人生の歩みに一区切りをつけ、残される家族のために行うとても大切なものです。
上述したように、終活としてやるべきことは多く、ご自分の手に負えないと思われる方もおられるのではないでしょうか。
終活をスムーズに進めるためには、弁護士、司法書士、行政書士などの専門家はもちろん、相続のプロフェッショナルである「相続相談士」にぜひ一度相談することをおすすめします。
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相続は十人十色、十家十色の事情や問題があるもので、その解決策は一通りではないものです。
本記事で抱えている問題が解決できているのであれば大変光栄なことですが、もしまだもやもやしていたり、具体的な解決方法を個別に相談したい、とのお考えがある場合には、ぜひ相続のプロフェッショナルである「相続診断士」にご相談することをおすすめします。
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