死亡後の携帯解約・引継ぎの手続きとは?未払金やサブスク等の注意点も解説
死亡後の携帯電話・インターネット解約手続きの全体像
携帯電話やインターネットの解約手続きは、実はとても簡単です。手続きの基本的な流れは次の通りです。
- 契約している会社に連絡する
- 解約または承継の手続きを依頼する
- 手続きが完了する
電話やインターネットで手続きを進める方法もありますが、店舗で直接行うことも可能です。
携帯電話の解約手続きとは
以下では、携帯電話の解約手続きに関して特に重要な事項を説明します。
契約先を確認する方法
亡くなった方の携帯電話の契約先がわからない場合、まずは料金の支払い状況を調べてみましょう。以下の方法で確認できます。
- 明細書を探す
- 銀行口座の引き落とし履歴を確認する
- クレジットカードの利用明細をチェックする
これらを調べることで、多くの場合、契約先が判明します。
もしこれでも契約先が特定できない場合は、銀行口座を凍結する方法もあります。口座が凍結されると、引き落としが停止し、契約先から未払い通知が届く可能性があります。通知を受け取ることで契約先を確認できるのです。
ただし、口座凍結後は入出金ができなくなるため、他の手続きに影響が出ないよう事前に準備をしておく必要があります。
契約先での手続き方法
携帯電話の解約手続きは、契約している会社によって異なります。大手キャリアであるau、ドコモ、ソフトバンクの場合、全国に店舗があるため、最寄りの店舗で手続きするのが一般的です。事前に来店予約をしてから訪問すると、スムーズに対応してもらえます。電話で問い合わせをしても、結局は店舗での手続きを案内されることが多いので、最初から店舗に行く方が効率的です。
一方で、格安料金の通信サービスを利用している場合は、手続き方法が異なることがあります。Y!mobileのように店舗があるサービスでは、大手キャリアと同じように来店予約をして店舗で手続きを進められます。しかし、楽天モバイルやUQモバイルなど、店舗を持たない会社も多く、その場合は電話やインターネットを利用して手続きを行う必要があります。
どの会社で手続きする場合も、事前に必要な書類や情報を確認しておくことが大切です。契約者情報や身分証明書が必要になることがあるため、公式サイトや問い合わせ窓口で確認しておくと、手続きがスムーズに進みます。
解約と承継の違いについて
亡くなった方の携帯電話契約については、「解約」か「承継」のどちらかを選んで手続きを進めます。それぞれの違いを簡単に説明します。
まず、「解約」は契約を終了させる手続きです。解約をすると、その携帯電話の利用は停止されます。解約日までに発生した利用料金は支払う必要があるため、請求書を確認して忘れずに支払いを済ませましょう。
一方、「承継」は契約者を変更する手続きです。これにより、亡くなった方が使っていた携帯電話を新しい契約者が引き続き利用できるようになります。これは名義変更とも呼ばれます。
ただし、すべての通信会社が承継手続きに対応しているわけではありません。承継を検討する場合は、契約している会社に事前に確認することをおすすめします。
手続きに必要な書類
携帯電話の手続きは、多くの場合、相続人が行います。ただし、一部の契約会社では代理人による手続きが可能な場合もあります。事前に契約会社へ確認しておくと安心です。
手続きに必要な書類は以下のようなものがあります。
- 亡くなった事実を証明する書類
例:除籍謄本、死亡診断書、葬儀案内状など - 故人の携帯電話に関連するカードチップ
例:SIMカード、auIDカード、UIMカードなど - 来店者の本人確認書類
例:運転免許証、マイナンバーカードなど
必要な書類は契約会社によって異なる場合があります。そのため、手続き前に契約会社へ問い合わせて、必要なものを確認しておくことをおすすめします。
インターネット契約の解約・変更手続き
インターネット回線やプロバイダサービスの解約や名義変更は、事業者ごとに手順が少し異なりますが、基本的な流れはほとんど同じです。以下に解約と名義変更それぞれの手続き方法を説明します。
- 解約の場合
まず、契約している事業者に連絡し、契約者が亡くなったことと解約の希望を伝えます。電話や事業者のホームページにある解約フォームから手続きを進められる場合もあります。必要に応じて、死亡診断書のコピーなどの書類を提出します。また、レンタルしている機器(モデムやルーターなど)は事業者の指示に従って返却が必要です。未払いの料金や違約金がある場合は、後日案内に従って支払います。 - 名義変更の場合
名義変更を希望する場合も、事業者に連絡するか、専用フォームから申請を行います。戸籍謄本など、死亡と相続関係を証明する書類を提出する必要があります。名義変更後、新しい契約者が支払方法を設定しますが、それまでの間は請求書が郵送され、コンビニなどで支払う形になることもあります。 - 必要書類
解約の場合、多くの事業者では書類の提出は不要ですが、死亡診断書や戸籍謄本が必要な場合もあります。一方、名義変更では戸籍謄本や相続関係を示す書類、新しい契約者の身分証明書(運転免許証など)が求められます。また、名義変更が可能な場合でも、相続人に限定されることが一般的です。
一部の事業者(例:ソフトバンク)は名義変更に対応しておらず、解約のみとなる場合もあります。手続きの詳細は契約している事業者に直接確認するのがおすすめです。
解約が必要なその他のサービス(サブスク等)
亡くなった方が契約していたサービスには、携帯電話以外にも解約が必要なものが多くあります。代表的な例を以下に挙げます。
- クレジットカード
- 有料のオンラインサービスや会員登録
- スポーツジムの会員契約
- 新聞や雑誌の定期購読
- 電気・水道・ガスなどの生活インフラ契約
- 定期購入やサブスクサービス(食品、日用品など)
- 動画配信サービス(Netflix、Amazonプライムなど)
- インターネット上の有料会員サービス
- 駐車場や建物の賃貸契約
これらの契約は、放置すると費用が引き落とされ続ける場合があります。契約内容を確認し、必要に応じて解約手続きを進めましょう。それぞれのサービスで手続き方法が異なるため、事前に問い合わせるとスムーズです。
携帯電話の解約・引継ぎに関する注意点
携帯電話の解約・引継ぎには注意する点があります。
解約に伴う影響と対処法
携帯電話の解約はシンプルに思えますが、解約後に想定外の不便が生じることもあります。
故人が利用していた携帯電話契約には、メールアドレスやポイント、インターネット回線など、影響を受けるサービスが複数ある場合があります。また、解約を急ぐことで、重要なデータを失ったり名義変更ができなくなったりするリスクもあります。
解約に伴う影響を事前に確認し、適切に対処することが大切です。
キャリアメールアドレスが使えなくなる
亡くなった方が携帯電話会社の提供するキャリアメールを使っていた場合、解約するとそのメールアドレスは使えなくなります。一度使えなくなったキャリアメールアドレスは、再取得がほぼ不可能です。
そのメールアドレスを使って連絡を取り合っている相手がいる場合は、解約を急がないよう注意してください。連絡先を変更したり、重要なデータを保存したりしてから手続きを進めましょう。
なお、家族が契約を引き継ぎ、名義変更を行えば、キャリアメールは引き続き利用可能です。名義変更が可能な場合は、この方法を検討するのも一つの手です。
携帯会社のポイントが引き継げない場合がある
携帯会社のポイントは、名義変更する場合でも引き継ぎできないことが多いです。携帯会社ごとにポイントの取り扱いルールが異なるため、事前に確認することが重要です。
ポイントの引き継ぎが可能かどうかを知りたい場合は、携帯会社の定款や利用規約を確認するか、カスタマーサポート窓口に問い合わせてみましょう。ポイントが失効する前に手続きを進めることをおすすめします。
インターネット回線の名義変更・解約手続きも必要
故人が携帯電話とインターネット回線をセット契約して割引を受けていた場合、どちらも個別に手続きが必要です。携帯電話を解約しても、同じ会社のインターネット回線の契約は自動で終了しないので注意してください。
インターネット回線の名義変更や解約手続きは、携帯電話のように店舗に行く必要はほとんどありません。多くの場合、電話や郵送で手続きが完了します。事前に必要書類を確認してスムーズに進めましょう。
解約を急がない方が良い場合
故人の携帯電話をそのまま契約しておくと料金が発生するため、早く解約しようと考える人も多いでしょう。しかし、解約を急がず、状況によっては少し待つ方が良い場合もあります。
故人のデータをバックアップしてから解約する
携帯電話の解約を進める前に、大切なデータをバックアップしておくことが重要です。解約後、データが完全に消えることがあるため、慎重に対応しましょう。
携帯電話に保存されているデータには、写真、動画、メッセージ、連絡先など、思い出や重要な情報が含まれています。これらが失われないように、解約前にパソコンやクラウドストレージに保存しておくと安心です。パソコンの場合、USBケーブルで接続してデータを転送できます。クラウドサービスを利用する場合は、専用アプリを使ってアップロードするのが便利です。
解約後はデータを復元できない場合もあるため、バックアップを必ず行いましょう。
家族の名義確認や変更が必要な場合
故人が利用していた携帯電話の名義を確認したり、名義を家族に変更したい場合は、解約を急がない方が良いでしょう。携帯電話を解約してしまうと、契約内容を調べることができなくなるだけでなく、名義変更の手続きも難しくなってしまいます。
特に、家族が故人の携帯電話番号やメールアドレスを引き続き使用したい場合、名義変更は必要不可欠な手続きです。そのため、契約内容を確認しながら手続きを進めることが大切です。解約を検討する際には、まず契約している携帯会社に問い合わせ、名義変更が可能かどうかを確認してから進めるようにしましょう。
解約時の未払い金や費用に関する注意
携帯電話を解約すると、未払い金や解約金を支払わなければならない場合があります。
契約内容を確認して最適な解約時期を選ぶ
携帯電話の契約には、特定の期間内に解約しないと解約金が発生する場合があります。解約金が発生する場合には、契約を続けた場合の毎月の料金と比較して、どちらが経済的に負担が少ないかを検討しましょう。
契約内容をしっかり確認し、無駄な出費を抑えつつ、負担の少ないタイミングで手続きを進めることをおすすめします。
口座凍結後の未払い金支払い方法
携帯電話の利用料金を支払っていた銀行口座が、先に相続手続きで凍結されている場合があります(クレジットカードと連動している場合も同様です)。この場合、携帯会社が契約者の死亡を知らないため、料金が引き落とされず、未払いの通知が送られてくることがあります。
もし解約手続きより前に未払いの通知が届いた場合は、解約手続きと一緒に未払い分の支払いも済ませましょう。手続きがスムーズに進むよう、事前に必要な書類や支払い方法を確認しておくことをおすすめします。
死亡後の携帯電話解約・承継手続きの詳細
ここでは、死亡後の契約電話の解約・承継手続きについて細かく説明します。
携帯電話をそのまま利用する場合
故人の携帯電話をそのまま使い続けたい場合、名義変更の手続きを行えば利用できます。まずは、必要な書類を準備しましょう。ただし、必要な書類はキャリアによって異なるため、事前に問い合わせて確認することをおすすめします。以下はドコモの場合の一例です。
- 相続関係を証明する書類(例:戸籍謄本)
- 継承者の身分証明書(例:運転免許証、マイナンバーカード)
- 利用者の身分証明書(継承者と利用者が異なる場合のみ)
- 支払いに必要な情報(継承者名義のクレジットカードなど)
手続きは契約している携帯ショップで行います。来店前に予約を取り、準備した書類を持参してショップを訪れましょう。書類を提出し、名義変更届を記入すれば手続きが完了します。各キャリアの必要書類や手続き内容を確認した上で、手続きを進めてください。
解約手続きができる人とその条件
亡くなった方が使っていた携帯電話を解約できるのは、基本的に家族や法定代理人、または特定の条件を満たした代理人に限られます。解約をする際には、その電話番号が再利用できなくなることも忘れないようにしましょう。
解約手続きが可能な人物は、携帯会社によって異なります。以下は各キャリアの例です。
- ドコモ
手続きをする人に特別な制限はありません。ただし、亡くなった方の死亡事実の証明や手続きを行う人の本人確認、関係性を証明する書類が必要です。 - au
手続きできるのは、親権者、家族、法定代理人、または施設関係者です。 - ソフトバンク
手続きできるのは、法定相続人や契約者(携帯の利用者と契約者が異なる場合)に限られます。
携帯会社によって条件が異なるため、解約手続きを進める前に、必ず契約している携帯会社に問い合わせて確認してください。また、必要な書類や具体的な手続き方法についても事前に相談しておくとスムーズです
解約の具体的な流れ
以下では、解約の具体的な流れを紹介します。
ショップに来店予約をする
亡くなった方の携帯電話の解約は、最寄りのショップで手続きできます。ただし、予約なしで来店すると手続きができない場合が多いため、事前に電話やWebで来店予約をするのが安心です。
予約をする際には、以下の情報を確認しておくとスムーズです。
- 解約する携帯電話の番号
- 契約者または利用者が亡くなったこと
- 必要な持ち物や書類
また、大手キャリア以外の携帯会社では店舗がない場合もあります。その場合、郵送やオンラインでの手続きが必要になることがあります。手続き方法は各携帯会社によって異なるため、まずは公式サイトやサポート窓口で詳細を確認してから進めましょう。
必要書類を準備する
携帯電話の解約手続きをスムーズに進めるため、来店予約時に案内された必要書類をしっかり準備しましょう。必要な書類は携帯会社ごとに異なりますが、以下が一般的な例です。
- ドコモの場合
死亡を証明する書類(死亡診断書や葬儀案内状など)
手続きを行う人の本人確認書類 - auの場合
死亡を証明する書類(死亡診断書や葬儀案内状など)
手続きを行う人の本人確認書類
来店者と故人の関係を証明する書類(家族以外の場合) - ソフトバンクの場合
死亡を証明する書類(死亡診断書や葬儀案内状など)
手続きを行う人の本人確認書類
携帯会社によっては、手続きを行う人と故人が家族でない場合、関係性を証明する追加書類が必要になることもあります。予約時に携帯会社へ確認し、必要な書類を漏れなく用意しておきましょう。
店舗で解約または承継の手続きを行う
予約した日時にショップを訪れ、解約または承継の手続きを進めます。解約手続きが完了すると、その携帯電話は使えなくなるため注意が必要です。
亡くなった方の携帯電話に保存されている連絡先やデータは、事前にバックアップを取っておくと安心です。また、可能であれば相続手続きが落ち着いてから解約を進めると、余裕を持って対応できます。必要書類を忘れずに持参し、スムーズに手続きできるよう準備しておきましょう。
専門家への相談を検討する際のポイント
携帯電話の解約や名義変更、相続に関連する手続きは、専門的な知識が必要になる場合があります。
特に、相続人間での意見の食い違いや、複雑な契約内容に直面した場合は、専門家に相談することで解決策が見つかることも多いです。
携帯電話の解約・承継について専門家への相談を検討する際のポイントをまとめました。
弁護士に相続相談をするメリット
携帯電話を解約すべきか、名義を引き継ぐべきか迷った場合、弁護士に相談することで法的な観点から最善の判断ができます。
弁護士は相続に関する法律に詳しく、遺産分割や相続人間の調整も含めて適切なアドバイスを提供します。
複雑なケースにも対応できるため、安心して手続きを進めることができます。
また、携帯電話の解約をはじめとした相続手続きに悩んだときは、相続診断士に相談することも一手です。当サイト「円満相続ラボ」では、相続診断士による無料相談窓口がご利用いただけます。どうぞお気軽にご相談ください。
複雑なケースへの対応方法
携帯電話の解約・承継について複雑な問題がある場合にも、弁護士は有用です。
相続人間で意見が分かれる場合の対処
携帯電話の解約や名義変更について、相続人同士の意見が一致しない場合、弁護士が中立的な立場で調整を行います。
法律に基づいて状況を整理し、公平な解決策を提案することで、相続人全員が納得できる形で話し合いを進めることができます。
これにより、感情的な対立を避け、合意形成をスムーズに行いやすくします。
携帯電話契約が複数ある場合の整理方法
故人が複数の携帯電話契約を所有していた場合、それぞれの契約内容や条件を確認し、どの契約を解約するか、どの契約を引き継ぐかを判断する必要があります。
弁護士は、契約内容を分析し、優先順位を明確にすることで、効率的な整理方法をアドバイスしてくれます。
これにより、手続きの手間を最小限に抑えることが可能です。
故人の未払金や未解約サブスクリプションの処理
故人が携帯電話契約に関連して未払いの料金や、解約されていないサブスクリプションサービスを残している場合、これらの処理も必要になります。
弁護士は、未払い金やサブスクリプション契約の法的な処理手順を提示し、相続人の負担を軽減します。
相続財産として契約をどう扱うかの法的アドバイス
携帯電話の契約が相続財産とみなされる場合、その扱いについて法的な判断が求められることがあります。
弁護士は契約の価値や法的義務を評価し、相続財産として適切に取り扱うための支援をしてくれます。
これにより、法的リスクを回避しつつ相続手続きを円滑に進めやすくなります。
弁護士の専門的なアドバイスを受けることで、複雑なケースでも安心して手続きを進めることができます。
【無料相談】相続に関するお悩みは相続診断士へ
相続は十人十色、十家十色の事情や問題があるもので、その解決策は一通りではないものです。
本記事で抱えている問題が解決できているのであれば大変光栄なことですが、もしまだもやもやしていたり、具体的な解決方法を個別に相談したい、とのお考えがある場合には、ぜひ相続のプロフェッショナルである「相続診断士」にご相談することをおすすめします。
本サイト「円満相続ラボ」では、相続診断士に無料で相談できる窓口を用意しております。お気軽にご相談ください