父が「退職金を株式投資で運用して増やす」と言ってます。家族の負担になるのではと不安です。

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終活

はじめに:退職金を株式投資に回すことは賢明な選択か?

株式投資というと確かに「資金が増える」イメージがあるかもしれません。お父様も何らかの勝算があってのことかと思います。ただし、退職金というのは老後の資金として替えのきかない大事な資金です。ですので、「資金が減らないように増やす」ということを実現できるようなリスクとリターンのコントロールがポイントではないかと思います。

株式投資のリスクとリターンを正しく理解する | 株式投資が老後資金に与える影響とは?市場の変動や予期せぬ事態に備えるための知識と心構え

私は岡三証券株式会社に約8年勤務した後に、独立系ファイナンシャルアドバイザー(通称:IFA)として現在8年目になります。証券業界に携わって合計15年以上になりますが、個別銘柄で良い思い出も悪い思い出もたくさんあります。

特に退職金という大切なお金が万が一値下がりしたことを考えると気が気ではありません。

私が大学を卒業し、岡三証券株式会社に入社したのは2009年4月です。当時はリーマンショックがあり、日経平均は1万円割れ。ほとんどの方が大きな損失を抱えていました。

そこから時は流れ、日経平均は今年7月には4万2000円を突破しました。栄光も挫折もあるのが株式市場と言えるかもしれません。一方で、時代の変化についていくことができず、経営破綻により上場廃止となりただの紙切れとなってしまった株式もあります。例えば、日本航空(2010年)、タカタ(2017年)、レナウン(2020年)などは一世を風靡した企業ではありますが、上場廃止になった過去があります。

退職金を株式投資に回す場合のリスク管理と資産分配方法 | 退職金の一部を投資に回し、残りを安全資産に保つ戦略-資産運用の「3つのポイント」で安心を確保する

そもそもお金を働かせるという言葉は、『投機』『投資』『資産運用』『資産形成』などさまざまな言葉があります。今回の退職金についてはこの4つの言葉の中でも『資産運用』をしていただくことをおすすめします。

資産運用とは既にある資産をバランスよく効率的に活用することです。今回は資産運用で成功するための3つのポイントをお伝えします。
1.目標設定:ゴールから逆算する
2.ポートフォリオ構築:金融資産を3つに分ける
3.実行と改善:進捗確認とリバランス

まず資産運用においても目標を持っておくことは重要だと考えます。目標があるとどの程度のリスクを取ればよいか?どのくらいの資金が必要か?といったことが明確になってくるからです。
目標を設定する上での一つの目安として、ご自身が生活していくためにどの程度の利益を出す必要があるか?ということ軸にも目標設定してみてください。資産運用を検討する場合は、ご自身の金融資産を3つの財布に分けることをお伝えしています。1つ目は『預貯金』、2つ目は『攻めの資産』、3つ目は『守りの資産』です。

『預貯金』は生活費の 6 か月分、『攻めの資産』は株式型投資信託を中心に、『守りの資産』は債券で検討していくことを推奨しています。まずは『預貯金』をしっかりと確保したうえで、『攻めの資産』と『守りの資産』を考えていきましょう。株式投資をどうしてもしたい場合は、この『攻めの資産』の運用予算のさらに一部から始めることをおすすめします。

家族の負担を避けるための「最悪のシナリオ」対策 | 家族に相談すべきタイミングと事前に確認するべき事項 | 株式投資の失敗が家族に与える影響を最小限に抑える方法

冒頭にもお伝えしたとおり、株式投資で失敗した人を私はたくさん見てきました。特に大きなお金が入ったタイミングで気持ちも大きくなって「株式投資をやってみよう」という人は少なくありません。株式投資をするということは株式市場に参戦するということです。

市場にはプロ投資家といわれる機関投資家もいます。素人がプロ野球選手と野球で勝負して勝てることはあり得ないことですよね。まさにそういった環境で株式投資をして勝っていく必要があると思っていただけると少しは株式投資の難しさのイメージが湧くのではないでしょうか。

ご家族にも生活費には全く影響を及ぼさない資金から始めること、投資する会社の数は最低でも10社に分けること等、きちんと理解を得られるように工夫しましょう。

また認知症や相続となると証券口座は凍結されてしまいます。きちんと取引証券会社はどこなのか?を事前にお伝えしておくことも強くお勧めします。

株式投資と老後資金を両立させるために今すぐできること | 長期的視点での投資と、家族を巻き込んだ定期的な運用状況の見直し

証券業界で 15 年以上携わっている私の印象ですが、株式投資で成功している人はごくわずかだと思います。

そのわずかに入るためには、しっかりと日々勉強していただく必要があると思います。私も日々、投資の情報収集を行うという習慣が付いています。最低でもそういった習慣を身に付けることが必要だと思いますし、最初のうちは投資に関わる資格を取ってみたり、投資の学校といったものに通ってみるのも一つだと思います。

少し大変なイメージを持たせてしまうかもしれませんが、株式投資で成果を出すにあたって、そういったことを勉強すること自体はとても楽しいですし、経済的感覚が身につくことは老後資金を守っていくためにも役に立ちます。

私自身も資産運用の土台は株式型投資信託と債券でポートフォリオを組んでいます。ただし、この会社は応援したいという企業については少額ですが投資しています。株式投資の本質は『企業を応援すること』だと思います。

だからこそ、退職金という大切な資金をどのように活用するか?是非、この機会にゆっくり考えていただけると嬉しいです。

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相続は十人十色、十家十色の事情や問題があるもので、その解決策は一通りではないものです。

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この記事を書いたのは…

小林 裕

ジェニユイン・パートナーズ株式会社 取締役 / 一般社団法人証券相続普及協会 代表理事

小林 裕(こばやし ゆたか)

保有資格:証券外務員一種、終活カウンセラー、上級相続診断士

大学卒業後、準大手証券会社に入社。
新人賞、社長優秀賞などの数多くのタイトルを受賞。
その後、金融商品仲介業(IFA)に転身。
2020年12月、一般社団法人証券相続普及協会を設立。
2024年9月、『誰にでもやさしく教えてくれる 会社を退職する前に知っておくべき「退職金運用の基礎知識」』を出版し、Amazonランキング4部門1位を獲得。

サイトURL:https://www.genuine-partners.co.jp/

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