財産を相続する際の税金対策14選!節税対策や控除制度をご紹介!

公開日: 遺産相続

財産を相続する際の基本的な節税対策や相続税の基礎知識を解説!

相続税は故人(被相続人)の遺産を引き継いだ相続人達に課せられる税金です。相続が開始されて、無条件に遺産全額に対して税金が課されてしまうと、重い税負担に多くの相続人が苦しむ事態も想定されます。

そこで、相続税には様々な控除制度や特例制度等が設けられています。これらの制度等は相続税対策となり、大きく次の2種類に分かれます。

・相続時に利用できる節税対策:基礎控除や配偶者控除等
・故人(被相続人)の生前に利用できる節税制度:暦年贈与、生命保険、不動産活用等

財産の相続税対策に使える7つの控除をチェック!

相続が開始されたとき、相続人となった人たちが利用できる相続税の控除制度は次の7つです。

基礎控除

法定相続人(民法に規定された遺産を引き継ぐ人)が被相続人の遺産を相続する場合、必ず遺産の金額から差し引かれる仕組みです。

法定相続人になり得る人たちは、配偶者(ただし事実婚は除く)や直系卑属(子、子が亡くなっている場合は孫)、直系尊属(父母または祖父母)、傍系血族(兄弟姉妹、兄弟姉妹が亡くなっている場合は甥姪)です。

法律婚(婚姻届を提出)をした配偶者は常に法定相続人となり、それ以外は優先順位(直系卑属→直系尊属→傍系血族)があります。

法定相続人となる人が何人いるかで基礎控除額も異なり「3,000万円+(600万円×法定相続人の数)」で計算します。

例えば相続開始時に配偶者と子(2人)が法定相続人となる場合

3,000万円+(600万円×3人)=4,800万円

4,800万円が基礎控除となり、遺産額を4,800万円以内に収まれば相続税はかかりません。

配偶者控除

故人(被相続人)の配偶者に限定されている控除制度です。配偶者の相続財産の評価額1億6,000万円以内であれば相続税がかかりません。

ただし、この制度を利用するには次の条件をすべて満たす必要があります。

・戸籍上の配偶者:法律婚をしている配偶者
・相続税申告書を税務署に提出
・相続税申告期限(被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内)までに遺産分割完了
・相続税申告から3年以内

贈与税額控除

相続開始前3年以内に贈与された財産は相続税の対象となります。しかし、贈与された財産に課された贈与税をすでに収めている場合、二重課税を調整するため、調整した分を相続税から控除するのがこの制度です。

計算は「贈与を受けたその年分の贈与税額×相続税の計算時に足し戻した贈与財産価格/贈与を受けたその年分の贈与財産の合計額」で算定します。

例えば2022年10月28日に相続が開始され、暦年(1月1日から12月31日)の贈与状況が

・2019年3月20日:200万円
・2019年12月31日:110万円
・2020年4月1日:50万円
・2021年5月5日:40万円
・2022年6月21日:400万円

だった場合、110万円の控除分を差し引いて贈与税を算定すると

・2019年分:20万円
・2020年分:110万円以下なので課税なし
・2021年分:110万円以下なので課税なし
・2022年分:相続開始年は適用されないので控除外

そのため、20万円×110万円/(200万円+110万円)=7万円

贈与税額控除額は7万円です。

未成年者控除

相続開始時に未成年者である法定相続人が利用できる控除制度です。「10万円×(成人年齢-相続開始時の年齢)」で計算します。

なお、2022年4月1日以後の相続または遺贈については、20歳ではなく「18歳」となります。

例えば法定相続人が2022年6月1日の相続開始時に15歳ならば

10万円×(18歳-15歳)=30万円

未成年者控除額は30万円です。

障害者控除

障害のある法定相続人を対象とした控除制度です。「10万円(特別障害者は20万円)×(85歳-相続開始時の年齢)」で計算します。

特別障害者とは重度の障害を持ち、身体障害者手帳1級または2級、精神障害者保健福祉手帳1級等に該当する人です。

例えば35歳の法定相続人が一般障害者(特別障害者以外の人)に該当する場合、障害者控除額は500万円です。

10万円×(85歳-35歳)=500万円

相次相続控除

10年以内に相次相続(例:祖父の死亡後10年以内に父が死亡した等)が発生した場合、この控除制度が適用されます。

計算式は次の通りです。

「A×C/(B-A)×D/C×(10-E)/10」

・A:今回の被相続人が前の相続時に課せられた相続税額
・B:今回の被相続人が前の相続の際に取得した純資産価額(取得財産価額等から債務・葬式費用を差し引く)
・C:今回の相続、遺贈等で財産を取得した全ての人の純資産価額の合計額
・D:今回の相続人の純資産価額
・E:前の相続から今回の相続までの期間(1年未満切り捨て)

例えば、

・A:1,000万円
・B:9,000万円
・C:6,000万円
・D:5,000万円
・E:3年1か月→3年

1,000万円×(6,000万円/9,000万円-1,000万円)×(5,000万円/6,000万円)×(10-3)/10=437.5万円

相次相続控除額は437.5万円です。

外国税額控除

海外資産に対して、日本国内の相続税に該当する税金を納めていた場合も控除されます。「その年分の所得税の額×(その年分の国外所得金額/その年分の所得総額)」で計算します。

例えば、その年分の所得税額が57万2,500円で、その年分の国外所得金額が100万円、その年分の所得総額が500万円の場合

57万2,500円×(100万円/500万円)=11万4,500円

所得税の控除限度額は11万4,500円です。

財産の節税対策は生命保険でもできる?

被相続人が死亡保険を契約し、生命保険金(死亡保険金)を設定していた場合、受け取れる保険は「みなし相続財産」として扱われます。こちらは相続税法において相続財産とみなされ、相続税の課税対象となる財産のことです。

ただし生命保険金が下りる場合、相続税の非課税枠が利用できます。

こちらは「500万円×法定相続人の数」で計算します。

(例)被相続人が死亡し、1,500万円が生命保険会社から支払われた

法定相続人が配偶者と子2人だった場合の相続税は0円なので非課税となります。

500万円×3人=1,500万円

生命保険金1,500万円-非課税枠1,500万円=0円

財産の節税対策は土地や不動産でもできる?

土地・建物をうまく活用して節税することも可能です。主に次の方法が挙げられます。

小規模宅地等の特例

被相続人に一定の要件を満たした不動産資産がある場合、土地の相続税評価額を最大80%減額できる特例です。

被相続人等の居住の用に供されていた宅地等を利用するならば、限度面積は330㎡までとなります。例えば相続税評価額4,000万円の宅地等でも、この特例を利用すれば、課税対象の金額を800万円まで軽減することができます。

4,000万円-3,200万円(80%減額分)=800万円

アパート・マンションを経営する

単に不動産を所有しているよりも、アパート・マンションを経営して賃貸にした方が、土地や家屋の評価額は下がり節税も期待できます。

こちらでは被相続人等の貸付事業用の宅地等として、小規模宅地等の特例が利用でき、200㎡までの土地であれば相続税評価額を50%減額できます。

また、アパート・マンション建設時に金融機関からの借入金を利用し、相続資産から控除することも可能です。

生前贈与は相続税対策になる?~生前贈与で現金手渡しについても解説~

生前贈与で相続税対策となり得るのは「暦年贈与」です。暦年贈与とは、1月1日~12月31日までの1年間(暦年)で贈与額が110万円以下である場合、贈与税のかからない仕組みを用いた方法です。

毎年、被相続人が生前に家族等へ財産を贈与していけば、相続時の遺産を減らすことができます。

暦年贈与の方法

毎年、受贈者(贈与を受け取る人)ごとに110万円以内で贈与を行えば、受贈者に贈与税はかかりません。遺産総額が多くなると判断したら、自分が生きているうちに財産を贈与した方が相続税の負担は抑えられます。

贈与の方法は手渡しでも、受贈者の預金口座へ振り込んでも構いません。ただし、いずれの方法でも受贈者側は贈与税の計算をきちんと行う必要があります。

暦年贈与の注意点

基礎控除分110万円を超える贈与があった場合、受贈者が贈与税の申告をしないと、後日、税務署から延滞税や無申告加算税といったペナルティを課せられるおそれがあります。忘れずに申告を行いましょう。

また、生前贈与があったことの説明や証明のため、贈与前に「贈与契約書」を作成しておいた方が無難です。

その他の相続税対策

被相続人が生前に行えるその他の節税対策として、次の3つを検討してみましょう。

非課税財産を利用する

非課税財産とは公益性・社会政策的な見地から見て、また国民感情等に配慮し、課税対象とするのは不相当として扱われる財産のことです。これらの購入等を行っても相続税はかかりません。

非課税財産には墓地・仏具等があり、これらを生前に購入していれば、基本的に相続税の対象外となります。非課税財産を購入することで、相続税の軽減が図れます。

ただし、仏像や祭祀を司る道具類を、骨董的価値があるために趣味として集めていた、投資対象としていたという場合は課税対象となってしまいます。

会社を設立する

莫大な遺産になりそうな場合は、プライベートカンパニー(個人資産を管理する会社)を設立する方法もあります。

法人化により有効な資産分散が期待できます。設立後、資産を移したプライベートカンパニーの役員(例:配偶者や子)を選任します。

そして役員報酬という形で資産を移転させていけば、相続人達は重い負担となる相続税を納付せず、実質的に資産を引き継ぐことができます。

養子縁組をする

養子縁組によって法定相続人を増やす方法があります。法定相続人を増やせば、その分だけ基礎控除の金額が大きくなります。

ただし、無限に養子縁組で法定相続人を増やせるわけではなく、被相続人に実子がいれば1人、実子がいなければ2人まで、と定められています。

相続税対策のメリット・デメリットや相続税を少なくするためのポイントを解説!

ここでは、これまで解説してきた相続税対策のメリット・デメリットを一覧表で見てみましょう。

相続税対策メリットデメリット
基礎控除法定相続人がいれば確実に利用できる法定相続人が少ないと控除額は大きくならない
配偶者控除1億6,000万円以内なら非課税内縁関係の配偶者は対象外
贈与税額控除既に払い込んだ贈与税も相続税の節税対策となる相続開始年は適用されない
未成年者控除未成年の法定相続人に有利な制度2022年4月1日以降は成人年齢が18歳となり、控除を受ける可能性が狭められた
障害者控除障害を持つ法定相続人に有利な制度高齢なほど控除額が少なくなる
相次相続控除短期間の相続の発生により税制上有利になる遺贈で財産を取得した相続人以外の人は適用外
外国税額控除外国と日本で課される税金を調節できる完全に二重課税を排除することを担保した制度ではない
生命保険非課税枠非課税枠が利用できる法定相続人が少ないと不利
小規模宅地等の特例土地の相続税評価額を最大80%減額可能宅地の利用状況・面積によっては適用外となる
アパート・マンション経営借入金を遺産額から差し引ける空室になると、重い負担となることもある
暦年贈与生前贈与で財産を減らせる受贈者に贈与税がかかることもある
非課税財産を利用仏具等を購入し、財産を減らせる相続税の対象となるケースもある
会社設立役員報酬という形で資産を移転できる法人設立費用がかかる
養子縁組法定相続人を増やせる節税目的のみの養子縁組は税務署に否認される可能性もある

相続税を少なくするためのポイントとして、基礎控除額がどれくらいになるかをまず確認しましょう。遺産額が基礎控除の枠内に収まるのであれば相続税はかかりません。いろいろな節税対策を講じる必要もなくなります。

その他、被相続人となる自分や相続人が有利になることだけを考えるのではなく、社会に恩恵を与えることも考慮しましょう。

つまり、相続税の申告期限までに、国・地方公共団体や公益目的の事業を行う法人へ「寄附する行為」も有効な節税対策となります。

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