遺留分計算シート|自分でできる?【2026年版】使い方と注意点

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遺産相続

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【記事内容を動画で解説】

【2026年版】遺留分計算はWebシミュレーターかExcelシートで

相続で「遺言に納得できない」「もらえる遺産が少なすぎる」と感じたとき頼りになるのが遺留分です。自分の遺留分を正確に計算するのは簡単ではありません。この記事ではWebシミュレーターや無料Excel「遺留分計算シート」を使った計算方法を、2026年時点の法律・実務に沿って解説します。

法定相続人の構成で遺留分割合は変わり、計算は複雑です。そこで専用ツールが役立ちます。

Webで今すぐ簡単シミュレーション【匿名・登録不要】

大まかな金額感を知りたいなら、Web上のシミュレーターが手軽です。相続人構成と遺産総額を入力するだけでおおよその遺留分額が把握でき、匿名・登録不要で使えるものが多くあります。

ただし特別受益や生前贈与、債務を反映できないツールもあります。正確な金額を出すなら次のExcelシートを使いましょう。

Excelでじっくり詳細計算(無料ダウンロード)

詳細計算には東京弁護士会が公開する「遺留分減殺計算表」が便利です。同会ウェブサイトから無料でダウンロードでき、遺贈・生前贈与・債務などを入力すると各相続人の遺留分が自動計算されます。

現在は新制度用の「遺留分侵害額計算シート」が提供されている。

【重要】2019年法改正で「遺留分減殺請求」から「遺留分侵害額請求」へ

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※ 画像は旧名称「遺留分減殺計算表」当時の画面です。現在は東京弁護士会から「遺留分侵害額計算シート」として提供されています。

遺留分制度は2019年7月1日施行の民法改正で大きく変わりました。シートを使う前に押さえておきましょう。

新旧制度の比較|何が変わったのか?

改正前は「遺留分減殺請求」と呼ばれ、請求すると不動産などが共有状態になるケースがありました。遺贈された人と請求した人が不動産を共有し、権利関係が複雑化する問題がありました。

改正後は「遺留分侵害額請求」となり、請求は原則として金銭の支払いを求める権利に統一され、共有状態のトラブルを避けられます。

さらに、基礎財産に含める相続人への生前贈与(特別受益)は、原則相続開始前10年以内に限定されました(当事者双方が遺留分権利者に損害を加えると知って行った贈与は、10年より前でも算入)。

計算シート利用時の注意点:原則は金銭請求

東京弁護士会のシートは「減殺計算表」という旧名称のままです。算出金額は目安として活用できますが、現在の請求は「金銭の支払い」を求めるものである点を理解して使い、最終判断は専門家に確認しましょう。

そもそも遺留分とは?誰にどのくらいの権利があるのか

遺留分とは、法定相続人が最低限受け取れる遺産の割合です。「遺産は全額長男に相続させる」等の遺言で侵害された相続人は遺留分侵害額請求権を行使できます。

遺留分の権利者と法定相続人との違い

遺留分を主張できるのは故人の配偶者・子(代襲相続人含む)・直系尊属(父母、いなければ祖父母)に限られます。

兄弟姉妹(およびその代襲相続人の甥・姪)には遺留分がありません。法定相続人でも遺留分の権利者になるとは限りません。

ケース別に見る遺留分の割合一覧

相続人遺留分割合
配偶者のみ1/2
子のみ1/2(複数いれば等分)
配偶者と子1/2
配偶者と直系尊属1/2
親のみ1/3(両親がいれば等分)
直系尊属のみ1/3

この総体的割合を各相続人の法定相続分に応じて分けたものが個々の遺留分です。

遺留分の計算方法を3ステップで解説【具体例付き】

基本式は「遺留分算定の基礎財産 × 遺留分割合」です。

ステップ1:遺留分算定の基礎となる財産を確定する

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相続開始時のプラスの財産 + 算入される生前贈与(特別受益等) - 債務(出典:e-Gov法令検索・民法1043条

財産評価は相続開始時の時価を基準とします。生前贈与財産も贈与時ではなく相続開始時点の価額で再評価します。

ステップ2:基礎財産に遺留分割合を掛ける

総体的遺留分を各相続人の法定相続分で按分します。配偶者と子がいる場合は次のとおりです。

  • 配偶者:1/4
  • 子:1/4(複数いれば1/4の枠内で等分)

ステップ3:特別受益などを考慮して侵害額を算出する

特別受益やすでに受け取った遺産を差し引いて、実際に請求できる「侵害額」を算出します。生前贈与を受けた相続人はその分が控除されます。

【計算例】遺産2,100万円の場合(配偶者と子)

(例)遺産2,100万円・相続人は妻・子A・子B

  • 配偶者 → 2,100万円 × 1/4 = 525万円
  • 子A → 2,100万円 × 1/8 = 262.5万円
  • 子B → 2,100万円 × 1/8 = 262.5万円

(例)遺産2,100万円・相続人は妻・父親・母親

  • 配偶者 → 2,100万円 × 1/3 = 700万円
  • 父親 → 2,100万円 × 1/12 = 175万円
  • 母親 → 2,100万円 × 1/12 = 175万円

【無料】遺留分計算シート(Excel)の使い方を3ステップで解説

東京弁護士会の「遺留分減殺計算表」は「基礎となる財産一覧表」と「遺留分減殺計算表」の2つで構成され、財産一覧表に入力すると結果が自動反映されます。

ここでは故人が「遺産2,100万円(金融資産)の全てを妻に譲る」遺言を残し、長男・長女・次男が妻に遺留分を主張するケースを例に進めます。

第1ステップ:相続人・受遺者・受贈者を入力する

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相続人や受遺者を「基礎となる財産一覧表」に入力します。遺留分権行使者欄で、主張する人(長男・長女・次男)に「○」を入力します。

第2ステップ:故人(被相続人)の遺産等を入力する

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一覧表には次の欄があります。

  • 遺贈:遺贈、相続分の指定、遺産分割方法の指定がされた財産
  • 死因贈与:贈与者の死亡で効力が生じる贈与
  • 未処理遺産:未分割の財産
  • 生前贈与:相続人以外への相続開始前1年以内の贈与、当事者双方が遺留分権利者に損害を与えると知ってなされた贈与、相続人への相続開始前10年以内の特別受益
  • 債務:相続債務(借金等)

この例では、遺贈の「財産の種類・名称」欄に「現金」と入力し、妻が2,100万円取得する旨を入力します。

第3ステップ:自動計算された遺留分侵害額を確認する

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今回の例では、長男・長女・次男はそれぞれ175万円を妻へ請求でき、妻は合計525万円を支払います。

特別受益も再計算できます。長女が相続開始前5年以内に100万円を受け取っていた場合、生前贈与欄に「現金」「長女100万円」と入力すると基礎財産が2,200万円となり、長女は特別受益100万円を差し引いて83万3,333円、長男・次男はそれぞれ183万3,333円を請求できます。

Excelシート使用時の注意点とよくある間違い

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このシートは提供開始以降更新されておらず、近年の判例・裁判例や最新実務に完全対応していません。不動産や非上場株式など評価が難しい財産は入力金額の算定に専門知識が必要です。目安として活用しましょう。

遺留分計算で間違いやすい5つの注意点

注意点1:特別受益の扱いと10年の持ち戻し期間

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特別受益は特定の相続人が受けた特別な利益で、次が該当します。

  • 事業用資産(家業を継ぐ相続人への株式・農地の贈与)
  • 居住用不動産の贈与
  • 多額の金銭・有価証券・金銭債権の贈与
  • 大学進学・留学などの高等教育資金
  • 婚姻・養子縁組のための持参金や支度金

お小遣いや扶養義務範囲内の金銭、義務教育費用は該当しません。

2019年改正により、基礎財産に算入される相続人への特別受益は原則相続開始前10年以内に限定されました。ただし2019年7月1日より前に開始した相続では期間制限なく考慮される場合があります。

注意点2:寄与分は遺留分計算で考慮されない

寄与分は被相続人に特別な貢献をした相続人に多くの財産を取得させる制度で、家業従事、出資、療養看護、扶養、財産管理などが該当します。ただし寄与分は遺留分の算定では考慮されません。シートにも入力欄はありません。

注意点3:不動産や株式など評価が難しい財産の扱い方

相続税計算では、土地は原則路線価方式(道路に面する宅地1㎡あたりの価額で計算)または倍率方式(固定資産税評価額に国税庁の倍率を乗じる)で評価し、家屋は固定資産税評価額を用います。(出典:国税庁)非上場株式は会社規模や株主区分に応じ、類似業種比準方式・純資産価額方式・併用方式などで評価します。(出典:国税庁

ただし遺留分計算で用いるのは相続税評価額ではなく客観的な時価(実勢価格)です。評価に争いが生じやすく、不動産鑑定士などの評価が必要な場合があります。

注意点4:生命保険金は原則として遺留分計算に含まれない

生命保険金は受取人固有の財産で、原則として特別受益にあたらず、基礎財産に含まれません。

ただし例外があります。最高裁は、受取人と他の共同相続人の不公平が「到底是認できないほど著しいと評価すべき特段の事情」がある場合、例外的に特別受益に準じて持ち戻し対象になると判示しました(最決平成16年10月29日)。遺産総額に対する保険金比率や同居・介護状況などを総合判断するため、高額な生命保険金は争点になり得ます。

注意点5:相続債務(借金など)の控除を忘れない

基礎財産の計算では相続債務を差し引くことを忘れないでください。プラスの財産だけで計算すると遺留分額を過大に見積もります。シートでも債務欄に入力すれば自動反映されます。

遺留分侵害額請求の具体的な手続きと流れ

まずは内容証明郵便で請求の意思表示をする

最初に相続人と遺産額を調査・確定し、侵害している相手に請求の意思表示をします。

重要なのが時効・期間制限です。遺留分侵害額請求権は、相続開始および侵害する贈与・遺贈を知ったときから1年で時効消滅します。また相続開始から10年を経過したときも行使できません(除斥期間)。証拠を残すため内容証明郵便(配達証明付き)で請求するのが確実です。

なお請求の意思表示で生じた金銭債権は、意思表示の時から行使でき、原則5年で消滅時効にかかります。

当事者間での話し合い(交渉)

意思表示後は支払額や支払方法を話し合います。長期化しやすいため、早い段階で弁護士に入ってもらうとスムーズです。

家庭裁判所での遺留分侵害額請求調停

合意できない場合は家庭裁判所に遺留分侵害額の請求調停を申し立てます。調停委員が間に入り、双方の主張を整理して合意を目指します。

調停で必要な書類と申立て方法

申立てには申立書のほか、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本、相続人全員の戸籍謄本、遺言書の写しや財産関係資料が必要です。具体的な必要書類や書式は裁判所ウェブサイトで確認できます。追加書類を求められることもあるため、申立て先に事前確認しておくと安心です。

調停不成立の場合は裁判所へ訴訟を提起

調停でも解決しない場合は訴訟を提起します。請求額140万円以下は簡易裁判所、140万円超は地方裁判所が管轄です。証拠に基づく立証が必要で、専門的な対応が求められます。

遺留分トラブルを未然に防ぐための生前対策

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遺言書の付言事項で想いを伝える

遺言書には法的効力のある内容のほか「付言事項」を書き添えられます。配分の理由や感謝を伝えることで相続人の感情的納得が得られ、争いの抑止につながります。

生命保険を活用して受取人固有の財産を遺す

生命保険金は原則として受取人固有の財産で遺留分計算の対象外です。特定の相続人に確実に財産を遺したい場合に有効です。ただし保険金が著しく高額だと特別受益に準じて持ち戻し対象となり得るため、金額バランスに注意が必要です。

生前贈与を計画的に行う際の注意点

相続人への贈与は原則として相続開始前10年以内なら基礎財産に持ち戻されます。当事者双方が遺留分権利者に損害を加えると知って行った贈与は10年より前でも対象です。生前贈与で対策するなら計画的に早めから進めることが重要です。

遺留分の基本と計算のポイントは動画でも解説しています。記事の復習としてあわせてご覧ください。

遺留分計算シートに関するよくある質問(Q&A)

Q. 計算結果が合っているか不安です。

計算シートは目安です。特別受益や不動産・株式の評価、相続債務で結果は大きく変わります。金額が大きい場合や争いがある場合は弁護士に確認するのが確実です。

Q. 弁護士会以外の計算シートはありますか?

東京弁護士会のExcelシートのほか、Web上のシミュレーターも複数あります。手軽さ重視ならWebシミュレーター、特別受益や債務まで反映したいならExcelシートが向いています。いずれも算出されるのは目安額です。

Q. 遺留分を放棄することはできますか?

できます。相続開始後はいつでも放棄でき、相続開始前でも家庭裁判所の許可を得れば放棄が可能です。生前の放棄は、本人の自由な意思か、放棄の合理性・必要性、放棄に見合う代償があるかなどを家庭裁判所が審査します。

遺留分の計算や請求で困ったら専門家へ相談を

東京弁護士会の遺留分計算シートは提供開始以降更新されておらず、今後の法改正や近年の判例に則した計算ができず正確な金額が出せない可能性があります。シートはあくまで目安として活用しましょう。

遺留分に不安がある場合や相続人間で揉めている場合は弁護士に相談するのが確実です。弁護士は遺留分割合の算定だけでなく、協議から調停・訴訟まで相続問題をトータルでサポートします。

【無料相談】相続に関するお悩みは相続診断士へ

相続は十人十色、十家十色の事情や問題があるもので、その解決策は一通りではないものです。

本記事で抱えている問題が解決できているのであれば大変光栄なことですが、もしまだもやもやしていたり、具体的な解決方法を個別に相談したい、とのお考えがある場合には、ぜひ相続のプロフェッショナルである「相続診断士」にご相談することをおすすめします。

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