相続税は自分で計算できる?基本の計算式と計算手順について解説!
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どのような場合に相続税が発生する?相続発生前に試算しよう!
相続税は相続により財産を取得した場合に必ず発生するものではありません。
基礎控除額を超えた一定の財産を相続により取得した場合に相続税が発生します。
一定の財産について、相続税が課税される財産と相続税が課税されない財産は下記のように分けることができます。
相続税が課税される財産
相続税が課税される財産は下記の通りです。
・現預金
・土地や建物などの不動産
・株式や投資信託
・ゴルフ会員権
・宝石などの貴金属
相続税が課税されない財産
相続税が課税されない財産は下記の通りです。
・墓地や墓石
・仏壇などの仏具
・神棚
・位牌
・生命保険金(上限額あり)
・死亡退職金(上限額あり)
相続税の試算をするタイミング
相続税の試算は、相続が発生する前にしておく必要があります。
取得する財産の価額が高ければ高いほど、納めるべき相続税は高額となります。
そのため、相続が発生して相続税を予想以上に多く納めることになってしまったなどという事態を防ぐためにも、相続税を試算するタイミングは、相続発生前にすべきです。
相続税の計算は自分でできる?専門家に相談したほうが良いケースもあり!
相続税の具体的な計算の流れについては次節で説明します。
相続税の計算は計算手順に従って行えば自分でも可能です。
ただし、相続税の計算においては税負担の軽減につながる特例制度がありますが、どういった場合に特例制度を利用できるかを正確に把握している人は非常に少ないと考えられます。
特例制度は一定の条件を満たした場合に適用が可能になるものであり、1つでも条件を満たさないと適用不可となり、意図していた税負担の軽減ができなくなるおそれがあります。
よって相続税を安全に、安く抑えたいのであれば、税理士へ相談・依頼するのが賢明です。
たとえば、相続税を安く抑えたい場合の特例として、不動産を相続した場合を挙げて簡単に紹介したいと思います。
不動産を相続した場合に、相続税を安く抑えることができる特例制度として「小規模宅地等の特例」が挙げられます。
被相続人の事業用宅地や居住用宅地については、被相続人の死亡後、相続人の生活基盤となるものです。
そこで、被相続人の事業用宅地や居住用宅地については、一定の面積を限度額として、その部分の価額については80%又は50%減額することができるのがこの特例の概要になります。
相続税を自分で計算する場合の計算式と計算方法は?手順に沿って解説!
相続税を自分で計算する場合には、どのような手順で相続税が計算されるのかを把握しておくことが重要です。
相続税の計算手順について
相続税を計算する手順としては、以下の流れで相続税が計算されているということを把握しておく必要があります。
①相続財産にはどういったものがあるのか把握する。
②法定相続人の数を把握して基礎控除額がいくらになるのか把握する。
③相続財産から基礎控除額を差し引いた金額を把握する。
④相続税の税率を把握して、相続税額を算出する。
⑤相続人ごとにそれぞれいくら相続税額を納める必要があるか把握する。
⑥相続税申告書を作成して、所轄税務署へ提出・納税する。
相続税の計算式を具体例を用いて徹底解説!
我が国の相続税の課税方式は、かつては「遺産取得税方式」を採用していましたが、この方式による税額計算では、遺産の仮装分割(仮装分割とは、相続税額を減らすために、実際の遺産分割の内容よりも細分化したことを装って申告する行為をいいます。)を防止することが困難などの短所があります。
そこで、現在は遺産分割の結果により相続税の負担が変動しないようにするため「法定相続分課税方式」を採用しています。
「法定相続分課税方式」とは、いったん相続人全員の相続税の総額を算出し、その総額を各人の課税価格の比により按分して相続税額を計算するものです。
なお、一定の者については、税負担の調整を図るために2割加算した金額を相続税額とします。
相続税の総額とは、被相続人から遺産を取得したすべての者の相続税額の合計額をいいます。
その計算は、実際の遺産の分割状況とは無関係に、被相続人の遺産から基礎控除を引いた課税遺産総額を相続人が法定相続分で取得したものと仮定して行われます。
相続人は、相続税の総額に各相続人が取得した財産の割合をそれぞれ乗じて計算した金額を相続税として払います。
相続税の計算式
相続税額の計算式は以下の通りです。
課税遺産総額×相続人の法定相続分×税率-控除額=算出税額
→算出税額を全相続人分合算=相続税の総額
→相続税の総額×按分割合=各相続人の相続税額
相続税の計算式の具体例
たとえば夫に1億800万円の遺産があり、夫婦+子供2人で夫が亡くなった場合は以下の通りです。
・遺産から基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人数)を引き、課税遺産総額を算出する。
1億800万円-(3,000万円+600万円×3人)=6,000万円
・課税遺産総額を法定相続分で分ける
妻:6,000万円×1/2=3,000万円
子A:6,000万円×1/4=1,500万円(子Bも同様)
・相続税率を乗じて控除額を差し引く
妻:3,000万円×15%-50万円=400万円
子A:1,500万円×15%-50万円=175万円(子Bも同様)
・上記で求めた各相続人の相続税額を合算する
400万円+175万円×2人=750万円
・遺産の取得割合に応じて按分する
遺産を、妻が50%、子Aが30%、子Bが20%となるように分けたとすると、
妻:750万円×0.5=375万円
子A:750万円×0.3=225万円
子B:750万円×0.2=150万円
がそれぞれに課税される相続税となります。なお、配偶者控除という特例を使うことにより、上記の場合、配偶者は相続税の納税は免除されます。
あなたは相続税がいくらかかる?早見表やシミュレーションができるサイトをチェック!
実際に相続が発生した場合、読者の皆様にいくら相続税が発生するかはTKCの以下に掲げる、相続税の早見表をご参考頂ければ幸いです。
https://www.tkcnf.or.jp/automatic/inherita.html
上記から分かる通り、相続税というものは、相続する財産が多ければ多いほど税額が高くなり、法定相続人が多ければ多いほど税額が安くなることが特徴の税金です。
なお、法定相続人とは、民法で定められた被相続人の財産を相続できる人のことをいいます。
相続税の計算で困ったときの相談先は?税務署や税理士への相談がおすすめ!
以上のことから、相続税額の算出はご自分でも出来ますが、多くの税制上の特例や税額控除などがあるため、相続税額が大きい場合や節税したい場合には、税理士へ相談することをおすすめします。
また、相続診断士へのご相談もおすすめです。
どの士業へ相談するか悩んだ場合には、まず相談診断士へ相談すれば他の士業へとりまとめてくれることが可能なためです。
なお、手続きや制度全般に関する一般的な質問は所轄の税務署でも相談出来るのでご参考になれば幸いです。
外部サイト:税理士の繁忙期はいつ?どのくらい忙しい?【会計事務所所長が解説】|アカウントエージェント株式会社
【無料相談】相続に関するお悩みは相続診断士へ
相続は十人十色、十家十色の事情や問題があるもので、その解決策は一通りではないものです。
本記事で抱えている問題が解決できているのであれば大変光栄なことですが、もしまだもやもやしていたり、具体的な解決方法を個別に相談したい、とのお考えがある場合には、ぜひ相続のプロフェッショナルである「相続診断士」にご相談することをおすすめします。
本サイト「円満相続ラボ」では、相続診断士に無料で相談できる窓口を用意しております。お気軽にご相談ください
この記事を監修したのは…
代表税理士・公認会計士
北野 良典(きたの りょうすけ)
“税”に関する、最も身近な相談相手として~
下北沢駅から歩いてすぐそばに事務所を構えています。
相続の生前計画や相続申告、違う税理士に意見を聞きたいなどのご相談をいただくことが多いです。
当事務所は他の士業・金融機関と連携を強化しており、当事務所を訪れていただければどんな悩みでも解決するような存在を目指しています。何かお困りの際には遠慮なくご相談くださいませ。