財産の差し押さえとは?差し押さえられたらどうなる?事前対策を解説!

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遺産相続

差し押さえとはどういう意味?こんな時に差し押さえがおこなわれる!

差し押さえとは、債務者の手による財産の処分を禁止する手続きです。差し押さえがされると、債権者は裁判所の手を借りて、強制的にお金を回収できます。

差し押さえをするには、原則として債務名義を取得する必要があります。お金を貸したのが真実でも、相手を訴えて判決を取らない限り、差し押さえはできません。

公正証書で契約書を交わした、抵当権が設定されているなど、一定の条件を満たせば、裁判所への訴えなしで、債務者の財産を差し押さえることができます。また、国には特別な権限があり、税金の徴収は訴え不要で差し押さえできます。

以下は、よくある差し押さえのパターンです。

・借金を払わないで差し押さえ
・住宅ローンを払えず差し押さえ
・税金の滞納で差し押さえ
・養育費を払わず差し押さえ

差し押さえの前に通知はある?差し押さえの流れをわかりやすく解説

支払いのお願い通知や、最後予告通知など、差し押さえ前に債権者から支払いを促す催促があるのが一般的です。差し押さえを不安に感じる人は、差し押さえまでの流れを確認しましょう。債務名義を取られていない以上、差し押さえの心配はありません(国の税金徴収は除きます)。

差し押さえの流れ

差し押さえの大まかな流れは以下の通りです。

1.債務名義の取得
2.執行文の付与を受ける
3.執行を申し立てる

債務名義の取得

差し押さえには前提として、債務名義を取得する必要があります。債務名義の代表例は(確定)判決です。契約書や念書の存在は権利が存在する証拠にはなります。しかし、それだけでは差し押さえの実行はできません。債務名義を獲得するために、訴訟をして判決を取らないといけないのです。

ただし、以下の書面は判決の代わりになります。つまり訴えを経ることなく、いきなり差し押さえが可能です。

・公正証書
・裁判上の和解調書
・調停証書

養育費の支払いの取り決めで公正証書を用いるのは、実務でもよく見かけます。公正証書にして残すと、いちいち裁判所に訴えなくても、元配偶者の給料や預貯金を差し押さえることができます。

執行文の付与を受ける

債務名義を手にしたら、裁判所に執行文の申し立てをします。債務名義に執行文が付与されてはじめて、強制執行の力が備わります。執行文の付与は、強制執行をするための切符をもらうようなものです。

執行を申し立てる

執行文の付与がされた債務名義を獲得したら、後は必要書類を揃えて、裁判所に執行を申し立てるだけです。例えば、債権執行の場合、以下の流れになります。

1.裁判所へ債権執行を申し立てる
2.裁判所の審査
3.差し押さえ命令の発令が債務者と第三債務者に送達
4.債権者が第三債務者から直接取り立て

債権の執行を裁判所に申し立てると、裁判所が内容を審査します。審査で問題がなければ、裁判所から差し押さえの命令が発令され、債務者(差し押さえの相手)と第三債務者(債務者の名義がある銀行や勤務先など)に送達されます。

命令が第三債務者に送達された時点で、差し押さえの効力が発生します。差し押さえの効力が発生すると、第三債務者から債務者への支払いは禁止されます。つまり第三債務者に差し押さえ命令が届いた時点で、債務者は自分の預金や給料(の一部)を手にできなくなります。

差し押さえ命令が第三債務者に送達されてしまうと、債務者は為す術がありません。債権者は、第三債務者である銀行や勤務先から、直接お金を受け取れます。

差し押さえの前兆

差し押さえの前兆を明確な形で知るのは困難です。予告なしで財産を没収できるのが差し押さえの強みだからです。差し押さえの前兆を簡単に把握できるのなら、債務者の財産隠しが容易になります。

強いて言うと、債権者からの電話や手紙など、事前に支払い催促の連絡が来ていたのならば、それらは差し押さえの前兆と言えるでしょう。

差し押さえにかかる手数料

差し押さえにかかる手数料を、財産の類型ごとにまとめました。なお、弁護士に依頼した場合、別途弁護士報酬も発生しますが、具体的な報酬額は各事務所によって異なります。

債権の差し押さえ手数料

申立て手数料4,000円
郵送代3,000円から5,000円

動産の差し押さえ手数料

申立て手数料4,000円
郵送代3,000円から5,000円
予納金3万円から5万円
解錠(かいじょう)費用1万円から5万円

不動産の差し押さえ手数料

申立て手数料4,000円
郵送代裁判所によって異なる
予納金60万円(債権額2,000万円未満の場合は裁判所により異なる)
登録免許税債権額に1,000分の4を掛けたもの

お金はいくらまで差し押さえられる?差し押さえ出来る財産とは

差し押さえの対象になる財産は、差し押さえ禁止財産を除くと、換金できるもの全てと思って構いません。動産、不動産、債権の全てが差し押さえの対象に含まれます。実務上、最も狙われやすいのは給料と預貯金です。

差し押さえできる財産

差し押さえできる財産は以下の通りです。

・債権(給料や預貯金が代表例)
・不動産
・動産(車や貴金属など高価な物品)

上記の中でも債権は真っ先に差し押さえの対象になります。債権の差し押さえは、不動産や動産の差し押さえに比べて費用が安く済み、時間もかからないためです。実務上は給料と預貯金が狙われやすいです。

勤務先や銀行口座さえ特定すれば、高確率で差し押さえは成功します。ただし預金に関しては、仮に銀行口座を特定できたとしても、口座にほとんどお金が残っていなかったというケースもよくあります。

差し押さえの範囲

給料を全部を差し押さえてしまうと、債務者の生活が立ち行かなくなる恐れがあります。それゆえ差し押さえの範囲は法律で制限を設けており、給料の手取り額の4分の1までしか、差押えの対象になりません。

手取りが20万円の人ならば、差し押さえの対象は5万円です。残りの15万円は債務者に渡されます。4分の3の金額が33万円を超えると、超えた分は全額差し押さえの対象です。33万円程度あれば、充分に生活できると考えられるためです。給料にはボーナスや退職金も含まれます。

なお、給料の差し押さえ禁止と同じ趣旨で、66万円以下の現金も差し押さえ禁止とされています。

家族の私物は差し押さえられる?差し押さえできないものや差し押さえ禁止財産について解説!

差し押さえの対象になるのは、債務者本人の名義で、かつ差し押さえ禁止に該当しない財産です。家族の私物や失うと生活に困る生活用品などは、差し押さえの対象から外れます。

差し押さえ禁止財産

差し押さえ禁止財産の具体例は以下の通りです。

・生活必需品(衣類、寝具、台所用品など)
・66万円以下の現金
・給料(賞与と退職金も含む)の4分の3
・社会保険を受給する権利(国民年金、厚生年金など)
・生活保護金
・児童手当

家族の私物は差し押さえの対象になる?

差し押さえの対象になる財産は、債務者本人の名義のものに限られます。家族の私物は差し押さえの対象から外れます。ただし、もっぱら差し押さえを回避する目的で、自分の預貯金を他の家族の口座に移すなどの振る舞いは、債権者を害する行為として、問題視される可能性があります。

差し押さえられる財産を持っていなかった場合はどうなるの?

相手が差し押さえの目的になる財産を何も持っていない場合、どうしようもありません。財産が存在しない以上、差し押さえようがありません。

また、差し押さえた財産に価値がなければ、お金の回収に失敗するだけでなく、執行費用の分だけ赤字になります。実際、苦労して銀行口座を探し当てたものの、蓋を開けてみたら、預貯金が数十円、数百円しかなかったなんて事例もよくあります。

無駄な差し押さえを回避するためには、費用をかけてまで差し押さえをする意味があるのかどうか、事前に吟味する必要があります。

差し押さえされないための対策

債務名義を既に取られているのなら、義務を履行する以外、差し押さえへの対抗策は難しいです。一方で、債務名義をまだ取られてないのなら、自己破産を急ぐことで差し押さえを回避できます。自己破産手続きの開始が決定がされると、差し押さえがストップになるためです。

例えば、サラリーマンが貸金業者から借りた借金を払わないまま放置すると、相手方業者から訴状が届く場合があります。訴状を放置すると、そのまま判決を取られてしまいます。

しかし怖いのはその後です。相手は判決(債務名義)を持っています。つまり差し押さえ可能な状態です。貸金業者は給料の差し押さえを狙ってくるでしょう。勤務先さえ分かっていれば、給料の差し押さえは簡単なためです。

既に述べた通り、給料の差し押さえがされると、給料の4分の1が差し押さえの対象です。毎月給料の4分の1は強制的に没収されます。また、給料の差し押さえがされると、自ずと借金の事実が勤務先に知られてしまいます。

この点、自己破産を申し立てて、裁判所が自己破産手続きの開始決定を宣言すれば、差し押さえ手続きの進行は止まります。借金が理由で差し押さえを受けそうな人は、自己破産手続きを急ぎましょう。自己破産の申し立てをするためには、必要書類を揃える必要があります。

申し立てが先か、給料の差し押さえが先か、スピード勝負になります。

債務回収を解決する情報については、こちらの記事でも詳しく解説されています。あわせてご確認ください。
参考:債務回収に関する記事一覧|法律相談ナビ

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