登記簿謄本の取り方や費用、申請書の書き方や見方は?相続登記についても解説
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登記簿謄本とは?
登記簿謄本とはそもそも何なのか、どういった役割をもっているのか、その種類などを解説します。
登記簿謄本の定義と役割
登記簿謄本とは、登記が記載される帳簿(登記簿)の写しのことです。代表的な登記簿には、不動産登記簿や会社登記簿などがあります。
不動産登記は、土地や建物の所在・面積のほか、所有者の住所・氏名などを登記簿に記載し、これを一般公開することにより、権利関係などの状況が誰にでも分かるようにしています。不動産取引が安全・円滑に行われるためには欠かせないものです。
会社登記は、会社(株式会社、合名会社、合資会社、合同会社)等について、その商号・名称や所在地、役員の氏名等を登記簿に記載することで公示しています。
会社は、そのほとんどが設立の登記をして法人格を取得します。また、基本的な情報を登記することによって信用の維持を図ることができます。登記申請に際しては裏付けとなる書類を添付する必要があるほか、虚偽の登記申請や登記申請の懈怠に対する罰則も定められています。
登記簿謄本の主な種類
登記簿謄本の種類は多岐にわたります。実際に多いのは「不動産登記」、「会社登記」、NPO法人や社団法人、財団法人の登記をする「法人登記」です。法人がする金銭債権の譲渡や金銭債権を目的とする質権の設定を登記する「債権譲渡登記」、生年後見人を登記する「生年後見人登記」などがあります。
とはいえ、実際は不動産登記と会社(法人)登記が大部分を占めていますので、今回はそれぞれについて詳しく見ていきましょう。
不動産登記簿謄本の種類
不動産登記簿謄本の種類はいくつかありますが、それぞれについて解説していきます。
- 登記事項全部証明書
不動産登記簿に記載されている権利変動等の履歴が確認できる証明書で、一定期間内に抹消された事項も表示されています。 - 登記事項現在事項証明書
不動産登記簿に記載されている事項のうち、現在効力のある事項のみ記載されている証明書です。抹消時効は表示されません。 - 登記事項閉鎖全部証明書
登記簿が電子データ化された後に閉鎖された不動産登記簿の記載事項の証明書です。
商業登記簿謄本の種類
- 履歴事項全部証明書(会社(法人)登記簿謄本)
会社(法人)登記簿に記載されている事項の履歴が確認できる証明書です。一定期間内の変更または抹消された事項も表示されます。 - 現在事項全部証明書
会社(法人)登記簿に記載されている事項のうち、現在効力のある事項のみ記載されている証明書です。抹消時効は表示されません。 - 閉鎖事項全部証明書
会社(法人)の登記簿が電子された後に閉鎖された登記簿の記載事項の証明書です。 - 履歴事項一部証明書(抄本)
会社(法人)登記簿に記載されている事項のうち特定の部分の履歴が確認できる証明書です。記載希望事項を選択して請求します。一定期間内の変更または抹消された事項も選択できます。 - 現在事項一部証明書(抄本)
会社(法人)登記簿に記載されている事項のうち、特定の項目の現在効力のある事項が確認できる証明書です。
「登記簿謄本の種類なのに、登記事項証明書?」と疑問に思われるかもしれませんが、登記簿謄本と登記事項証明書の違いは、紙か電子データかという点で、実質的には同じ書類のことです。
電子データ化が進む前は、会社の登記情報は「登記簿」という紙で管理されており、その用紙を複写して登記事項を証明したものを「登記簿謄本」と呼んでいました。電子データで保存されるようになった現在では、「登記事項証明書」と呼ぶことが一般的です。
慣習的に登記簿謄本という名称が使われることはよくありますが、登記事項証明書のことだと理解しておいてください。
会社や法人の登記簿謄本について
会社や法人は、その重要な情報を登記簿に記載して公開することができます。これによって、登記された会社と取引をする相手は安心して取引をすることができます。それに加え、登記した会社や法人は信用を得ることができます。
会社登記には、会社を作るときの設立登記があります。設立登記は株式会社だけでなく、合資会社や合名会社、合同会社を設立した時に登記を行います。登記する内容は、商号、本店所在地、資本金、役員、目的などです。
設立された後は、登記された内容に変更があったとき、たとえば本店の住所が変わった、役員が変わったなどのときには、変更登記を行います。
会社が解散することになった時にも登記が必要になります。
NPOなどの法人の登記も会社の登記とほぼ同じです。
登記簿謄本の記載事項と見方
登記簿謄本の記載事項は多岐にわたります。どこに何が書かれているのか、どういった意味なのかを解説していきます。
登記簿謄本の記載事項
登記簿謄本の記載事項は、不動産登記簿謄本と会社・法人登記簿謄本によって異なります。それぞれの記載事項について解説します。
不動産登記簿謄本の記載事項
不動産の登記記録は、「表題部」と「権利部」に、権利部はさらに「甲区」と「乙区」にわかれています。
- 表題部
不動産の物理的な状況を表示する部分です。
建物の場合は、その建物の所在、建物の家屋番号、種類・構造・床面積などが記載されています。所有権登記がない場合には、所有者の住所、氏名が記載されています。建物が共有されている場合には、氏名に加えて各共有者の持ち分が記載されます。
土地の場合は、土地の所在と地番、地目、地積などが記録されています。
所有権登記がない場合は所有者の氏名などが、共有関係にある時は各共有者の持ち分が記載されています。
- 権利部
- 甲区
甲区は所有権に関する事項を記録する部分です。所有権者が、その不動産を取得した原因・年月日、所有者の住所・氏名などが記録されています。所有権に関する登記としては、建物を新築した時に行う「所有権保存の登記」や不動産を売買した場合などに行う「所有権移転の登記」などがあります。 - 乙区
乙区は不動産の所有権以外の権利についての事項が記録される部分です。乙区に登記される権利は、用益権と担保権の大きく二つに分かれます。用益権とは、賃借権や地上権など、他人の不動産を利用する権利のことです。
担保権とは、抵当権や質権などのように、債権の回収を確実にするために目的物に対して設定され、債務が履行されないときは、最終的に目的物を金銭に換えて債務に充てることができる権利です。
会社・法人登記簿謄本の記載事項
会社の登記簿謄本には、会社の目的(事業内容)についての記載、株式や資本金についての記載、役員に関する記載、会社の状態(取締役会設置会社かなど)、登記した理由及び年月日の記載があります。
登記簿謄本の見方・読み方
登記簿謄本の見方・読み方について、不動産登記簿謄本と会社法人登記簿謄本に分けて解説します。
不動産登記簿謄本
不動産の登記簿謄本は、以下のようになっています。
表題部(土地の表示) | 調整 | 不動産番号 | |||||||||
地図番号 | 境界特定 | ||||||||||
①地番 | ②地目 | ③地積 ㎡ | 原因及びその日付〔登記の日付〕 | ||||||||
所有者 |
権利部(甲区)(所有権に関する事項) | |||||||||||
順位番号 | 登記の目的 | 受付年月日・受付番号 | 権利者その他の事項 |
権利部(乙区)(所有権以外の権利に関する事項) | |||||||||||
順位番号 | 登記の目的 | 受付年月日・受付番号 | 権利者その他の事項 |
共同担保目録 | |||||||||||
記号及び番号 | 調整 | ||||||||||
番号 | 担保の目的である権利の表示 | 順位番号 | 予備 |
一番上に表題部があり、地番、地目、地積、登記の日付が記載されています。
所有権の登記がない場合には、ここに所有者が記載されています。
次に権利部(甲区)があり、ここには所有権に関する事項が記載されています。
そのあとに権利部(乙区)があり、ここには所有権以外の権利、たとえば抵当権や質権などが記載されています。
最後に共同担保目録があり、ここには、一つの債権の担保として複数の不動産に対して設定された抵当権(共同担保)が一括して記載されています。 たとえば、土地とその上の建物が共同担保とされているなどです。
会社(法人)登記簿謄本
会社(法人)の登記簿謄本は、以下のようになっています。
会社法人等番号 |
商号 |
本店 |
公告をする方法 |
会社設立の年月日 |
目的 |
発行可能株式総数 |
発行済み株式の総数並びに種類及び数 |
資本金の額 |
株式の譲渡制限に関する規定 |
役員に関する規定 |
取締役会設置会社に関する事項 |
監査役設置会社に関する事項 |
登記記録に関する事項 |
「会社法人番号」とは、会社の登記の記録ごとにつけられる12桁の番号で、登記簿の検索などに使われます。
「商号」とは、会社の名前のことです。
「本店」には会社本店の住所が記載されています。
「公告をする方法」には、株式会社が賃借対照表またはその要旨を世間に公表している方法が記載されています。官報、日刊紙、電子公告のいずれかが記載されています。
「会社の設立年月日」には、会社設立の登記をした日が記載されます。
ここまでの5つを「商号区」と呼びます。
「目的」には、会社の目的(事業内容)が記載されています。
これを「目的区」と呼びます。
「発行可能株式総数」には、株式会社が発行できる株式の上限が記載されています。
「発行済み株式の総数並びに種類及び数」には、すでに発行した株式の数が記載されています。
「資本金の額」には、その名の通り資本金の額が記載されています。
「株式の譲渡制限に関する規定」には、株式に譲渡制限がついているか否かが記載されています。ここで、会社が公開会社なのか非公開会社なのかがわかります。
ここまでの4つを「株式・資本区」とよびます。
「役員に関する規定」には、取締役や監査役の名前、代表取締役の名前と住所が記載されています。
これを「役員区」といいます。
「取締役会設置会社に関する事項」は、会社が取締役会を設置する場合に記載されています。
「監査役設置会社に関する事項」は、会社が監査役を設置する場合に記載されます。
ここまでの2つを、「会社状態区」といいます。
「登記記録を起こした自由及び年月日」には登記記録を作った理由が記載されます。
これを「登記記録区」といいます。
登記簿謄本の取得方法や費用
登記簿謄本の取得方法はオフライン、オンラインの両方があります。それによって費用も変わりますので、解説していきます。
法務局での取得方法
管轄する法務局の窓口に来庁し、備え付けの請求書に必要事項を記入して提出します。その場で登記簿謄本を作成してもらえ、10〜15分で受け取ることができます。
郵送での取得方法
管轄法務局に封書で「申請書」「登記印紙(手数料)」「返信用の封筒・切手」を郵送します。法務局に請求書が届き次第、作成し返送してくれます。
オンラインでの取得方法
管轄法務局がオンライン化している場合には、インターネットを利用して請求することができます。受け取りは郵送でも来庁でも可能です。
不動産登記簿謄本は以下のリンクから申請できます
https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/shomeisho_000001.html
会社・法人登記簿謄本は以下のリンクから申請できます
https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/shomeisho_000002.html
費用
登記簿謄本を請求するための手数料は以下の通りです。
請求・受け取りの方法 | 金額 |
書面請求 | 600円 |
オンライン請求・送付 | 500円 |
オンライン請求・窓口交付 | 480円 |
交付請求書の書き方・記入例
交付請求書の書き方は、不動産登記簿謄本と会社法人用登記簿謄本で異なります。それぞれについて記入例を紹介します。
不動産登記簿謄本交付申請書
不動産登記簿謄本交付申請書の記入例は、以下の通りです。
不動産交付申請書には、請求人の住所、氏名、登記簿謄本が必要な不動産の所在地を記載します。請求の方法に合わせて、収入印紙を右側の枠外に貼りましょう。収入印紙は法務局で購入できます。
会社法人用登記簿謄本交付申請書
会社法人用登記簿謄本交付申請書の記入例は、以下の通りです。
会社・法人の登記簿謄本の請求申請書には、申請人の住所、氏名、登記簿謄本を取得したい会社の会社名、本店の住所、分かれば会社法人番号を記載します。収入印紙も忘れずに貼りましょう。
登記簿謄本をオンラインで請求するメリットとデメリット
登記簿謄本は、オンラインでも請求できます。便利な手続きなのでぜひ使ってみてください。
オンライン請求のメリット
オンライン請求・郵送交付にすれば、登記所の窓口へ行かなくても登記簿謄本が取得できます。
また、平日21時まで受け付けているので、仕事や用事が終わってからも十分余裕をもって手続きできます。ちなみに、法務局の窓口は平日9時から17時までです。
登記所の窓口で請求した場合の手数料が600円なのに対して、オンライン請求・郵送交付だと500円で済み、100円もお得になります。
ちなみに、ネット決済ができるので、収入印紙を買う手間も省けます。
オンライン請求のデメリット
郵送交付の場合、受付から配達まで早くとも1日〜2日はかかります。一刻も早く登記簿謄本が必要な場合は、オンラインでなく窓口で申請を行うといいでしょう。
オンラインで取得する流れ
オンラインで登記簿謄本を取得する方法は、意外と簡単です。流れに沿って解説していきますので、参考にしてみてください。
不動産登記簿謄本
オンライン請求をする前に、その不動産の「所在・地番」(登記簿上の住所)を調べておきましょう。不動産の権利証や、固定資産税の納税通知書に記載してあります。
法務局のシステムである、登記ねっとを利用しましょう。まずは申請者情報を登録し、「かんたん証明書請求」にログインします。操作手引書のダウンロードもできるので、確認しながら手続きできます。
「かんたん証明書請求」にログインしたら、証明書請求メニューで手続分類「不動産」の「登記事項/地図・図面証明書交付請求書」を選択します。そして、登記簿謄本を取得したい物件の情報を入力し、確定をクリックします。登録事項証明書の種類、交付方法、郵送の送付先などを選択したら、入力は完了です。
その後、手数料を納付します。手数料をネットバンキングで納付する場合は、「かんたん証明書請求」内で納付できます。Pay-easy対応の金融機関ATMで納付する場合には、収納機関番号や納付番号、確認番号が必要になるので、忘れずメモしていきましょう。ちなみに、クレジットカード払いには対応していないので、注意が必要です。
会社(法人)登記簿謄本
不動産登記簿の時と同じように、登記ねっとを利用しましょう。申請者情報を登録し、「かんたん証明書請求」にログインしたら、証明書請求メニューで手続分類「商業・法人」の「登記事項証明書(商業・法人)」を選択します。あとは不動産登記簿を取得するときの手続きと同じです。
閲覧のみの場合
登記簿謄本は不要で、閲覧だけしたい場合、法務局で閲覧することも、オンラインで閲覧することもできます。
登記簿の閲覧方法
登記簿は、所定の手数料を支払えば誰でも閲覧できます。法務局へ直接行って閲覧することもできますし、オンラインでも閲覧が行えます。
法務局へ行って所定の請求書に記入し提出すると、必要な登記簿を見せてもらえます。
オンラインで閲覧するには、登記情報提供サービスに登録する必要があります。
登記情報提供サービスの利用方法
登記情報閲覧サービスは、インターネット上で不動産及び法人登記情報を閲覧できるサービスです。一般財団法人民事法務協会が運営しており、平日8時30分~21時まで利用できます。
利用方法は、事前に利用者登録をして月ごとに決済する「個人利用」と、利用者登録はしないでその都度クレジットカード払いをする「一時利用」の2種類があります。
「個人利用」をする場合には、個人利用登録を行います。登録が完了すると、民亊法務協会からIDとパスワードが1週間程度で送られてきます。届いたら、IDとパスワードを入力し、個人利用が可能になります。
なお、利用者登録には300円の登録費用がかかります。その他、登記簿謄本のオンライン閲覧をするたびに個別の利用料金がかかります。
定期的に登記簿をチェックする必要がある場合には、「個人利用」がおすすめです。
「一時利用」をする場合には、一時利用登録を行います。登録が完了すると、IDとパスワードがメールですぐに送られてくるので、一時利用によって登記簿謄本のオンライン閲覧が可能になります。
一時利用の場合は登録費用は掛かりません。ただし、毎回IDとパスワードを取得して、その都度情報登録を行う必要があります。
すぐに登記簿を閲覧したい、たまにしか登記情報閲覧サービスを利用しないといった人には、「一時利用」をおすすめします。
取得した登記簿謄本の活用方法
登記簿謄本を取得したら、記載事項を確認の上、各種手続きなどに利用しましょう。どのような場面で必要になるのか紹介します。
取得した登記簿謄本の確認ポイント
不動産登記簿謄本を取得したら、まずは登記上の所有者は誰なのか確認しましょう。次に、抵当権など担保がついていないか確認しましょう。
会社(法人)登記簿謄本を取得したら、まずは商号を確認しましょう。頻繁に商号が変わっている場合には、旧商号で検索するとネガティブな情報が出てくる可能性があります。本店についても同じケースがありえます。
そして、役員が頻繁に変わっていないかもチェックしましょう。役員が頻繁に変わっているということは、経営状態が不安定もしくは経営者間で争いがある可能性があります。
登記簿謄本の利用用途
会社(法人)登記簿謄本が必要になるのは、主に以下の場合です。
- 法人として賃貸借契約等の契約を締結する
- 金融資、補助金を受ける
- 会社の銀行口座を開設する
- 税理士に決算報告を依頼する
- 法人名義のクレジットカードをつくる
- 本店移転や役員変更など、登記申請の際に現在の登記内容確認する
- 取引先の会社の情報を確認する
不動産登記簿謄本が必要になるのは、主に以下の場合です。
- 不動産の売買をする
- 住宅ローンが発生する
- 相続が発生する
- 相続登記について
相続登記とは?
相続登記とは、亡くなった人が所有していた不動産の名義を変更し、新しい所有者を明確にするための手続きです。
相続登記に必要な登記簿謄本の取得方法
亡くなった人が所有していた不動産を相続登記するためには、亡くなった当時の登記事項を確認する必要があります。登記申請書や遺産分割協議書には、登記簿に記載されているのと同じように不動産の表示をする必要があるためです。
不動産登記簿を取得する際、土地であれば「地番」を、家屋であれば「家屋番号」を特定する必要があります。
もし、地番や家屋番号がわからない場合には、登記済権利証や登記識別情報、固定資産評価証明書などに記載してあるので、見てみましょう。このような資料も見当たらない場合には、名寄帳を取得して確認することができます。名寄帳とは、固定資産税を課税するために市区町村が作成している固定資産税課税台帳を所有者ごとにまとめたものです。
名寄帳には、同一市町村区内の不動産がまとめられているので、特定の人が持っている不動産を一覧で確認することができます。
名寄帳は、不動産所在地の市区町村役場で閲覧・取得できます。取得には1通200〜300円かかります。相続人であることがわかる書類をもっていくようにしましょう。
相続登記の手続きの流れ
まずは、相続する不動産の状態、権利関係などを確認します。その際に、登記簿謄本が必要になります。
その後、遺産分割協議でその不動産を引き継ぐ人を決めます。遺言によって引き継ぐ人がすでに決まっている場合には、この作業は必要ありません。
不動産を引き継ぐことになった人が、相続登記の手続きを行います。相続登記に必要な書類を収集し、不動産の住所地を管轄する法務局へ提出・申請します。
相続登記の際の注意点
相続登記をするには、亡くなった人の出生から死亡までの戸籍謄本が必要です。これに抜けがあると、相続登記はできません。必ず集めるようにしましょう。
亡くなった人の登記簿上の住所と死亡時の住所が違う場合には、住所のつながりを証明する書類が必要です。戸籍の除附表や改製原附表という書類が必要になるのですが、本籍地の市町村区の窓口で取得する必要があります。
自筆証書遺言に基づいて相続登記を行う場合には、事前に遺言書の検認を受けなければなりません。検認とは、家庭裁判所で相続人全員の立会いのもとで遺言書を開封する手続きです。遺言書の内容を明確にして偽造や追記を防止するために行われます。
まとめ
登記簿謄本について解説してきましたが、最後に重要なポイントをまとめておきます。
登記簿謄本取得の際の注意点
登記簿謄本を取得する際には、地番や家屋番号、会社名などを間違えずに申請書に記載するようにしましょう。また、オンライン申請は便利ですが、届くのに早くとも1~2日かかるので、早く必要な場合には窓口で申請しましょう。
必要な書類の確認
登記簿謄本を取得する際に必要な書類は、特にありません。ただ、手数料がかかるので、お金を忘れずに持っていきましょう。
専門家に相談すべき場合
登記簿謄本の取得だけなら、個人でも十分対応できます。ただ、相続登記を行う際には、登記簿謄本以外に必要な書類がたくさんあるので、弁護士や司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。
【無料相談】相続に関するお悩みは相続診断士へ
相続は十人十色、十家十色の事情や問題があるもので、その解決策は一通りではないものです。
本記事で抱えている問題が解決できているのであれば大変光栄なことですが、もしまだもやもやしていたり、具体的な解決方法を個別に相談したい、とのお考えがある場合には、ぜひ相続のプロフェッショナルである「相続診断士」にご相談することをおすすめします。
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この記事を書いたのは…
弁護士・ライター
中澤 泉(なかざわ いずみ)
弁護士事務所にて債務整理、交通事故、離婚、相続といった幅広い分野の案件を担当した後、メーカーの法務部で企業法務の経験を積んでまいりました。
事務所勤務時にはウェブサイトの立ち上げにも従事し、現在は法律分野を中心にフリーランスのライター・編集者として活動しています。
法律をはじめ、記事執筆やコンテンツ制作のご依頼がございましたら、ぜひお気軽にご連絡ください。