法定相続情報証明制度を利用するデメリットとは?交付方法も解説!
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法定相続情報証明制度とは?
法定相続情報証明制度とは、法定相続人が誰なのかを戸籍謄本等での確認に代わり、登記官が証明する制度です。そのため、相続手続きの際に何通もの戸籍謄本を提出する必要がなくなります。
本制度は2017年に開始されましたが、制度設立の背景には相続登記の推進を図る目的がありました。
不動産を所有している被相続人が亡くなると、相続人は相続登記を行わなければいけません。しかし、登記手続きには戸籍謄本等の収集が必要です。
相続人にとって収集作業はとても面倒な作業であるため、それが理由で相続登記を行わないまま長年放置されるケースもありました。
そこで法務省は相続登記の促進のため、法定相続情報証明制度を新設したのです。2024年4月には相続登記が義務化されるので、本制度の利用が活発化すると想定されます。
法定相続情報証明制度を利用すべきケースとは?
法定相続人が複数いて、提出する戸籍謄本や除籍謄本の枚数が多くなるとき、本制度の利用が最適です。
その他、被相続人の財産が土地・建物・預金・株・自動車等と多岐にわたり、次のように手続きをする場合も、利用を検討してみましょう。
- 相続税の申告:税務署
- 相続登記:法務局
- 公的年金の手続き:市区町村役場
- 預貯金・有価証券等の解約:銀行・証券会社
- 保険会社での死亡保険金請求:生命保険会社
- 自動車の名義変更:運輸支局または自動車検査登録事務所(軽自動車:軽自動車検査協会)
法定相続情報照明制度を利用する3つのメリット!
本制度を利用すれば、迅速かつ簡易に相続手続きを進められる点がメリットです。
手続きの効率化が図れる
相続手続きを進める場合、基本的に被相続人や相続人の戸籍謄本等の必要書類の束を、各提出先に何度も出し直さなければいけません。
しかし、本制度を利用すれば「法定相続人一覧図」を用意するだけで足ります。
多くの戸籍謄本等をいちいち収集する手間が省けるので、大幅な手続きの効率化が図られ、相続人の負担も軽減されます。
発行手数料が無料、かつ登記官が戸籍を確認するので安心
本制度を利用する際は、最初の申請で法務局に戸籍謄本等の必要書類、相続関係を一覧で表した法定相続情報一覧図を提出すれば、当該一覧図に登記官の認証文を付けた写しが無料で交付されます。
交付には手数料がかからないうえに、登記官が戸籍の内容を確認してくれるので安心です。更に申し出後5年間は再発行が何度でも可能です。
いろいろな申請方法がある
本制度は法務局窓口での申請の他、郵送申請や代理人による申請が可能です。
法務局に出向く時間をなかなかつくれない相続人でも、柔軟に申請ができるので安心です。
なお、家族の誰かを代理人とするだけではなく、士業専門家(例:司法書士・行政書士等)に依頼し申請を任せても構いません。
法定相続情報証明制度を利用する2つのデメリット!
本制度を利用する際は、次の2点を確認しておく必要があるでしょう。
最初の申請には一覧図の作成・戸籍謄本等の収集が必要
本制度は相続手続きの際、戸籍収集の作業を簡略化する目的で利用しますが、最初に申請するときは戸籍謄本や除籍謄本を集めなければいけません。
戸籍謄本等を必要とする相続手続きが多くなければ、あまり利便性は感じないでしょう。
また、法定相続情報一覧図は法務局の方で作成してくれるわけではなく、申請者が戸籍謄本等をもとに作成します。
そのため最初に申請するときは、それなりに手間がかかってしまいます。
本制度に銀行や保険会社等が対応していない場合も
相続手続きを行う際、行政機関では本制度の利用は可能です。しかし、銀行や保険会社等ではまだ対応していないところもある点に注意しましょう。
徐々に本制度は銀行や保険会社の間にも浸透していくと思われますが、一覧図の利用を容認するかどうかは各企業の判断に委ねられています。
銀行や保険会社で法定相続情報一覧図を利用したい場合、対応の有無を窓口や電話連絡で確認してみましょう。
法定相続情報証明制度で住所を記載しないデメリットとは?
法定相続情報証明制度を申請する際、法定相続情報一覧図に当事者の住所の記載の有無を選択できます。ただし、住所を記載しないと相続手続きで必要書類が増える可能性もある点に注意しましょう。
住所を記載しない場合は、法務局での相続登記や家庭裁判所による遺言書の検認の際、更に住民票が必要となります。
一方、住所を記載していれば、既に住所が証明されているので住民票の添付は不要です。書類収集の手間を省きたいなら、申請時に住所の記載を行っておきましょう。
法定相続情報一覧図の交付方法と必要書類を解説!
こちらでは、法定相続情報一覧図の申請手順、申請の際に必要な書類を説明します。
法定相続情報一覧図の申請手順
本制度を利用するには、まず相続人が一覧図の作成後、必要書類を添付し法務局へ申請する必要があります。申請手順は次の通りです。
- まず法定相続情報一覧図を作成する:作成方法は法務局ホームページ等で確認可能
- 「法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出書」と添付書類を法務局へ提出する
- 1週間~2週間程度で法務局から法定相続情報一覧図が交付される
申請可能な法務局は次のいずれかとなります。
- 被相続人の本籍地を管轄する法務局
- 被相続人の最後の住所地を管轄する法務局
- 申出人の住所地を管轄する法務局
- 被相続人名義の不動産所在地を管轄する法務局
申請の際に必要な書類
申請の際は次の書類を準備し提出します。
- 法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出書:法務局窓口やホームページで取得可能
- 被相続人の出生から亡くなるまでの連続した戸籍謄本・除籍謄本:本籍地の市区町村役場で取得(1通450円~750円)
- 被相続人の住民票除票または戸籍附票:住民票除票は最後の住所地の市区町村役場で取得(1通300円)、戸籍附票は本籍地の市区町村役場で取得(1通300円)
- 相続人全員の戸籍謄本:本籍地の市区町村役場で取得(1通450円)
- 相続人の住民票の写し(一覧図に相続人の住所を記載する場合):住所地の市区町村役場で取得(1通300円)
- 本人確認書類(申請者のみ必要):運転免許証、マイナンバーカード等
- 委任状(代理人をたてる場合):法務局の窓口等で取得可能
相続情報が変更された場合の法定相続情報一覧図の更新方法
法定相続情報一覧図には作成した後、相続情報の変更に応じて「修正」「訂正」といった形で更新する仕組みは取られていません。
相続情報の変更があれば、再び法定相続情報一覧図を作成し直す必要があります。作成し直した法定相続情報一覧図を法務局へ提出しましょう。
なお、一覧図を再提出する際は、変更となった相続人の書類(戸籍謄本や住民票等)を添付するだけで良いのか、法務局へ事前に相談しておきましょう。
法定相続情報一覧図を紛失した際の再発行手続きの流れを解説!
こちらでは再交付の条件や流れ、本制度の不明点・疑問点をどこへ相談するべきかについて解説します。
再交付の条件や流れについて
本制度の利用を申し出た日の翌年から起算して5年以内なら、何度でも再交付が可能です。
再交付に関しても手数料は無料ですが、再交付を受けられる人は最初の申請の際、申出書に「申出人」として氏名を記載した人だけです。
また、再交付の申請は交付を受けた法務局に限定されます。
ただし、再交付は窓口・郵送申請が可能な他、再交付の申請を親族や士業専門家に委任しても構いません。
再交付申請の必要書類は次の通りです。
- 再交付申出書:法務局窓口等で取得可能
- 本人確認書類:運転免許証、マイナンバーカード等
- 委任状(代理人をたてる場合):法務局の窓口等で取得可能
法定相続情報証明制度に関し不明な点があれば専門家へ相談を
本制度を利用したいものの、内容について不明な部分や疑問があるなら、相続に詳しい司法書士や行政書士のような士業専門家へ相談してみましょう。
また、相続全般の専門知識を有する「相続診断士」に相談するのも良い方法です。
相続診断士は有資格者なので、相談者の悩みや不明点へ的確なアドバイスを行います。
相続診断士の助言を受けつつ、法定相続情報一覧図を作成するべきかどうか、冷静に検討しましょう。
【無料相談】相続に関するお悩みは相続診断士へ
相続は十人十色、十家十色の事情や問題があるもので、その解決策は一通りではないものです。
本記事で抱えている問題が解決できているのであれば大変光栄なことですが、もしまだもやもやしていたり、具体的な解決方法を個別に相談したい、とのお考えがある場合には、ぜひ相続のプロフェッショナルである「相続診断士」にご相談することをおすすめします。
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