贈与されたお金は返せるの?お金の貸し借りやトラブル回避策もご紹介!

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終活

贈与って何?贈与に該当するものや贈与の方法、かかる税金をあわせて紹介します

贈与とは自分の財産を譲る契約です。贈与する側が贈る意思表示を行い、相手方が承諾することで成立します。一般的に現金等の贈与が考えられますが次のような贈与物も対象です。

・株等の金融商品
・土地・建物等の不動産資産
・保険金
・車
・ゴルフ会員権
・宝石・絵画 等

動産等は単に手渡しするという方法で行われることがあります。

しかし、贈与後にトラブル(例:受け取った側が無償でもらった、贈与した側が負担付きの贈与だったという食い違い等)を避けるため、贈与契約書を作成する場合もあります。

また、現金の贈与ならば受贈者(受け取る人)が預金口座を開設し、贈与者がその口座に入金する方法をとることも多いです。

なお、1年間に受けた贈与価格が110万円を超えた場合、超えた部分が贈与税の対象となります(暦年贈与課税)。

贈与された・したお金は取り消し可能?法的側面からも解説

既に贈与した場合はお金であっても、それ以外のものであっても原則として取り消すことができません。ただし、例外的に取り消し可能な場合もあります。

ここでは取り消し可能なケースについて解説します。

取り消し可能なケース

主に5つのケースが挙げられます。

口頭による贈与の履行前

口頭で約束した贈与は贈与者によって解除することが認められています。ただし、どんな場合でも取り消せるわけではありません。すでに履行が終わっている場合、解除が認められず贈与した物の返還請求はできなくなります。

この贈与の履行とは下記に該当するケースを指します。

・お金・動産を受贈者に引き渡した
・不動産の贈与を行う際、受贈者に実印・契約書を引き渡した
・不動産の贈与で受贈者に登記名義を移転した

錯誤・詐欺・強迫を伴った贈与

書面・口頭のいずれで行われた贈与でも、原則として意思表示を取り消すことは認められています。錯誤・詐欺・強迫とは次の行為です。

・錯誤:契約の重要な内容について、真実に反する認識をしていた(いわゆる勘違い)
・詐欺:契約の相手方に騙された
・強迫:契約の相手方から暴力や脅迫を受けた

目的物の贈与が終わっていても返還請求が可能です。

ただし、錯誤では贈与した側に故意または重過失がある場合、基本的に無効を主張できません。贈与した人が、錯誤と知りつつ贈与した、または普通はわかるであろうことを見落とすような著しい不注意があった場合が該当します。

その他、錯誤・詐欺・強迫のいずれも、善意無過失の第三者(例:まったく事情を知らない他人)に対しては贈与の取り消しを主張できません

例えば贈与者Aが受贈者Bに脅されて目的物を贈与した後、その受贈者Bが、何の落ち度もなく事情を知らないCへあげた場合は、Aが贈与を取り消してもCから取り戻すことができません。

生前にした贈与は取り消せるのか

生前の贈与は、将来の相続における財産の分割や税金の負担軽減を目的として行われることがあります。しかし、時として贈与を行った後に状況が変化し、その取り消しを検討する場合もあります。では、生前の贈与を取り消すことは可能なのでしょうか?
一般的に、生前贈与は贈与者の自由意思に基づいて行われるものであり、一度行われた贈与を後から取り消すことは困難です。
しかし、以下のいくつかの要件を満たす場合には、生前贈与の取り消しを求めることができるかもしれません。

贈与を行った時点での精神状態の問題

贈与を行った時に贈与者が明らかな精神的な問題を抱えていた場合、取り消しの可能性があります。精神的な状態が正当な意思表示に影響を及ぼしていた場合、その取り消しは実現可能です。

相続人の合意

贈与を受けた相続人が、生前贈与の取り消しに同意する場合には、取り消すことができるかもしれません。相続人全員の同意が必要な場合もありますので、注意が必要です。

贈与の条件違反

贈与が特定の条件に基づいて行われた場合、その条件に違反した場合は取り消しの検討が可能です。ただし、条件が曖昧であったり、証拠を提供する必要があることがありますので、専門家の助言を受けることをおすすめします。
生前贈与の取り消しには、具体的なケースバイケースでの検討が必要です。専門家や弁護士と相談し、法的手続きや証拠の収集などのステップを踏むことが重要です。

未成年者や成年被後見人が贈与した場合

未成年者や成年被後見人が独断で贈与した場合は、受贈者の他に善意無過失の第三者へも取り消しを主張できます。

例えば、未成年者や成年被後見人が、自分の判断で友人・知人に数百万円の贈与を行ったケースは取り消しの対象です。

未成年者の場合は法定代理人(通常は親が該当)の同意を得ていた場合、基本的には取り消すことができません。ただし、両親が婚姻中の場合等、父母のどちらか一方しか同意していない状況ならば取り消しできると考えられます。

一方、成年被後見人の場合は後見人の同意を得ても、日常生活関連以外の行為を取り消すことは可能です。

負担付贈与の負担がまだ履行されていない

贈与者が贈与を行う見返りとして、受贈者側で何らかの義務を果たすことが条件とされているケースもあります。このような贈与を「負担付贈与」と呼びます。

例えば、何らかの理由で親元を離れて暮らしている兄が、親の介護を妹に任せることを条件に、毎月15万円を贈与するというケースが考えられます。

この負担付贈与は基本的に受贈者の納得の下で契約することとなります。双方で合意して契約したにもかかわらず、受贈者が負担を履行しない場合、贈与者は約束を破ったと判断し、贈与契約を解除できます。

贈与契約を合意解約

贈与者が贈与物の返還を要求した場合、受贈者がそれに合意して返還した場合は、理由を問わず、贈与契約を解約することが可能です。

贈与者・受贈者ともに納得したうえで返還を行うなら、その行為は特に禁じるべきものではなく、贈与者・受贈者の意思が尊重されます。

年内に贈与された・したお金は取り消せるのか

年内に行った贈与契約の合意解約や、錯誤・詐欺・強迫が原因で行った贈与は取り消すことも可能です。

しかし、受贈者から騙されたり脅されたりして贈与し、年内にそれを取り消しても、何の落ち度もなく事情を知らない第三者へ贈与物が渡った場合は、基本的に取り返すことはできません

贈与された・したお金を返したら税金はどうなる?

贈与された物等を引き渡す前に取り消した場合、そもそも受け取っていないので贈与税はかかりません。問題は贈与物を受け取った後に返還した場合の課税の有無ですが、ケースによって対応が分かれます。

(1)法律で定められた取り消しや解除は課税対象外

贈与物の名義を受贈者から贈与者に戻す等で、取り消し・解除が確認できた場合は課税されません。

・錯誤、詐欺、強迫を理由とした取り消し
・未成年者・成年被後見人が単独で贈与した場合の取り消し
・負担付贈与の不履行による解除

もしも、すでに贈与税を支払っている場合は、法定申告期限より5年以内ならば税務署に更正の請求をして、払い戻しを受けることができます。

(2)贈与契約の合意解約は贈与税の課税対象

贈与契約の合意解約は贈与税の課税対象になりますが、次の条件すべてに該当すれば、合意解約でも例外的に贈与がなかったものとして取り扱うことができ、贈与税が課せられない場合もあります。

・取り消し等が贈与税申告書の提出期限までに行われ、かつ、取り消し等がなされたことが当該贈与に係る財産の名義変更等で確認できること
・贈与物が受贈者に処分され、もしくは将来生じるかもしれない不利益を補うための物件として利用されること、受贈者の債務(借金)に関する差押え等の処分の目的とされていないこと
・贈与物を贈与者または受贈者が、譲渡所得や非課税貯蓄等に関する所得税、その他の租税申告または届出をしていない場合
・贈与契約で財産を受け取った受贈者が、贈与物の果実(利益)を収受していない、または収受していた場合は贈与者に引き渡している場合

贈与された・したお金を返さないと罰則はある?実際にあった事例も紹介

ここでは贈与されたお金の返還を拒否することは可能なのか、実際にあったトラブル例も取り上げて解説します。

贈与されたお金の返還拒否について

返還の拒否はケースバイケースで判断されます。口約束で贈与者が受贈者にお金を引き渡したケースなら、後に贈与者から「やはりお金が惜しいから返してくれ」と言われても、原則として受贈者は拒否することができます。

一方、未成年者から多額の金銭を授受されたケースでは、単独での贈与だったなら受贈者は返還を拒否することはできません。しかし、その贈与に関して法定代理人(例:両親等)の同意を得ていたならば、基本的に返還を拒否できます

しかし、いずれのケースでもお金の返還に関してはトラブルが発生する場合はあり、紛争の事前回避のためにも契約内容が明記された贈与契約書を作成するべきです。

返還の拒否ができず罰則の適用も想定されるケース

最初から結婚する意思がないものの、そのつもりがあるかのように装い、相手に大量の金品を貢がせたケースが挙げられます。

これは民法上の詐欺にあたり、いわゆる「結婚詐欺」としてトラブルに発展する例と言えます。このような場合、受贈者は金品を返還する必要がある他、贈与者に損害があれば賠償責任も発生します。

また、刑法上の詐欺罪として処罰される可能性もあります。

親からの借金は課税対象になる?贈与税が課税されない場合とは

贈与とは自分の財産を相手方へ譲る契約であり、相手方に貸借する契約とは異なります。貸借の際に贈与税はかかりません。これは親子関係にある者同士でも同様です。

親から手渡しでの現金の受け取りでも、金額によっては贈与税がかかります。暦年贈与を活用し、毎年110万円以内の手渡しであれば贈与税がかからないため、上手く活用するようにしましょう。

親子間の借金は管理も甘くなりがちで、税務署から贈与とみなされることも考えられます。そのため、お金の貸し借りの証拠を残しておきましょう

次の対策を講じておきます。

・金銭消費貸借契約書の作成:契約内容を明記する
・返済の証拠を残す:返済する場合、親の金融機関の口座へ振り込みをして記録が残るようにする
・金利を付ける:住宅ローンは変動で年間0.6~0.8%・車のローンは変動で年間約2.5%が目安
・返済が可能な金額のやりとりをする:現実的に返済が可能な額を借りる

トラブルなく贈与を受ける方法と手順とは

贈与者と受贈者の認識が合っていなかったり、後々トラブルになったりすることを避けるため、贈与内容を書面に明記しておくことが大切です。「贈与契約書」の作成をおすすめします。

贈与契約書の書き方は法定されていませんが、次の5項目を明記しましょう。

・贈与を行った日付
・誰から誰へ贈与したか
・贈与した物
・贈与者・受贈者の住所と氏名
・(受贈者が未成年の場合)受贈者名・受贈者の親権者名を明記

なお、不動産を贈与する場合は収入印紙(200円分)が必要です。署名・押印は自筆が望ましく、印鑑は実印を使用しましょう。

なお公証役場で「確定日付」を取得すれば、贈与契約書の押捺の日付を確定し、この書類がその確定日付を押捺した日に存在することが証明されます。確定日付の付与は公証役場に申し出ます。本人確認書類は不要で、1件700円で請求できます。

贈与契約書の作成手順は次の通りですので、こちらに沿って作成してみましょう。

1、贈与者・受贈者で贈与内容を確認
2、贈与契約書の作成(2部)
3、双方が贈与契約書の内容を確認
4、互いに署名・実印で押印
5、(必要と感じたら)公証役場で「確定日付」を取得
6、双方が1部ずつ保管

贈与契約書の作成をはじめ、贈与に関する不明点がある場合は、一度専門家に相談してみることをおすすめします。

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