死後事務委任契約を銀行で【2026年版】口座解約の注意点も解説
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【記事内容を動画で解説】
死後事務委任契約とは?銀行に依頼する前に知るべき基礎知識
死後事務委任契約とは、委任者が受任者と契約し、亡くなった後の葬儀・埋葬や各種手続きを行ってもらう契約です。受任者には個人だけでなく銀行などの法人も選べます。契約内容は、相続に関する取り決めを除き委任者が自由に決定できます。
死後事務委任契約で依頼できること一覧
(1) 死亡後の手配・連絡等
- 葬儀の手配、親族・友人への連絡、喪主代行、火葬の手配、納骨 等
(2) 費用の清算等
- 賃貸物件の家賃、入院費用、介護施設入所費用の清算
(3) 行政への届け出等
- 死亡届、年金受給停止手続き、保険証返還 等
(4) その他
- スマホ・プロバイダ契約解除、電気・水道・ガス解約
成年後見制度・財産管理委任契約との違い
成年後見制度との違い
死後事務委任契約は本人の死亡後の手続きを任せる契約、成年後見制度は本人の生存中のサポートを任せる制度です。成年後見制度には「法定後見」「任意後見」があります。
法定後見は判断能力低下後に家庭裁判所へ申し立て、後見人等を選任(判断能力に応じ「後見」「保佐」「補助」に分かれる)。任意後見は判断能力低下前に本人と任意後見受任者が契約し、公正証書での作成が必要、低下後は家庭裁判所への任意後見監督人選任申立てが必要です。いずれも本人の生存中に限定されます。
成年後見人等の代理権は本人の死亡で原則消滅しますが、成年後見人は民法第873条の2により、相続人の意思に反しない範囲で家庭裁判所の許可を得て火葬・埋葬契約など一定の死後事務を行えます。
財産管理委任契約との違い
財産管理委任契約は、本人に判断能力はあるが介護等を必要とする場合に、生活・療養看護・財産管理の代理権を受任者へ与える契約です。本人の生存中のサポートである点が死後事務委任契約と異なります。
【おひとりさま必見】特に利用を検討すべき人の具体例
- 身寄りがなく死後の手続きを任せる親族がいない「おひとりさま」
- 子どもがいない夫婦で、配偶者亡き後に残された側
- 親族はいるが疎遠で負担をかけたくない方
- 信頼できる人はいるが、自分が長生きするかもと不安な方
死後事務委任契約で銀行口座の解約はできる?【結論:遺言書が必須】
受任者の権限だけでは預金の解約・払戻しは原則できない
多くの金融機関は、任意契約の受任者に対し後見人等より権限を認めない取り扱いをしています。そのため死後事務委任契約書に口座解約を含めても、手続きを拒否されるリスクがあります。
預金口座は名義人の死亡により相続財産となり、原則として相続人全員の関与が必要です。死後事務委任契約は葬儀・行政手続き・公共サービス解約などをカバーするもので、相続財産の処分は本来の役割ではありません。
財産手続きには「遺言執行者」の指定が不可欠
口座解約や預金払戻しを確実に実行するには、遺言書を作成し受任者を「遺言執行者」に指定することが有効です。遺言執行者は相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有し(民法第1012条)、金融機関での手続きがスムーズに進みます。
死後事務委任契約と遺言書をセットで作成すべき理由
死後事務委任契約は「事実行為(葬儀・解約・連絡)」、遺言書は「財産の承継・処分」をカバーします。役割が異なるため、口座解約を含め死後の手続きを完結させたい場合は両方をセットで作成します。
死後事務委任契約サービスを提供する銀行一覧
信頼できる人がいない場合、銀行などの法人に依頼できます。
※各サービスの内容・手数料・条件は変更される場合があります。最新情報は各金融機関でご確認ください。
三井住友信託銀行「おひとりさま信託」の特徴
死後事務・財産処分を委任するサービス。三井住友信託銀行の窓口で信託契約を締結し、死後事務委任は「一般社団法人安心サポート」と契約します。
| 三井住友信託銀行 | 一般社団法人安心サポート |
|---|---|
| ・おひとりさま信託の契約 ・エンディングノートを電子媒体で管理 ・SMS安否確認 ・死後事務費用の支払い ・安心サポートへの個人情報相互利用・書類取り次ぎ 等 | ・死後事務委任契約締結 ・遺体引取 ・友人・知人への訃報連絡 ・葬儀、埋葬、遺品整理 ・ペット搬送 ・公共サービス解約・精算 ・行政官庁への諸届出 等 |
死後事務の実行は安心サポートが行い、三井住友信託銀行はエンディングノート管理や書類取り次ぎ等を担当します。
十六銀行「未来よろしんたく」の特徴
葬儀・死亡事務等の資金管理から死後事務の実施、費用清算まで十六銀行がワンストップで行うサービス。十六銀行が直接、死後事務受任者となり、エンディングノート管理、各種手続き、費用清算等を行います。
その他にサービスを提供している銀行
- りそな銀行「おひとりさま安心信託」:高齢者等終身サポート事業者と提携し、生前の医療・介護費用の「支払口座」と死後事務費用の「相続後口座」に分けて資金管理。契約には提携サポート事業者との契約が必要(出典:りそなホールディングス)。
- 横浜銀行「はまぎん・おかねの信託」:遺言代用機能を持ち、指定受取人に遺産分割協議なしで資金を渡せる。「受益者代理人」指定で生前の財産管理も可能。直接的な死後事務委任契約ではないが、生前・死後の財産管理の一環として利用できる(出典:横浜銀行)。
銀行に死後事務委任契約を依頼するメリット・デメリット
死後事務委任契約は親族・友人や弁護士・司法書士・行政書士などとも締結できます。銀行を選ぶ場合のメリット・デメリットを整理します。
メリット1:倒産リスクが低く永続的な対応が期待できる
個人が受任者だと、その人が委任者より先に死亡したり判断能力を失うと改めて受任者を探す必要があります。銀行は複数の担当者が死後事務を管理・実行するため、委任者が長生きしても対応不能になる事態は考えにくいです。
身元保証や死後事務を請け負う事業者が倒産し預託金が返還されない事例もあります。経営基盤の安定した銀行は安心材料になります。
メリット2:財産管理と連携したワンストップサービス
銀行のサービスは信託・生命保険・遺言代用機能と連携しています。資金管理から死後事務の実行、費用清算まで一括で任せられ、窓口が分散しません。
デメリット1:費用が高額になりやすい
銀行が受任者になる場合、預託金として数百万円規模の資金が必要になるのが一般的です。最低受託金額が高額に設定される場合もあります。具体的金額は各金融機関の最新情報をご確認ください。
デメリット2:定型サービスで個別対応に限界がある場合も
銀行のサービスは定型パッケージが多く、細かな個別事情への柔軟な対応に限界がある場合があります。希望する死後事務が標準サービスでカバーされるか契約前に確認が必要です。
銀行だけじゃない?死後事務委任契約の依頼先を比較
司法書士・行政書士などの専門家
士業専門家は、死後事務委任契約だけでなく遺言書や任意後見契約とあわせて設計できます。個別事情に応じた柔軟な契約を組みやすく、費用も銀行より抑えやすい傾向です。
NPO法人・一般社団法人などの民間事業者
おひとりさま支援を専門とするNPO法人や一般社団法人も死後事務を請け負います。ただし倒産で預託金が返還されない事例もあるため、経営状態や預託金管理方法(信託銀行への預託など)を事前確認します。
高齢者等終身サポート事業については、2024年に国(内閣官房・厚生労働省など)がガイドラインを公表し、契約内容の明確化や預託金の適正管理が求められています。指針に沿った運営かも確認するとよいでしょう。
社会福祉協議会
社会福祉協議会も地域住民向けの死後事務支援を提供します。福岡市社会福祉協議会の「やすらかパック事業」は、生前契約により毎月定額の利用料を支払い、直葬、納骨、家財処分などを行います。対象者・利用料に条件・地域差があり、最新情報は各協議会でご確認ください。比較的低コストが特徴です。
【一覧表】依頼先ごとの特徴・費用・注意点の比較
| 依頼先 | 特徴 | 費用の目安 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 銀行 | 倒産リスクが低く永続性が高い/信託と連携 | 預託金数百万円〜、最低受託金額が高額な例も | 費用が高額・定型サービス中心 |
| 司法書士・行政書士 | 遺言書等と一体で柔軟に設計可能 | 事務所により幅がある | 個人受任者は永続性に注意 |
| NPO・一般社団法人 | おひとりさま支援に特化 | 事業者により異なる | 経営状態・預託金管理の確認が必須 |
| 社会福祉協議会 | 低コスト・地域密着 | 自治体により異なる | 対象者・地域の条件あり |
銀行の死後事務委任契約にかかる費用を内訳まで解説
費用の仕組み:なぜ預託金や生命保険が必要なのか
死後事務では死亡後に葬儀費用や清算費用が発生します。その資金を確保するため、銀行は契約後に預託金の入金または指定生命保険への加入を求めます。生命保険方式では銀行が死亡保険金の請求・管理を行います。
両方式を選べる銀行もあれば、預託金方式のみの銀行もあるため、事前に資料を確認しましょう。
【費用内訳】契約時手数料・管理報酬・実行報酬の目安
- 契約時手数料:契約締結時の初期費用
- 管理報酬(年間手数料):運用報酬・期中管理報酬など、年間数万円程度の場合あり
- 実行報酬・実費:死後事務実行時の報酬と実費
預託金や死亡保険金の全額が銀行の利益になるわけではありません。報酬・費用を差し引いて余った分は「帰属権利者」に支払われます。帰属権利者は、依頼者が推定相続人や銀行提携の寄付先法人から選びます。
料金体系の比較
一般的な目安(金額は各金融機関・時期で変動):
- 預託金方式:最低預託金額200万円〜300万円程度
- 生命保険方式:保険金設定金額250万円〜
銀行ごとに料金体系は異なるため、複数行の資料を取り寄せて比較しましょう。手数料の具体的金額は変更される場合があり、各金融機関の最新公式資料でご確認ください。
銀行での死後事務委任契約|相談から締結までの4ステップ
日本国内居住の個人であれば基本的に誰でも契約でき、タイミングは自由です。退職後、終活の一環として締結するのも良い方法です。
STEP1:無料相談・資料請求
銀行窓口に死後事務を相談します。死後事務サービスを取り扱う窓口なら無料で対応。葬儀等に希望があれば銀行が提携業者を紹介します。
STEP2:契約内容の打ち合わせ・エンディングノート作成
担当者と話し合い、納得の上で契約内容を固めます。あわせて死後の希望を明記するエンディングノートを作成し、葬儀・埋葬方法、死亡時の届け出などを記入します。
STEP3:契約締結と必要書類の準備
契約書等の作成と委任者の本人確認書類が必要です。
- 死後事務委任契約書:銀行の所定書類で作成
- エンディングノート:銀行の所定書類で作成
- 住民票(本籍地記載):住所地の市区町村役場で取得、1通300円程度(自治体により異なる)
- 戸籍謄本:本籍地の市区町村役場で取得、1通450円
- 印鑑登録証明書:住所地の市区町村役場で取得、1通300円程度(自治体により異なる)
銀行HPで依頼者のマイページ開設が必要な場合もあります。
STEP4:預託金の入金または生命保険への加入
契約後、所定期限内に預託金を入金するか指定生命保険に加入します。その後、銀行がエンディングノートを保管・管理し、死亡後はその内容に基づき死後事務を進めます。
銀行との死後事務委任契約で後悔しないための注意点
死後事務委任契約は判断能力が十分あるうちに締結する必要があります。認知症等で判断能力に著しい欠如があると、銀行から契約を拒否される可能性が高くなります。
契約でカバーされる事務の範囲を明確にする
契約内容をよく確認し、希望に即しているか把握します。前述の通り、口座解約など財産処分は死後事務委任契約だけでは確実に実行できない場合があります。遺言書での遺言執行者指定とあわせ、どこまでカバーするか明確にしましょう。
相続人による契約解除のリスクとその対策

相続人がいる場合、契約の存在が知らされていないと「勝手に葬儀や遺品整理が行われた」とトラブルになることがあります。実際に契約を結んでいたのに疎遠な親族が反対し、希望通りの内容が変更された事例があります。
委任契約は委任者の死亡で原則終了しますが(民法第653条)、判例上、死後事務を含む委任契約は委任者の死亡でも終了させない合意があったと解され、有効に存続します(最高裁平成4年9月22日判決)。ただし相続人が解除できるとする見解もあるため、たとえ疎遠でも相続人となる親族には、事前に契約の事実と内容を伝えておきましょう。親族の理解が契約のスムーズな履行につながります。
途中解約の条件や手数料も必ず確認する
長期契約のため途中解約の可能性もあります。解約時の条件、預託金の返還方法、解約手数料の有無を契約前に必ず確認しましょう。あわせて預託金の管理方法(信託銀行への預託など)を確認しておくと倒産リスクへの備えになります。
まとめ:銀行での死後事務委任契約は専門家への相談から始めよう
自分に合った依頼先を見つけることが重要
銀行は倒産リスクが低く永続性に優れる一方、費用が高額になりやすく定型化されています。司法書士・行政書士、NPO・一般社団法人、社会福祉協議会など依頼先ごとに費用や柔軟性が異なります。さらに口座解約まで確実に行うには、死後事務委任契約と遺言書(遺言執行者指定)をセットで準備するのが鍵です。事情に合った依頼先と契約設計を選びましょう。
不明点は相続診断士などの専門家に無料で相談
死後事務の相談はサービスを取り扱う銀行窓口なら無料で対応します。ただしメリット・デメリットを中立的視点で把握したいなら、相続全般の専門知識を持つ「相続診断士」へまず相談しましょう。相続診断士は悩みや不明点に的確なアドバイスを行います。
【無料相談】相続に関するお悩みは相続診断士へ
相続は十人十色、十家十色の事情や問題があるもので、その解決策は一通りではないものです。
本記事で抱えている問題が解決できているのであれば大変光栄なことですが、もしまだもやもやしていたり、具体的な解決方法を個別に相談したい、とのお考えがある場合には、ぜひ相続のプロフェッショナルである「相続診断士」にご相談することをおすすめします。
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