婚外子(非嫡出子)とは?認知の種類、相続割合や相続させない方法を解説!

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遺産相続

婚外子(非嫡出子)とは?

「婚外子」や「非嫡出子」という言葉を聞いたことがありますか?ここでは、その正確な定義や、婚外子の認知手続きについて簡単に解説していきます。

婚外子の定義

婚外子(非嫡出子)とは婚姻関係にない、内縁関係の男女の間に生まれた子どもを指します。

例えば、妻以外の女性(愛人)との間に子どもができた場合、その子どもは婚外子(非嫡出子)になります。

婚外子の場合、生まれてすぐに父親の相続権は有していません。

なお、被相続人には離婚歴があり、子どもが元配偶者に引き取られた場合、被相続人が婚姻して出生した子どもであるならば嫡出子なので、当然に相続権が発生します

婚外子の認知手続き

「認知」とは、婚外子を自分の子であると認めることをいいます。
母親と子の親子関係は、分娩の事実により当然発生すると考えられていますが、父親と子の親子関係は、当然に明らかになるわけではありません。
したがって、父親が婚外子を認知することで出生の時にさかのぼって法律上の父子関係が生じることになります。

父親が婚外子を認知する方法は、父が任意に行う「任意認知」、父が任意に認知しないときに子などが認知の訴えを起こす「強制認知」(民法第787条)があります。

任意認知

任意認知は父が役所へ届け出ることにより行います(民法第781条)。また、父が遺言書に記載して行うこともできます(同条第2項)。

認知をするためには、認知の法的効果を理解できるだけの意思能力が必要です。未成年や成年被後見人でも、意思能力がある限り、法定代理人の同意なしで認知をすることができます(民法第780条)。

認知は、父がいつでも自由に行うことができますが、以下の例外があります。

  1. 認知する子が成年であるときには、その子の承諾を得なければならない(民法第782条)。
  2. 胎児を認知するときには、母の承諾を得なければならない(民法第783条第1項)。
  3. 死亡した子でも、直系卑属(子・孫など自分より後の世代で、直通する系統の親族のこと)がいる場合に限り、認知することができる。しかし、その直系卑属が成年であるときは、その承諾を得なければならない(同条第2項)。

これらの例外措置は、父の身勝手を防いだり、子や母の名誉・利益を守るために設けられています。

強制認知

強制認知とは、父が任意に認知しないときに、子、その直系卑属(子、孫など)または法定代理人(母など)が起こす認知の訴えのことです(民法第787条)。

認知の訴えを起こす前には、まず調停の申し立てをしなければなりません。調停で父子関係の存在について当事者の間に争いがない場合には、合意に相当する審判が行われます。

合意が成立しない場合には、裁判に移行します。裁判を起こせるのは、子、その直系卑属またはこれらの代理人です。子が未成年の場合でも、意思能力(自らの行為の意味を理解する能力)がある場合には単独で訴えを起こせます。

原告(訴えを提起する側)は、父と子の間に自然血縁関係が存在することを証明しなければなりません。現在ではDNA鑑定を行えばほぼ100%の確率で自然血縁の存在を確定することができます。

婚外子(非嫡出子)には相続権がある?

婚外子の場合、母親が法律上も子どもの親として、出生と同時に母方の戸籍に入ります。
ただし、非嫡出子の「父親」の欄は空白のままになり、このままでは父親との血縁関係を法律上証明できません。

つまり、婚外子の場合、出生しただけでは父親の相続権を持たない状態のままとなります。

法律上、婚外子が父親の相続権を得るには、父親から「自分の子どもである。」と認知してもらう必要があります。
認知の方法にはいろいろな種類があります。

  • 任意認知:父親の意思で婚外子を認知する方法。父親が本籍地のある市区町村役場に、認知届等を提出する。ただし、婚外子が成年ならばその同意も必要。
  • 遺言認知:遺言書に認知する旨を明記する方法。ただし、相続開始後に効力が発生する。
  • 強制認知:婚外子本人や母親から認知を裁判所に請求する方法。父子関係が立証された場合、父親は認知を拒否できない。
  • 死後認知:父親の死後3年以内に、認知を裁判所に請求する方法。DNA鑑定・関係者の証言等により父子関係の存否を判断する。

認知が認められれば婚外子は相続権を取得します。婚外子の法定相続分は嫡出子と同等であり、相続の優先順位も嫡出子と同じです。

婚外子の法定相続分の違い

認知により相続権を持つ婚外子(非嫡出子)は、婚内子(嫡出子)とひとしい割合で遺産を受け取ることが可能です。

かつて、婚外子が受け取ることができる遺産は、婚内子の半分と定められていました。しかし、平成25年の最高裁の判例によって、婚外子と婚内子で相続分に差を設けることは憲法に反すると判断されました。父母の婚姻関係の有無という、子どもにとってどうしようもできない事柄を理由に、その子どもに不利益を及ぼすことは許されないとしたのです。それを受けて民法の一部が改正され、婚外子の相続分が婚内子の相続分と同等になりました。

婚外子・婚内子の法定相続分を等しくする改正民法が適用されるのは、平成25年9月5日以降に開始した相続が対象です。

婚外子の権利保護

婚外子は、認知されない限り父子関係がないとされるので、父の財産を相続できません。また、父に金銭援助(養育費)を求めることもできません。
同じ両親から生まれてきたとしても、婚外子・婚内子という違いがあるだけで、本来父から与えられるはずの利益を得られない可能性があるということです。

婚外子の権利の保護のためには、認知が必要不可欠です。DNA鑑定の性能が上がってきたこともあり、認知が認められやすくなったとはいえ、そのハードルはいまだに低くはありません。

家庭裁判所には、認知調停という手続きが用意されています。これは、子やその母から父に対して認知を求めるときに、「調停委員」という裁判所の職員を間に挟んで話合いをする手続きです。当事者同士で直接話し合うより心理的負担が少なく、専門家の意見を取り入れながら合意に向かうことができるので、婚外子の権利保護に資する重要な手続きです。

婚外子に相続させたくない!相続させない方法とは?

相続が開始されたとき、全く面識の無い婚外子が現れて「私には相続権がある」と主張されても、他の法定相続人達はすんなり受け入れられないはずです。

こちらでは婚外子に相続させたくないという方に、相続させない方法を説明しましょう。

遺留分の放棄をしてもらう

被相続人が遺言書を作成し、たとえ婚外子の相続分をしてしていなかったとしても、認知を受けた婚外子には相続権があります。

婚外子は遺留分(法定相続人に認められている最低限の遺産の取り分)の主張が可能です。

この場合、婚外子は他の法定相続人に対し「遺留分侵害額請求権」の行使が想定されます。

そこで、他の法定相続人は直に婚外子を説得したり、弁護士に交渉を任せたりして、遺留分を放棄してもらう方法があります。

遺留分を放棄する場合、裁判所に申し立てを提起するような方法ではなく、単に婚外子が「遺留分を請求しません。」と意思表示すれば成立します。

遺留分侵害額請求は、

  • 相続の開始や、遺留分を侵害する贈与または遺贈があった事実を知った時から1年
  • 相続開始の時から10年

いずれかの間に行わねばなりません。その期間内に請求が行われなければ、婚外子の遺留分に関する権利は失われます。

相続分を譲渡してもらう

被相続人が遺言書を作成していなかった場合、複数の法定相続人が存在するならば「遺産分割協議」を開催し、遺産をどのように分けるか話し合う必要があります。

そんな時に相続権を持つ婚外子が現れたら、法定相続人の間で協議がなかなか進まなくなる可能性もあります。

この場合は何とか婚外子を説得し、相続分を譲渡してもらいましょう。

相続分の譲渡に特別な手続きは不要です。もちろん口頭の合意でも成立しますが、譲渡のあった事実を証拠として残すため「相続分譲渡証明書」を作成しましょう。

相続分譲渡証明書を作成する際は「自分の相続分を他の法定相続人に譲渡する。」という旨を明記し、署名・押印(実印が望ましい)します。

ただし、法定相続人側が無償で譲渡をお願いしても、婚外子から遺留分の侵害と判断されてしまう可能性があります。

そこで、被相続人の遺産を調査した際、不動産のような分割し難い相続財産が多かったケースでは、他の法定相続人が婚外子へ法定相続分に相当する金銭を与え、有償で譲渡してもらいましょう。

その方がスムーズに相続手続きは進むはずです。

特別受益の持ち戻し

「特別受益」とは、一部の相続人だけが被相続人から生前贈与や遺贈、死因贈与で受け取った利益のことです。
特定の相続人だけが被相続人から多く財産をもらっているのに、これを無視して遺産分割を行うと、不公平になりかねません。しかし、その特別受益を相続財産の額と合算し、そのうえで具体的な相続分を計算すれば、公平に相続手続きが行えます。これを、「特別受益の持ち戻し」といいます。

婚外子が被相続人から特別に財産を受け取っていた場合、特別受益の持ち戻しを行えば、婚外子に財産を相続させずに済む可能性があります。

婚外子の相続権放棄は可能?可能なケースと不可能なケースを解説!

婚外子に相続権を放棄してもらえたなら、最初から婚外子は相続人で無かった効果が得られるので、遺産分割協議は婚外子を抜きにして進められます。

相続放棄の手順は次の通りです。

  1. 婚外子と協議し放棄の同意を得る
  2. 婚外子は相続の開始があった事実を知ったときから3か月以内に「相続の放棄の申述」を被相続人の最後の住所地の家庭裁判所に申し立てる
  3. 家庭裁判所が相続放棄の申述を受理する

申述の際には必要書類を収集・提出します。

  • 相続放棄の申述書:家庭裁判所にて取得
  • 収入印紙800円分・連絡用の郵便切手
  • 被相続人の住民票除票又は戸籍附票:住民票除票は被相続人が最後に住んでいた地の市町村役場で取得(1通300円)、戸籍附票は本籍地の市町村役場で取得(1通300円)
  • 申述人(放棄する婚外子)の戸籍謄本:本籍地の市町村役場で取得(1通450円)
  • 被相続人の死亡の記載のある戸籍(除籍・改製原戸籍)謄本:被相続人の市区町村役場で取得(1通450円~750円)

ただし、相続放棄は婚外子に強制することはできず、説得して同意あったケースのみで可能となります。

相続放棄の同意を得るには、相続分を譲渡するのと同様、法定相続分に相当する金銭を与える等の方法が有効です。

相続放棄の手続きと注意点

相続放棄とは、相続発生の際にプラスの財産もマイナスの財産も一切引き継がず放棄することです。
相続の開始があった事実を知ったときから3か月以内に「相続の放棄の申述」を被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に行う必要があります。

そこで注意したいのが、婚外子が相続放棄前に「単純承認」をしたとみなされないようにすること。単純承認とは、被相続人の相続財産を無条件ですべて相続することをいい、これにより相続放棄ができなくなります。

被相続人名義の不動産を売却したり(相続財産の処分)、預金を使い込んでしまったり(相続財産の費消)すると、単純承認をしたとみなされ、相続放棄ができなくなってしまいます。そのため、被相続人が亡くなったことを伝える際に、被相続人の財産を売却したりしないように依頼しましょう。

遺留分侵害請求の具体的手続き

「遺留分侵害請求」とは、相続人の最低限度の取り分である「遺留分」を守るために行う請求です。旧民法では遺留分減殺請求とよばれていました。遺留分侵害請求は、遺留分の侵害を知った日から1年以内にしなければなりません。また、相続開始から10年を経過すると、遺留分侵害請求ができなくなります。

遺留分は民法に細かく規定されています。兄弟姉妹以外のすべての相続人に認められており、もちろん婚外子も「子」として遺留分を持っています。

法定相続人法定相続分遺留分
配偶者のみ配偶者1(全部)1/2
子のみ1(全部)1/2
父母のみ父母1(全部)1/3
兄弟姉妹のみ兄弟姉妹1(全部)なし
配偶者と子配偶者1/21/4
1/21/4
配偶者と父母配偶者2/31/3
父母1/31/6
配偶者と兄弟姉妹配偶者3/41/2
兄弟姉妹1/4なし
※複数人いる場合には、人数で均等に分ける

遺留分侵害請求の手続きの流れは、以下の通りです。
①遺留分侵害額の計算
 以下の式により、遺留分侵害額を計算します。
遺留分額=基礎財産×遺留分割合
遺留分侵害額=遺留分額ー実際に取得した基礎財産

※基礎財産:相続財産、遺贈された財産、相続開始前10年間(相続人以外の人が受けた場合は1年間)に生前贈与された財産の総額から、相続債務を控除したもの

②請求の相手方の特定
各自の遺留分を上回る基礎財産を取得した、遺留分請求侵害請求の相手方を特定します。

③遺留分減殺請求について相手方と話し合う
まずは遺留分を侵害している相手方と話し合いの場を持ちましょう。相手が納得して遺留分の返還に応じる場合には、「遺留分侵害額に関する合意書」を作成します。

④内容証明で請求する
遺留分侵害請求が話し合いで解決しない場合、内容証明郵便に遺留分侵害請求の内容を記載して請求します。内容証明郵便であれば、いつ、誰から誰に、どんな文章を送ったのかを証明できるので、相手にプレッシャーを与えるとともに、請求したという証拠を残すためにも有用です。

⑤調停による遺留分侵害額の請求
内容証明郵便を送っても相手方が応じない場合には、遺留分侵害額の請求調停を相手方の住所地を管轄する家庭裁判所へ申し立てましょう。
調停では、調停委員という裁判所のスタッフを間に挟んで話合いを行います。調停委員のアドバイスや説得を受けることで、相手方が遺留分侵害請求に応じる可能性が高くなります。

⑥訴訟による遺留分侵害額の請求
調停でも話し合いがまとまらない場合には、請求者が原告となって被相続人の最後の住所地の地方裁判所(訴額が140万円を超える場合)、または簡易裁判所(訴額が140万円以下の場合)に遺留分侵害額請求訴訟を提起します。

婚外子のいる相続でよく起こるトラブル事例を紹介!

被相続人から認知された婚外子は相続権を有します。相続開始時、被相続人の認知した婚外子がいるとわかったら、基本的に遺産分割協議へ参加させなければいけません。

しかし、次のようなケースで遺産分割協議が進まなくなる可能性もあります。

  • 婚外子がどこにいるのかわからない
  • 遺産分割協議に参加を要請しても無視される
  • 遺産分割協議には明確な期限はありません。

しかし、相続税の申告・納税期限は相続の発生を知った日の翌日から10カ月以内なので、課税される可能性が高いなら、こちらの期限内に協議をとりまとめたいものです。

この場合、関係者から婚外子の居場所を知らせてもらったり、協議へ参加する代わりに相続分の譲渡や相続放棄へ合意してもらったりして、協議を進めていく必要があるでしょう。

婚外子との相続分の対立

婚外子と相続分が対立した場合、寄与分について主張することが有用です。

婚外子の寄与分の影響

「寄与分」とは、被相続人の財産の維持や増加に貢献した場合に、他の相続人よりも相続財産を多く分けてもらうことができる制度です。
寄与分が認められるためには、以下のすべてを満たす必要があります。

①相続人であること
相続人には、認知された婚外子も含みます。

②被相続人の財産の維持または増加に貢献した行為を行ったこと
被相続人が自宅をリフォームする際に資金を援助した時、老人ホームへの入居金を負担した等の場合、寄与分が認められる可能性があります。

③期待される以上に貢献した行為である「特別の寄与」を行ったこと。
夫婦や親子として多少身の回りを世話をした程度の貢献では、特別の寄与として認められません。たとえば、本来施設に入るべき状態なのにもかかわらず、自宅で被相続人の面倒を見ていたので、施設代を支払わなくて済んだ、などの場合、特別の寄与と認められる可能性が高いです。

婚外子は、通常被相続人と同居していないことが多く、寄与分が認められる可能性は低いと考えられます。そのため、他の相続人の寄与分について争い、法定相続分での遺産分割を求めてくる可能性があるでしょう。その際、トラブルを防ぐためにプロである弁護士に相談することも一手です。

婚外子のいる相続でトラブルを防ぐ方法

婚外子と他の法定相続人とが対立し深刻な事態にならないよう、事前にトラブル防止対策や専門家への相談を検討しておく必要があります。

生前贈与を活用する

被相続人が婚外子に相続財産を譲りたくない場合は、自分の資産をできるだけ家族に生前贈与し、相続開始時の相続財産をできるだけ減らす方法が考えられます。

そうすれば婚外子が相続権を主張しても、婚外子の取得する財産を大幅に抑えられる可能性があります。

ただし、相続発生の10年以内に行われた生前贈与は、婚外子の遺留分侵害額請求の対象です。

また、贈与者(被相続人)・受贈者双方が、婚外子の遺留分を侵害すると知りながら贈与・受贈した場合、いつ贈与したかを問わず、すべての生前贈与が遺留分侵害額請求の対象となるので注意しましょう。

なお、受贈者1人につき年間の110万円を超える贈与があった場合、贈与税が課される点にも要注意です。

遺言書を作成する

被相続人が婚外子にも他の法定相続人にも、平等に遺産を引き継がせたいときは、遺言書を作成しましょう。相続時は原則として遺言の内容に従い、相続人が遺産を取得します。

遺言書で婚外子の存在を明かしたうえで遺言認知も行い、法的な親子関係を証明したうえで、遺産を相続させます。

生きている間、婚外子がいるとは家族になかなか言い出せなくても、この方法なら婚外子に遺産を分与できます。

遺言書の効果的な活用方法

遺言書によって婚外子を認知すると、相続人が増えることになります。それにより、法定相続分や相続順位が変わります。他の相続人はもらえる遺産が少なくなったり、もらえなくなったりすることがあるため、トラブルになる可能性があります。

婚外子の存在を知らなかった相続人に配慮して、遺産の配分を指定すると、相続人同士のトラブルを未然に防げる可能性があるので、遺言を有効活用して、スムーズに相続が行われるようにしておきましょう。

家庭裁判所の調停手続き

家庭裁判所での遺産分割調停手続きは、被相続人の財産はどのようなものがあって、それを相続人の間でどのように分けるかについて、「裁判官」と「調停委員」で組織される「調停委員会」が、中立公正な立場でそれぞれの当事者がから言い分を平等に聞いて、調整したり、具体的な解決策を提案するなどして、話合いで解決できるようあっせんする手続きです。

通常、婚外子は婚内子よりも被相続人からの恩恵を受けづらいことから、ほかの相続人との不公平を感じている可能性があります。ほかの相続人の特別受益について、納得行くまで話し合うためには、裁判所という公的な機関を使うことが解決への近道になる可能性があります。

遺産分割協議の進め方

遺産分割協議をする前に、まず、遺言書の有無を確認しましょう。それと並行して、被相続人の遺産を調査します。不動産登記簿謄本や、預金通帳など、金銭的価値のあるものを洗い出しましょう。

相続人が誰なのかも調査します。被相続人に配偶者、子、父母、兄弟姉妹がいるのか、被相続人の戸籍謄本などを取り寄せて行います。
ここで婚外子の存在が明らかになることが多いです。婚外子に連絡が取れないなどの問題がある場合には、弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。

上記の準備ができたら、いよいよ遺産分割協議を行います。遺産分割協議の成立には、相続人全員の合意が必要なので、納得いくまで話し合いましょう。
相続人全員が一堂に会するのが難しい場合には、代表の相続人が一人ひとりと電話などで話し合って協議をまとめてもかまいません。

遺産分割協議がまとまったら、その結果を記した遺産分割協議書を作成しましょう。遺産分割協議書には、誰がどの遺産をどのような形で取得するのかを明確に記載し、相続人全員が署名、実印での押印を行います。

こうして完成した遺産分割協議書は、不動産の名義変更や、預貯金の解約などさまざまな手続きで必要になります。

相続税対策の方法

相続税対策とは、相続税を少なくする方法です。
相続税はある一定の資産額まではかかりません。そのことを「基礎控除」といいます。基礎控除は「3000万円+600万円×法定相続人の数」で計算できます。これを超えた部分にのみ、相続税が課されます。
相続税の金額は相続財産の評価額に応じて決まります。

生前にしておくべき相続税対策として、①年間110万円まで税金がかからない暦年贈与をする、②贈与税のかからない特例で贈与する、③相続税がかからない生命保険を契約する、④不動産を活用する、などの手段が考えられます。

暦年贈与をする

暦年贈与制度とは、1年間にもらった財産の合計額が110万円以下であれば贈与税がかからないという制度です。110万円を超えても、18歳以上の人が親や祖父母からもらった財産の贈与税は軽減されます。
年間110万円を生前の早い段階から毎年子や孫に贈与しておけば、相続財産を減らすことにより、相続税も減らせます。
ただ、贈与者の死亡日以前7年間に贈与された分は、贈与した時の時価で相続財産に加算するというルールがあるので、注意しておいてください。

贈与税のかからない特例で贈与する

贈与を行うと、基本的には贈与税がかかります。ただ、いくつかの特例があり、一定額まで非課税で贈与ができる場合があります。

①教育資金贈与の非課税措置
親や祖父母から30歳未満の子や孫へ「教育資金」を非課税で贈与できる制度です。入学費や学費など、学校に直接支払うもの、塾や通学定期券代、留学のための渡航費などの交通費に使えます。その額は、受遺者ひとりにつき1500万円(学校以外への支払いは500万円)です。

②結婚・子育て資金贈与の非課税措置
父母や祖父母などから、子や孫へ結婚や子育てのために一括で贈与された資金について贈与税が非課税になるものです。
挙式代や、妊娠、出産、育児に必要な費用に使えます。その額は、受遺者ひとりにつき1000万円(このうち結婚のための費用は300万円)です。

③住宅取得資金の贈与税の非課税措置
父母や総父母などから、子や孫へ住宅の購入や増改築のためにお金を贈与しても、一定額まで贈与税がかからない制度です。受遺者は、贈与を受ける年の1月1日時点で18歳以上である必要があります。
省エネ・耐震性・バリアフリーの住宅に対しては1000万円まで非課税、それ以外の住宅は500万円まで非課税となります。

相続税がかからない生命保険を契約する

被相続人が生前に保険料を負担した生命保険金を受け取ると、相続税がかかります。しかし、保険料負担者と被保険者が被相続人で、受取人が相続人であれば「500万円×法定相続人の数」までは相続税が非課税となります。
ただ、相続放棄をすると非課税枠が使えないので注意が必要です。

不動産を活用する

更地や空き家を賃貸物件として活用すると節税対策になります。賃貸物件は、自宅や別荘よりも自由に使えない分、相続税評価額が下がるからです。
ただ、空き室があるとその分相続税評価額が上がってしまい、それどころか収益が減って赤字になってしまう可能性があります。賃貸物件の運用を上手に行うことが必要です。

婚外子の相続に関する相談は専門家へ

相続開始後いきなり婚外子が名乗り出てきて困っているという相続人、婚外子の存在を家族に言い出せず悩んでいる被相続人は、法律の専門家である「弁護士」に相談しましょう。

弁護士はケースに応じた的確なアドバイスを提供してくれます。

また、婚外子も含めた相続手続きに不安を感じているなら、相続の身近な専門家である「相続診断士」へ相談するのも良い方法です。相続診断士は様々な相続の質問・疑問に応えてくれる有資格者です。

今後、婚外子への対応を相続診断士とよく話し合えば、事前にいろいろな対応策を検討できます。

【無料相談】相続に関するお悩みは相続診断士へ

相続は十人十色、十家十色の事情や問題があるもので、その解決策は一通りではないものです。

本記事で抱えている問題が解決できているのであれば大変光栄なことですが、もしまだもやもやしていたり、具体的な解決方法を個別に相談したい、とのお考えがある場合には、ぜひ相続のプロフェッショナルである「相続診断士」にご相談することをおすすめします。

本サイト「円満相続ラボ」では、相続診断士に無料で相談できる窓口を用意しております。お気軽にご相談ください

この記事を監修したのは…

御法川 明

司法書士

御法川 明(みのりかわ あきら)

平成20年司法書士試験合格

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