積立NISAを所有する被相続人の死亡時の手続き方法!相続税評価額の計算方法も解説!

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遺産相続

積立NISAとは?どんな種類がある?

積立NISAとは、2018年から開始された少額からの長期・積立・分散投資を支援する非課税制度です。

積立NISAと一般のNISA

初心者が気軽に投資信託を利用できるよう配慮されており、積立NISAの対象になる金融商品は金融庁に届け出があった「株式投資信託」と「ETF(上場投資信託)」のみに限定されます。

一般のNISAと特徴を比較してみましょう。

比較積立NISA一般のNISA
非課税保有期間20年間5年間
年間投資枠40万円120万円
投資可能商品金融庁に届け出があった株式投資信託・ETF上場株式・ETF・公募株式投信・REIT等
買付方法積立投資通常買付・積立投資

なお、現時点では積立NISAと一般のNISAが併用できないので注意しましょう。

2023年税制改正でどう変わる?

積立NISAと一般のNISAは2023年(令和5年)税制改正で大幅な変更が行われ、2024年から次のような内容に変わります。

項目改正前改正後
非課税保有期間・積立NISA:最長20年間
・一般NISA:最長5年間
無期限
口座開設期間・積立NISA:2042年まで
・一般NISA:2028年まで
恒久化
年間投資枠・積立NISA:40万円まで
・一般NISA:120万円まで
年間360万円まで投資可能
・積立投資枠:年間120万円まで
・成長投資枠:年間240万円まで
非課税保有限度額・積立NISA:800万円まで
・一般NISA:600万円まで
全体で1,800万円まで
成長投資枠は1,200万円まで売却後の投資枠再利用が可能
積立NISA・一般のNISA併用不可併用可能

税制改正で積立NISAと一般のNISA共に、より柔軟な利用が期待できます。

積立NISAを所有していた被相続人の死亡時に行うべき手続きの流れを解説!

NISA口座を開設している被相続人が亡くなった場合、そのまま株式等を売却したり、配当金・分配金を受け取ったりはできません。次の手続きを進める必要があります。

  1. 金融機関に連絡をし、相続に関する手続き書類を送ってもらう
  2. 必要書類を収集する
  3. 未受領配当金明細書の請求をして、相続対象となる株式等の保有銘柄・数量確認する
  4. 被相続人の遺言書があれば引き継ぐ相続人を確認、遺言書が無い場合は遺産分割協議で引き継ぐ相続人を決める
  5. 株式等を引き継ぐ相続人に証券口座がないとき、前もって被相続人と同じ金融機関に口座を開設する
  6. 金融機関の所定の用紙に相続人全員で署名・押印、必要書類を添付し提出する
  7. 2~3週間程度で株式等を引き継いだ相続人の口座に移管、手続き完了

積立NISA口座の相続手続きで必要な書類とは?手続きに費用はかかる?

相続手続きの際にはいろいろな書類を準備し、金融機関へ提出する必要があります。相続手続きの手数料は基本的に無料です。

  • 相続手続依頼書(株式等移管依頼書):金融機関から郵送される
  • 非課税口座開設者死亡届出書:金融機関から郵送される
  • 被相続人の出生~死亡までの戸籍謄本(除籍謄本):本籍地の市区町村役場、1通450円~750円
  • 相続人全員の戸籍謄本:本籍地の市区町村役場、1通450円
  • 相続人全員の印鑑登録証明書:住所地の市区町村役場、1通300円
  • 遺言書または遺産分割協議書:あれば提出する

なお、残高証明書(投資信託等がいくらあるのかを証明する書類)が必要ならば、次の書類を金融機関へ提出します。

  • 残高証明書等発行依頼書:金融機関から取得
  • 被相続人の戸籍謄本(死亡記載あり):本籍地の市区町村役場、1通450円
  • 請求者の戸籍謄本等
  • 請求者の実印・印鑑登録証明書

積立NISA口座の相続税評価額の計算方法

一般的な投資信託の評価額を算出する際には、まず投資信託の1口あたりの価格と保有口数を掛け合わせて全体の評価額を求めます。通常、投資信託の1万口あたりの基準価格が公表されているので、これを基に1口あたりの価格を計算します。

次に、相続が発生した日を基準として、もしその日に投資信託を換金した場合に発生する配当所得や利子所得から源泉徴収される所得税を考慮し、解約時にかかる手数料や信託財産留保額を差し引いた後の金額を評価額とします。

計算式は以下のようになります:
1口あたりの基準価格 × 保有口数 − 配当所得・利子所得に対する源泉徴収額 − 信託財産留保額および解約手数料

積立NISAの相続で知っておくべき3つのこと!

積立NISAの相続の際に把握しておくべき点を解説しましょう。

移管のための口座について

被相続人が運用していた積立NISA口座内の投資信託を引き継ぐ場合、相続人名義の口座が必要です。

ただし、移管のためにはどんな証券会社の口座でも良いわけでなく、原則として被相続人の口座と同じ証券会社の口座に限定されます。

同じ証券会社の口座を持っていないならば、事前または相続手続きと同時に、被相続人がNISA口座を持っていた同じ証券会社で、相続人本人名義の口座を開設しておく必要があります。

また、申込時に口座の種類を選ばなくてはいけません。口座には「特定口座」と「一般口座」の2種類があります。

選ぶ際におすすめなのが「特定口座・源泉徴収あり」です。こちらの口座にすれば、確定申告等の一連の手続きが面倒でも、税金の処理を証券会社に任せられるので安心です。

含み益・分配金について

相続発生時には、被相続人の積立NISA口座内の投資信託はすべて払い出された扱いになります。

その際、積立NISA口座内の投資信託に含み益(購入してから値上がりした利益)があれば非課税です。その他、相続開始日までに権利が確定した分配金も非課税となります。

ただし、相続人の口座へ移管後、投資信託を売却したならば課税口座内での取引になるため、相続時点の時価と比較し値上がりしていると、その利益分は課税されてしまいます。

また、相続開始日の翌日以降、権利が確定した分配金も課税の対象なので注意が必要です。

換価分割のケースについて

相続した投資信託を売却し、複数の相続人で代金を分ける(換価分割)と、確定申告が必要になる場合もあります。その場合とは売却した際に利益(譲渡益)が出たときです。

売却代金を受け取った相続人全員が確定申告をしなければいけません。

この換価分割のケースでは、NISA口座内の投資信託を移管した口座がたとえ「特定口座・源泉徴収あり」であっても、譲渡益が出れば確定申告を行う点に注意しましょう。

積立NISA口座と通常の口座で相続時の扱いはどう異なる?

こちらでは相続時の扱い、そして不明な点があるときの相談先について取り上げましょう。

積立NISA口座と通常の口座

被相続人が積立NISA口座内で投資信託を保有し、相続人も積立NISA口座を保有していても、相続開始時、被相続人の積立NISA口座の投資信託は、相続人の積立NISA口座に移せません。

被相続人が積立NISA口座で投資信託を保有していた場合、非課税措置がとられるのは相続発生日までです。

相続発生後は相続人の積立NISA口座ではなく、通常口座(特定口座か一般口座)に移管しなければいけません。

積立NISA口座での非課税措置は、あくまでも被相続人が生きている間です。相続開始時点ではもはや非課税として扱われず、その効果は相続人に継続されないのです。

不明な点は専門家に相談しよう

積立NISA口座に関する相続手続きや、被相続人から相続人への移管方法がよくわからない場合は、取引をしている金融機関(証券会社)のカスタマーセンターや、担当者とよく話し合い、手続きを進めましょう。

また、積立NISA口座の相続等に関する知識を有している、司法書士や税理士等の士業専門家へ相談するのも良い方法です。

積立NISAや投資信託の相続に詳しいかどうかは、士業専門家のホームページをチェックしてみましょう。積立NISA等に関する話題が豊富なら、その知識やアドバイスの経験が豊かな士業専門家と言えます。

【無料相談】相続に関するお悩みは相続診断士へ

相続は十人十色、十家十色の事情や問題があるもので、その解決策は一通りではないものです。

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この記事を監修したのは…

小林 裕

ジェニユイン・パートナーズ株式会社 取締役 / 一般社団法人証券相続普及協会 代表理事

小林 裕(こばやし ゆたか)

保有資格:証券外務員一種、終活カウンセラー、上級相続診断士

大学卒業後、準大手証券会社に入社。
新人賞、社長優秀賞などの数多くのタイトルを受賞。
その後、金融商品仲介業(IFA)に転身。
2020年12月、一般社団法人証券相続普及協会を設立。
2024年9月、『誰にでもやさしく教えてくれる 会社を退職する前に知っておくべき「退職金運用の基礎知識」』を出版し、Amazonランキング4部門1位を獲得。

サイトURL:https://www.genuine-partners.co.jp/

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