相続人の生命保険契約照会制度の利用には費用がかかる?手続き方法を解説!
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被相続人(亡くなった方)が生命保険に入っているか・契約内容を確認する方法!
相続が開始された場合、生命保険(死亡保険金)は相続財産とはみなされません。しかし、受取人に支払われる保険金は「みなし相続財産」として相続税の対象となります。
被相続人が亡くなったら、速やかに生命保険へ加入していたかどうか確認する必要があるでしょう。
生命保険に入っているかどうかを確認する方法として、主に次の4つがあげられます。
- 保険証書の確認:被相続人が生命保険契約をしていた場合、生命保険会社から交付される書類
- 預金通帳の履歴・クレジットカードの明細で確認:口座引落で契約していた場合は預金通帳の履歴、クレジットカード払い契約ならばカードの明細で確認可能
- パソコン・スマートフォンで確認:生命保険に関するマイページから確認が可能
- 生命保険契約照会制度を利用する:生命保険協会に生命保険の有無の照会を申請する
4つ目の「生命保険契約照会制度」は2021年7月1日に開始された新たな制度です。
保険証書をどこに保管しているのか見当もつかない、被相続人の預金通帳の履歴やパソコン・スマートフォンをみてもよくわからないという場合、頼もしい照会制度と言えます。
生命保険契約照会制度とはどのような制度?
生命保険契約照会制度は、2021年7月1日に開始されました。
こちらは生命保険協会に照会を行うと、照会の対象となっている人(被相続人等)の生命保険契約を一括して、協会が各生命保険会社に調査、その結果をとりまとめて回答をしてくれる制度です。
本制度を利用すれば、生命保険への加入の有無を正確に把握できるので、保険金の受取人の確認はもちろん、その請求が漏れなく行えます。
また、支払われる保険金は「みなし相続財産」として相続税の対象です。そのため、相続人が生命保険の存在を見過ごし、相続税の計算をしてしまうリスクも軽減できます。
生命保険契約照会制度の調査対象となる契約とは?
生命保険契約照会制度で調査ができるのは、個人向けの生命保険契約です。ただし、次の保険商品は調査対象外となります。
- 死亡保険金が支払済み、解約済み、失効している
- 財形保険契約:勤労者の計画的な財産作りを国や事業主が支援する保険の契約
- 財形年金保険契約:勤労者の計画的な財産作りを国や事業主が支援する年金保険の契約
- 既に支払いを開始している年金保険契約:被相続人が受給していた個人年金保険等
- 保険金を据え置いている保険契約
生命保険契約照会制度で被相続人が生命保険に契約しているとわかったなら、受取人が各生命保険会社のカスタマーセンターに問い合わせ、保険金の請求手続きを進めなければいけません。
相続人は全員生命保険契約照会制度を利用できる?要件を解説!
生命保険契約照会制度は誰でも利用できるわけではなく、利用できる人は次のように限定されています。
- 照会対象者の法定相続人:被相続人の配偶者や子供等
- 照会対象者の遺言執行者:被相続人の遺言を執行する人
- 照会対象者の法定相続人の法定代理人:後見人等、親権者、未成年後見人
- 照会対象者の法定相続人の任意代理人:弁護士、司法書士、行政書士
- 照会対象者の遺言執行者の任意代理人:弁護士、司法書士、行政書士
ただし、内縁関係の人は法定相続人に含まれず照会制度を利用できません。
また、任意代理人に関しては弁護士、司法書士、行政書士の士業専門家しか利用できないので注意しましょう。税理士、相続財産管理人・破産管財人からの照会は認められません。
相続人が生命保険契約照会制度を利用する方法を解説!
こちらでは、本制度の申請の流れと必要書類について説明します。
申請の流れ
本制度の申請は次のような手順で行います。
- 必要書類の準備
- 生命保険協会「初回登録ページ(契約照会システム)」にてユーザ登録を行う
- 契約照会システムにて必要事項を入力、必要書類を提出
- 制度利用料支払い
- 照会結果受け取り(利用料支払いから14営業日程度かかる)
入力事項や必要書類に不備があると、照会結果の受け取りも遅れてしまうので、慎重に手続きを進めていきましょう。
必要書類
被相続人の死亡による照会申請の場合は次の書類を準備します。
(1)共通
- 照会代表者の本人確認書類:運転免許証、マイナンバーカード等
- 照会対象者の法定相続情報一覧図(法務局認証済み):法務局に申請取得する、遺言執行者が申請する場合は不要
(2)法定相続情報一覧図が準備できない場合
- 生命保険協会所定の医師の診断書:代わりに除籍謄本または住民票の除票の提出も可能
- 照会代表者の現在の戸籍謄本等:本籍地の市区町村役場で取得(手数料450円)
(3)遺言執行者が申請する場合
- 被相続人の除籍謄本または住民票の除票:除籍謄本は本籍地の市区町村役場で取得(手数料750円)、住民票の除票は被相続人が最後に住んでいた地の市町村役場で取得(手数料300円)
- 遺言書(検認書付き)または遺言公正証書
- 照会代表者の印鑑登録証明書(3か月以内のも):住所地の市町村役場で取得(手数料300円)
(4)法定代理人が申請する場合
- 後見人等:記事項証明書(保佐人や補助人は更に代理行為目録)または審判書および確定証明書
- 親権者:被相続人の法定相続人の戸籍謄本
- 未成年後見人:被相続人の法定相続人の戸籍謄本または審判書
(5)任意代理人が申請する場合
- 弁護士、司法書士、行政書士の資格を有することを証する書類
相続人が生命保険契約照会制度を利用する際に費用はかかる?
被相続人の死亡による本制度の利用料は、1照会当たり3,000円(税込)となります。ただし、災害時は、費用無料で、申請は電話で行うことができます。
戸籍謄本や住民票の除票等の必要書類に手数料はかかりますが、基本的には照会代表者となった相続人が負担します。
なお、他の相続人と費用を分担し助け合って申請した方が、手数料負担で揉め事になるおそれもないでしょう。
相続人が生命保険契約照会制度を利用する前に確認しておくべき2つのこと!
こちらでは本制度を利用する前に確認するべき点についてとりあげましょう。
もう一度、保険証書等を探してみる
生命保険契約照会制度を利用すれば便利ですが、1照会当たり3,000円(税込)の負担となります。
そのため、被相続人の自宅や寝室等をいま一度探して、保険証書がないか確認してみましょう。また、預金通帳の保険料の口座振替履歴等でも確認が可能です。
本制度を利用しても、結局生命保険会社に問い合わせるのは受取人です。やや時間がかかる照会申請よりも、相続人が協力して保険証券等を探せば、手っ取り早く保険契約の有無を確認できるかもしれません。
エンディングノートに明記されていないか確認する
終活を進めていた被相続人の場合、家族への想いや葬儀、埋葬の希望等を記載した「エンディングノート」に、生命保険の情報や保険証券番号、受取人を明記しているかもしれません。
まずは被相続人の書斎等を探し、エンディングノートが保管されているかどうか確認してみましょう。
生命保険契約照会制度の申請や照会時に起こり得るトラブルとは?解決策を解説!
こちらでは、本制度の利用で想定されるトラブルや、本制度の相談は誰にすれば良いかを説明します。
生命保険協会は契約の有無を教えてくれるだけ
生命保険契約照会制度で被相続人の生命保険契約が判明しても、生命保険協会はその事実を知らせるだけで、契約内容の説明や保険金請求手続きも代行してはくれないので注意しましょう。
放置していては、いつまで経っても保険金は受け取れないままとなります。
そのため、照会代表者が電話等で、生命保険協会の生命保険契約照会制度の利用を生命保険会社に伝え、対応を相談する必要があります。
生命保険契約紹介制度に関する問い合わせ
TEL 03-3286-2648
受付時間
月曜日~金曜日(祝日・年末年始を除く)
9:00~17:00
士業専門家に相談しよう!
生命保険契約照会制度の不明な点があったり、葬儀や遺産調査の準備に忙しく本制度の申請が難しいときは、弁護士、司法書士、行政書士に相談・依頼をしましょう。
士業専門家として、相談者にわかりやすく本制度を説明してくれます。
また、弁護士、司法書士、行政書士は任意代理人として本制度の申請が可能です。彼らに依頼すれば、スムーズに申請手続きが行えるはずです。
【無料相談】相続に関するお悩みは相続診断士へ
相続は十人十色、十家十色の事情や問題があるもので、その解決策は一通りではないものです。
本記事で抱えている問題が解決できているのであれば大変光栄なことですが、もしまだもやもやしていたり、具体的な解決方法を個別に相談したい、とのお考えがある場合には、ぜひ相続のプロフェッショナルである「相続診断士」にご相談することをおすすめします。
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この記事を監修したのは…
合同会社RunSmile 代表社員 笑顔相続サロン®愛媛 代表 愛媛相続診断士協会会長
浜田 政子(はまだ まさこ)
長年保険業に携わっている経験を生かしい、生命保険、相続、終活などコンサル及びライフプラン作成を通じお客様へ常に寄り添い、悩みや相談、希望をお聞きし士業とともに解決へ導く道先案内人として愛媛より全国へ笑顔をお届けする活動しております。
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