おひとりさまの終活とは?老後に備えてやるべきことついて解説!
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おひとりさまの終活の特徴とは?計画的な準備や孤独死対策が必要!
最近よく耳にする言葉の「おひとりさま」とはどのような方の事を言うのでしょうか?
「おひとりさま」と言われて、まず「一人暮らしの方」の方を思い浮かべますが、実は事情は様々です。必ずしも生涯独身の方だけでなく、死別や離婚により単身になった方もいらっしゃいます。
中にはお子様や兄弟はいるものの、遠方に住んでいたり、あまり仲が良くなかったりで頼みにくいので一人で様々な事を考えておかなければならないという方もいらっしゃいます。
核家族化が進む中、単世帯の割合も増加しています。ご夫婦だけの世帯は、どちらかに万が一があると、「おひとりさま」になってしまうので、「おひとりさま予備軍」とも言われております。このように考えると、誰もが「おひとりさま」になる可能性があると言えますね。
それでは「終活」とはどのような事なのでしょうか?
「終活」には、人生の終わりを迎えた時に、周囲の方が困らないようにしておく事、延命治療の希望、葬儀や埋葬など自分らしい最期を迎えるための準備という意味があります。
ただ、筆者は「終活」の本当の効果は別にあると考えます。それは「終活」を行うと、これからの人生が輝いてくるという側面です。
「終活」を進める中で、自分らしい人生の最期を迎える準備が完了します。そうすると将来への不安が減る事で人生の最期が来るまでの今後の生活に目を向けやすくなります。
「終活」のなかで、感謝を伝えたい人や行ってみたかった場所、人生でやり残している事などが思い浮かび今後の人生の目標が増えていきます。「終活」は終わりのための活動と同時に、これからの人生を前向きに楽しく生きるための活動とも言えるのです。
特に「おひとりさま」の場合、「終活」の重要度は高くなります。
亡くなった場合、葬儀やお墓の事はもちろんですが、役所への届け出等様々な事を誰かに依頼する必要がありますし、生前についても、「孤独死」を避けるための対策や「認知症」等になってしまった場合の対応をどなたに頼むかなど、多くの懸念事項があります。
更に、「おひとりさま」の場合、その準備をご自身で主体的に進める必要がありますので、なるべく早く元気なうちに準備を進める必要性は高くなります。
ご自身おひとりでの準備は、かなりの労力を必要としますので、周りの専門家に相談しサポートを求めるのも一つの方法だと思います。
おひとりさまの老後リスクとは?生前のリスクと亡くなった後のリスクについて解説!
それでは「おひとりさま」の老後リスクとしてどの様なお困りごとがあるか、生前と亡くなった後の両方で具体的に考えてみましょう。
生前に考えられるお困りごととは?
・ケガ病気等で入院する事になった場合病院に届ける保証人をどうするか?
・一人で自宅にいるとき動けなくなってしまった場合の対処方法。
・留守宅の管理をどうするか?
・もしペットを飼っていたら、ペットの世話をどうするか?
・体が不自由になってしまった場合、日常生活や財産の管理をどうするか?
・認知症になってしまった場合、施設等の入居や財産管理をどうするか?
など、様々なお困りごとが発生します。
亡くなった後のお困りごととは?
・葬儀や埋葬をどうするか?亡くなった事を伝えたい連絡先は?
・役所への届け出(死亡届や健康保険の届け出等)をどうするか?
・利用しているサービス(ガス・電気・電話・インターネット等)の解約手続き。
・ペットを飼っていたら、ペットの預け先をどうするか?
・遺された財産の相続方法(遺贈寄付等も含めて)。
・自宅の遺された遺品の整理をどうするか?
など、やはり沢山のお困りごとが発生することが分かりますね。
上記の通り、生前も亡くなった後も数多くのお困りごとが発生します。しかも、ご自身の意思を示したい事ばかりですよね。
これを見ていただくと、立つ鳥跡を濁さずではないですが、ご自身の意思でこの様なお困りごとが起きないように準備する事の大切さを判っていただけると思います。
おひとりさまの終活でやるべきことは?断捨離の進め方やエンディングノートに書く内容についても解説!
それでは、前項でお伝えしたお困りごとがなるべく起きないようにするため、やるべきことをお伝えします。
身辺整理・断捨離について
これは、元気な今しか出来ない事です。
明日認知症になってしまった場合、又は亡くなってしまったと想定して考えてみましょう。
整理しておきたいもの、断捨離したいものが見えてきます。
例えば
・生活用品や家具についても不要なものは無いか?
・金融機関の数やクレジットカードの数など、必要以上に保有していないか?
・必要性のない不動産を所有していないか?
・ペットを飼っている場合、その子の行先は?
など、人それぞれですが様々な事があります。
葬儀とお墓の準備
最期の時を迎えた場合、理想の追悼の仕方についてどの様な方法を望むでしょうか?
例えば
・亡くなったことを伝える連絡先(葬儀に来てほしいかどうかも含めて)とその方法。
・葬儀の方法と取り仕切ってもらう人(喪主)への依頼。
・遺影写真の準備。
・葬儀社をきめているか(互助会等への加入など)
・ご自身のお墓又は先祖代々のお墓が有るかどうか?そのお墓の墓守はどうしますか?
・お墓を購入しますか?最近では樹木葬や海洋散骨を選択される方もいらっしゃいます。
など、準備し意思表示しておく事で、周囲の方が困らないのと同時にご自身も理想とする送られ方が実現できます。
孤独死の対策
近年増えているのが「孤独死」です。文字通りの事ですが、亡くなっていることを周囲が気づかずかなりの期間を経て発見されるケースが増えています。
対策としては次の事が考えられます。
・老人ホームやサービス付き高齢者住宅の利用。
・地域のサークル活動やシルバー人材センターに登録し参加する。
・ご近所さんとのお付き合いを大事にする。
・自治体によっては、安否確認等で訪問活動を行っている自治体もあります。
・定期的にお弁当を宅配してくれるサービスもあります。
・セキュリティー会社では、様々なセンサー等で安否確認を行うサービスもあります。
・見守り契約を結び、定期的な安否確認を行うサービスもあります。
など、ご自身で出来ることから自治体や企業でも様々な「孤独死」を防ぐサービスを展開していますので、ご自身に合った方法で検討されるとよいと思います。
エンディングノートの作成
今まで案内してきた事をはじめとして、ご自身の理想の最期や想いを周囲に伝える方法の一つに、エンディングノートがあります。
一冊のノートに生前から無くあった後までのことをまとめておけますので、終活をしていくうえで欠かせないパートナーとなります。
エンディングノートについては、「過去」「現在」「将来」についてまとめていきます。
《「過去」について》
・自分のルーツや親族関係をまとめる。
家系図や親族関係図を作成する事で、法定相続人や後見人の候補、遺産分割先の検討等をすることはもちろん、ご自身のルーツを改めて確認できます。
・ご自身がどの様な人生を歩んで来たか振り返ってみる。
親御さんや親族の方はもちろんですが、学校関係など自分史を振り返る気持ちでエピソードや思い出を書き出してみます。自分の人生を振り返ってみる、いいきっかけになります。
《「現在」について》
・現在の交友関係
いざという時頼りたい人、連絡先等を記載します。
・財産関係(判り易くまとめるのと同時に、なるべく整理し必要最小限にしておく事が大事)
預貯金をしている金融機関の名前・支店名・口座番号等。
クレジットカードの枚数と保管場所。
有価証券を保有している場合は。証券会社名。
不動産について、種類や用途を詳細に。
公的な年金について、種類や基礎年金番号等。
保険について、保険会社や証券番号。
その他財産について
・医療関係
かかりつけのお医者さんや薬局。処方されている薬など。
《「将来」について》
最期の迎えた時の事について
葬儀や埋葬方法の希望
遺品の整理
遺贈や寄付等の希望
遺産の分割方法 など
現在から最期までの過ごし方
これから行ってみたい場所や会っておきたい人を思い浮かべる。
感謝の気持ちをまとめてみる。
※エンディングノートはこの様に様々な項目を記しておくことが出来ます。また、最期の時の準備をすることで気持ちが落ち着き、これからの人生の事をより深く考える事が出来、人生が充実していくことを実感される方も多くいらっしゃいます。
この様な実感から、筆者は、これからの人生の充実感を得ることが「終活」の最大の目的であると考えています。
遺言書の作成
遺言書は必要なのか?よくある質問です。
筆者は「遺言書は、100%の人が書いたほうが良いと思います」とお伝えしています。
人が亡くなられた後、その方が遺された財産は法定相続人が相続することになります。
その際、財産の分け方について、法定相続人全員で協議をします。
簡単に言うとこの様な順番です。
1.まずは、財産のすべてをテーブルの上に並べてます(イメージ)
2.次に誰が何をどのくらいもらうかを話し合いで決めます。
3.決めた結果で遺産分割協議書を作成します。
この遺産分割協議書が無いと、銀行の手続きや不動産の登記等の財産を動かす手続きは出来ません。
話し合いがすんなりと付くケースなら良いのですが、中には、不動産や宝石などきっちりと分けられない財産も数多くありますし、それぞれの相続人の思惑等もあり、揉め事も多くなります。
なかなか一筋縄ではいかない感じがしますね。相続で揉めた親族は、その後なかなか元通りにはならないと言います。
筆者は、打開策として遺言書をお勧めしています。
遺言書があれば、上記のような遺産分割協議自体を開く必要がないというメリットがあります。
同時に亡くなった方の遺志の通り財産を分ける事が出来ます。遺言書があれば揉め事も減りそうですし、ご自身の遺産をご自身の思った通りの方法で分ける事が出来ます。
100%の人に遺言書は必要という意味も判っていただけたかと思います。
おひとりさまの終活で行うべき手続きは?遺言状の作成や専門家との契約締結を検討しよう!
終活の希望の形が整ったら、その実現に向けての準備に入ります。
特におひとさまの場合、ご自身が亡くなったり動けなくなったりした後の事ですので、どなたか信頼できる人に頼んでおく必要があります。
その方法として、公正証書による契約が用いられるケースが多いです。その一例をご説明します。
財産管理等委任契約
気持ちはしっかりしているが、身体が不自由になってしまい誰かの助けが必要となってしまった場合に、様々な事を委任する人とあらかじめ結んでおく契約です。頼みたい人とその事柄を細かく設定し公正証書にて契約を結んでおきます。
任意後見契約
認知症等になってしまい、ご自身の意思では何もできなくなってしまった場合に後見人を頼みたい人と、その頼みたい内容も含め公正証書にて契約を結んでおきます。こちらは、公証人の嘱託により法務局に登記されることになります。
死後事務委任契約
亡くなった後の、役所への届けから葬儀埋葬、SNSアカウントの処理等に至る、亡くなった後にすべき事と依頼したい人を決めて公正証書で契約を結んでおきます。
遺言書
基本的に遺産を受け取ることができるのは法定相続人のみとなっています。
ただ、法定相続人以外に遺産を渡したいという方も、おひとりさまの中には多くいらっしゃいます。
例えば、生前お世話になった親戚の子供や会社、最近では慈善団体に寄付(遺贈寄付)を希望される方も多くいらっしゃいます。そのような場合は、遺言書にその旨を遺す事により希望を実現させることもできます。
遺言書も公正証書や自筆証書等いくつかの方法がありますが、確実性を考えると公証役場で公正証書を作成しておくことがベターではないかと思います。
おひとりさまに限らずですが、せっかく遺した遺言ですので、その内容の通り執行してくれる遺言執行者を指定しておくことも重要となります。
この項では、ご自身で描いた理想の最期と、そこまでの理想の生活を成し遂げるための様々な方法をお伝えしてきました。
この中で、重要なポイントを上げるとすれば、これらの対策はそれぞれが別々のように見えますが、一つの流れで繋がっているという事です。前提として理想とする終活があり、場面場面で活用する契約の流れがあります。
従って、これらを依頼するのは全てを同じ専門家や同じ人に依頼する事が重要です。
どこかを切り取って別の方にお願いすると、そこで理想とは違う方向にいかないとも限りません。
根底にある、ご自身の理想の終活を共に実現してくれる専門家や士業を選ぶべきでしょう。
ただ、中には専門の士業の先生にしかできない事もあります。何人かの士業の先生に入ってもらう必要があるケースもあります。
最近では「相続コンサルタント」と言って、様々な士業の先生と連携し、根底の理想の終活を1から10まで一緒に作り上げてくれる専門家もいます。
この様な専門家と手を取り合って一緒に作り上げていくのも一つの有効な方法かもしれません。
おひとりさまの終活を支援してくれる事業やサービスは?
最近では「おひとりさま」の終活を支援してくれる事業やサービスは増えています。
信託銀行の終活サービス
死後事務等トータルサポートを行うメニューがある信託銀行があります。
費用は数百万円〜となっています。
相続や終活等を専門に受ける行政書士さんや司法書士さん等の士業
士業の先生で専門的にやっていただけるのは安心ですね。
費用は項目により細かく分かれているケースが多いですが、数十万円から数百万円でしょうか。
相続・終活コンサルタント
前項でもお話ししました、相続・終活をトータル的にコンサルして、提携している士業の先生とともにチームで解決に導くスタイルでサポートをしている
費用は、数十万円からというところでしょうか。
自治体や社会福祉協議会
最近では自治体や社会福祉協議会でも「おひとりさま」対策に力を入れているところも増えています。まずは、住所地の自治体に相談をしてみるのも一つの方法だと思います。相談したうえで、上記の専門家とも連携するという方法も有効ではないでしょうか。
士業も通常は、初回は無料で相談できます。まずは大まかな話でもいいので相談をしてみる事が良いでしょう。その上でご自身が理想とする終活を成し遂げるための対策の内容や費用等を出してもらった上で、正式に依頼するかどうか決めたらよいと思います。
おひとりさまの終活についてもっと詳しく知りたい!終活本をご紹介!
最後に「おひとりさま」の終活本をいくつかご紹介して締めたいと思います。
終活は「おひとりさま」に限らず必要な事ではありますが、「おひとりさま」だからこそ、より大事な事であるという事を最後にお伝えしたいと思います。
このコラムを読んでいただいた方の多くの方がご自身の理想の終活をさし遂げられることを祈念いたします。最後まで読んでいただき有難うございました。
参考になる終活本(ご参考)
おひとりさまの終活 お困りごとは死後事務委任で解決 自分らしい最期を叶える本
家族に頼らない おひとりさまの終活〜あなたの尊厳を託しませんか
【無料相談】相続に関するお悩みは相続診断士へ
相続は十人十色、十家十色の事情や問題があるもので、その解決策は一通りではないものです。
本記事で抱えている問題が解決できているのであれば大変光栄なことですが、もしまだもやもやしていたり、具体的な解決方法を個別に相談したい、とのお考えがある場合には、ぜひ相続のプロフェッショナルである「相続診断士」にご相談することをおすすめします。
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この記事を書いたのは…
笑顔相続サロン®静岡代表、FP事務所 LP想暖や代表、保険代理店 有限会社シー・フィールド代表取締役
栗原 久人(くりはら ひさと)
上級相続診断士・終活カウンセラー・ファイナンシャルプランナー(AFP)生前整理カウンセラー・住宅ローンアドバイザー
ファイナンシャルプランナー歴・保険代理店経営歴共に20年、ライフプランや家計の見直し等の相談件数は2000件以上。
2019年笑顔相続サロン®静岡を開設 特に相続診断士×ファイナンシャルプランナー×終活カウンセラーの要素を活かした、終活+生前+相続のトータル対策を得意としている。
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