認知症が原因となる相続トラブルは起きやすい!事例と対処法を解説!

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遺産相続

相続人に認知症の方がいる場合の相続手続きはどうなる?

被相続人の相続人であれば、たとえ認知症を発症していても、相続権は失われません。

ただし、相続人が認知症の場合、遺産分割に関する次の方法がとれません。

  • 遺産分割協議に参加できない
  • 相続放棄ができない

遺産分割に関する判断・意思表示が十分にできない以上、遺産分割協議に出席し、他の相続人との協議は不可能でしょう。

遺産分割協議は相続人全員で行わなければいけません。認知症の相続人抜きで遺産分割協議をしても無効となります。

では「認知症の相続人が相続放棄をすれば良い。」と考える人がいるかと思います。しかし、相続放棄は判断能力が低下した状態では認められない方法です。

つまり、何らかの対応をとらなければ、相続手続きが全く進まない状態となります。

認知症の方がいる場合の相続で起きやすいトラブルのケースを紹介!

認知症の相続人がいると、遺産分割協議は全く進みません。そのため、次のようなトラブルが発生するおそれもあります。

家族の誰かが代理で遺産分割協議を進めてしまった

認知症の相続人が遺産分割協議に参加できないなら、家族が代理して話し合いを進めれば良い、というわけではありません。

なぜなら認知症の相続人の家族でも、法律で認められた正当な代理人(成年後見人)とは言えず、協議に参加する権限を持っていないからです。

家族が代理を務め遺産分割協議をしても、その協議は無効となってしまいます。

家族の誰かが勝手に署名・押印をした

認知症の相続人除き、相続人全員が遺産分割協議について同意していた場合でも「認知症にならなければ、この人もきっと同意しただろう。」と考え、家族が勝手に遺産分割協議書に署名・捺印してはいけません。

たとえ家族であったとしても代理権を有していなければ、遺産分割協議書に署名・捺印等をしてしまった場合、私文書偽造罪(刑法第159条)の罪に問われる可能性があります。

認知症の方がいる場合に起きた相続トラブルの事例と解決策!

こちらでは、認知症の相続人のため成年後見人を立てたものの、利益相反行為となる可能性があったので更に別の対応をとった、という事例を紹介しましょう。

認知症の母親のために子供が成年後見人に就任

母親が認知症となり、子供であるAさんが家庭裁判所に成年後見の申立てを行いました。Aさんは「自分が成年後見人になれば母親も安心する。」と考え、成年後見人等候補者に名乗り出ます。

家庭裁判所はその希望を認め、Aさんは母親の成年後見人に就任します。これで、母親のために医療機関・介護施設の入院(入所)・利用契約や、財産管理が行えます。

病気で入院していた父親が亡くなり相続開始

Aさんが母親の成年後見人に就任した後、かねてから重い病気を患い入院していた父親が亡くなってしまいます。そのため、相続が開始されAさん・Aさんの兄弟・認知症の母親が法定相続人となりました。

亡くなった父親は遺言書を作成しておらず、遺産分割協議をする必要が出てきました。

しかし、認知症の母親の代理人としてAさんが他の兄弟と共に協議を進めると、Aさんと認知症の母親との利害が対立してしまいます(利益相反行為)。

このような状況で無理に遺産分割を決めれば、遺産分割協議は無効となります。

特別代理人の選任へ

円滑に遺産分割協議を進めるため、Aさんは「特別代理人選任申立」を家庭裁判所に行います。

特別代理人とは、Aさん(成年後見人)と認知症の母親(成年被後見人)との間で、遺産分割(利益相反行為になるケース)が必要となった場合、選任される代理人です。

特別代理人は法定相続人と全く関係のない弁護士が就任したので、無事に遺産分割協議を実施できました。

なお、もしも成年後見人を監督する成年後見監督人がいた場合は、監督人が成年被後見人の代理人となります。

認知症になる前にやっておくべき相続対策2つ!

法定相続人となる立場の自分が、将来認知症になっても相続手続きへ支障が出ないよう、判断能力が十分あるうちに次の対策を検討しておきましょう。

任意後見制度を利用する

自分の判断能力があるうちに、信頼のおける人と任意後見契約を結び、事前に任意後見人となる人を選んでおく方法です。

自分の判断能力が低下したら家族や任意後見受任者(任意後見人となってもらう人)等が、家庭裁判所に「任意後見監督人選任申立」を行えば、任意後見の効力が発生します。

任意後見人には、家族はもちろん士業専門家や法人等も就任できます。将来、家族との利害対立(利益相反行為)を避けたい場合は、家族以外の人(または法人)を任意後見人に選びましょう。

家族信託制度を利用する

家族信託とは、自分が認知症になってしまう等、何らかの理由で財産を管理できなくなった時に備え、契約で信頼できる家族に財産管理の権限を与えておく制度です(家族信託契約)。

契約の方法は次の三者間で執り行われます。

  • 委託者(財産管理を託す人):自分
  • 受託者(財産管理を託された人):自分の子供等
  • 受益者(信託財産から生じた利益を受け取る人):自分となる場合が多い

家族信託を利用すれば、相続人が認知症になっても、受託者から財産を管理してもらえるので安心です。遺産分割協議も支障なく進められるでしょう。

既に認知症になってしまった場合の相続トラブル対策とは?

遺産分割協議には「相続開始から〇ヶ月以内に実施しなければいけない」という決まりはなく、認知症の相続人がいて、遺産分割協議を放置したままでもペナルティを課せられることはありません。

しかし、相続税の申告は基本的に、相続の開始があった事実を知った日の翌日から10か月以内に手続きをする必要があります。

相続税を申告・納税しなければいけないのに、その期限を経過しても申告手続きが行われなかった場合、税務署から指摘を受ける可能性もあるので注意しましょう。

こちらでは相続開始時、既に相続人が認知症となった場合の対策を説明しましょう。

成年後見(法定後見)制度を利用する

自分の判断能力が著しく低下したとき、家族等から家庭裁判所に「後見開始の申立」を行ってもらう方法です。

任意後見と違い、自分では後見人等を決められなくなりますが、代わりに家庭裁判所がふさわしい成年後見人を選んでくれます。

家族も後見人等に立候補できますが、遺産分割時に利益相反行為とならないよう、申立人は弁護士や司法書士等のような法律の専門家を候補者に選んでおいた方が無難です。なお、家庭裁判所側に候補者選びを任せても構いません。

法定相続分に応じて遺産を分配する

相続人が認知症になった場合、法定相続分に応じて遺産を分配するのも良い方法です。

法定相続分とは民法で定められた相続割合であり、その規定に従い、現金・預貯金は各相続人で分割できます。

ただし、相続不動産は法定相続割合に応じて共有する形となってしまいます。

共有者全員の同意がないと相続不動産の取り壊しや、売却もできません。認知症の相続人が正常な判断で同意できない以上、不動産を有効活用できないままとなり、放置されるケースも出てきます。

認知症が原因となる相続トラブルやお困りごとは専門家に相談しよう!

相続人が認知症になって、遺産分割が思うように進まない状態となったら、まずは弁護士や司法書士のような法律の専門家に相談しましょう。

相談者の悩みや希望をヒアリングし、法律の専門家の見地から有益なアドバイスを提案してくれるはずです。

また、認知症が原因となる相続トラブルの他、相続に関していろいろ悩みがあるなら「円満相続ラボ」を利用しましょう。円満相続ラボでは「相続診断士」の紹介を無料でサポートしてくれます。

相続診断士は、相続トラブルの解決方法や相続全般に深い知識を有する専門資格者なので、相談者の悩みへわかりやすくアドバイスを行ってくれるはずです。

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相続は十人十色、十家十色の事情や問題があるもので、その解決策は一通りではないものです。

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