兄弟姉妹間の遺産相続トラブルの事例や解決方法とは?
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ドラマの中だけじゃない?遺産相続トラブルは身近に起きています
ドラマなどで相続人となった方の遺産をめぐっての争いを見たことあると思いますが、それは作品として作られたものではなく実際に現実で起きていることです。
その原因となるのが、相続人となったとたん考えが変わり自分の取り分を有利に考えていく傾向があり、それが後の相続人間のトラブル争続に展開することになります。
相続の内訳としては
①現金、預貯金・・・33.8%
②土地(家屋)…25.1%
③有価証券・・・23.6%
④その他・・・17.5%
が挙げられ、現金、預貯金は円単位で分けやすいですが、土地(家屋)は分割しづらい資産です。
上記の割合比率では土地(家屋)が財産全体の4分の1を占めているため、相続トラブルが起こりやすくなるのがお分かりいただけると思います。
また相続トラブルが起きることにより裁判所への相談件数は平成12年は年間9万件だったのに対し、平成24年では17万件を超え10年間で2倍に増えました。
亡くなられた方は2倍には増えていないのに、トラブルが2倍に増えているのが傾向です。
平成28年にの家庭裁判所に持ち込まれた遺産分割事件のうち認容、調停成立件数は、遺産額1,000円以下の割合は33%、さらに5,000万円以下になると75%となっており、遺産総額が少なくても相続人の間で揉めることが多いことがわかります。
遺産相続で揉める家族・兄弟姉妹の特徴やその原因とは?
揉める原因は「相続トラブルは起きない」「家族、兄弟仲いいから心配ない」と言う思い込みの考えがトラブルを引き起こします。
・遺言書がない。
・遺産に不動産が含まれている。
・前婚の子供、認知された子供が相続人になる。
・遺産の分け方で意見が合わない。
・相手に連絡しても無視されたり話し合いが進まない。
・お互い感情的になって話が出来ない。
・どこに住んでるかわからない。
・連絡先を知らない。
・ここ数年会ってない。
などが、相続に関してよくある揉める兄弟姉妹の原因となっています。
兄弟姉妹が相続人になるケースとその相続割合をご紹介!
兄弟姉妹が相続人になるのは、被相続人(亡くなった人)に配偶者、子供、孫、親、祖父母が居ない時や既に他界など兄弟姉妹のみの場合は、兄弟姉妹が法定相続人になります。
兄弟姉妹の相続割合は相続財産全てです。兄弟姉妹が複数人いる場合は、相続財産の全てを兄弟姉妹の人数で均等に割ります。
また、配偶者がいる場合、他相続人の地位になる方がいれば兄弟姉妹の相続割合は変わります。
相続には順位があります。
配偶者がいる場合は常に相続人となり、次が子→直系尊属(父母、祖父母被相続人の直上)→兄弟姉妹となります。
下記表を参考にしてください。
相続人 | 相続する割合 |
配偶者のみ | 配偶者100% |
配偶者と子 | 配偶者2分の1、子(全員で)2分の1 |
配偶者と父母 | 配偶者3分の2、父母(全員で)3分の1 |
配偶者と兄弟姉妹 | 配偶者4分の3、兄弟姉妹(全員で)4分の1 |
実際にあった兄と姉妹間の遺産相続トラブルの事例と円満解決
トラブルの原因となる事例には
①兄弟姉妹から相続放棄を求められている。
②兄弟姉妹が遺産を勝手に使い込んでいた。
③遺言書が有効か無効かで意見が割れている。
④遺言の内容が偏っている。
⑤遺産を独り占め等、決められた相続分よりも多くの遺産を取得しようとする人がいる。
⑥特別受益について意見が割れている。
が挙げられます。特別受益とは相続人の中に、被相続人(亡くなられた方)から財産を送られるなど特別の利益を受けた者がいる場合に相続人が受けた利益のことを言い、被相続人の財産を相続人の間で分ける遺産分割では、大変重要な意味を持っている法律の規定です。
実際トラブルになった事例をみてみましょう。
相続関係図
相続人
・長男(離婚後実家暮らし)
・長女(20年前に結婚県外に家を建て住んでいる)
・次女(15年前に結婚後県内に家を建て住んでいる)
財産
・自宅不動産1,500万円(取得時)
・預貯金1,000万円
問題点と姉妹からの意見
・遺言書はなし
・姉妹はそれぞれ家があるので不動産はいらない。
・長男は実家に住み父親の介護をしていた。
・不動産が必要ない姉妹から預貯金だけの相続では少ないのと1,000万円を3人で分けるのは均等にならないので自宅を売り現金にして欲しい。
トラブルの詳細
母親が5年間前に肺がんで他界するまでの1年間、姉妹は兄に私たちが介護するので大丈夫と話していたので任せていたが、母親の死後、心臓の持病の悪化で入退院を繰り返す父親に姉妹が全くよりつかなくなった。
兄から姉妹に聞くと男親は何かと面倒だから見れないとの返答。
実親に対しての発言と家を建てる時には資金援助もしていたことを知っていて、何度か声かけをしたが、うなずくことはなく、兄1人で父親の介護をしていくようになった。
介護は、訪問看護の方やケアマネジャーさん達の協力もありこなすことは出来たが、1年の看護の末父が他界し、兄が心身共に疲れている際に姉妹からは「遺産の話をしよう。もちろん私達は貰えるから」と悲しみより先に遺産の言葉が出てきた。
その言葉を聞いた途端、怒りよりも父親の気持ちを考えないでいた、姉妹とは縁を切ろうと思ったそうです。
解決策
姉妹は結婚してから盆や正月には実家に来ることもありましたが、子供も出来ると家族の時間を優先していて実家の近くにいる次女もめったに来なくなり、会話はほとんどしていなかったため1度は縁を切ろうと思っていたお兄さん。父親が余命半年と診断されたころからほぼ毎日寝泊りを病院でしていた兄が父親から聞いた話を書き留めていたノートを無言で姉妹に差し出しました。そのノートの内容は以下です。
・病気になり迷惑をかけているがいつも思うのは子供達が幸せになること。
・子供達にはお金のことで苦労はしてほしくない。
・親が亡くなった後は3人仲良く助け合いをして欲しい。
・長男には墓と家は引き継いで親戚付き合いも任せたい。
・家族みんな笑顔で過ごして欲しい。
・孫の成長も楽しみだ。
・わずかの財産しか残すことが出来ないが揉めないように。
まとめ
父親と疎遠になっていた姉妹が兄の行動により父親の考えを理解することができ、仲直りできました。
遺産相続も姉妹の状況を見て兄から提案し解決できました。
また、遺言書はなかったが父親の気持ちが届いてトラブルからの円満解決になり、今は、親の命日やお彼岸には兄、姉妹揃ってお墓参りと仏壇に手を合わせるようになりました。
兄弟姉妹間の遺産相続トラブルを避けるための対策とは
被相続人が遺言書を残しておけば、その内容にしたがって相続手続きを進めていくのが原則です。そのため、遺産相続の手続きをするときに法定相続人同士で話し合いをする必要はありません。したがって、被相続人が遺言書を残しておけば、法定相続人同士の仲が悪くても、遺産相続手続きのトラブルを回避できます。
法定相続人とは民法で定められた被相続人の財産を相続出来る人です。
また、兄弟姉妹で認知や養子により相続人になる場合もあります。
兄弟姉妹でも普段から所在地や遠方でも生存確認など連絡先の交換もしてコミュニケーションをとることも大事です。
兄弟姉妹間の遺産相続トラブルが起こってしまった場合の相談先はどこ?おおよその費用も併せて紹介
相続トラブルの相談できる専門家と費用について
弁護士
法律業務全般で、相続のトラブルがあったときは、代理で交渉したり訴訟の代理人となったりしてもらえます。
・費用:初回は無料が多いですが、相談料は30分5,500円〜。着手金約20万円~約30万円で報酬額(解決されたときに支払う費用)は、相続で得られた経済的利益に応じた計算となります。
以下は弁護士への報酬費用の例です。
300万円以下は16%、300万円超え3000万円以下は10%+18万円
3000万円超え3億円以下は6%+138万円、3億超えは4%+738万円
司法書士
不動産の登記手続きを依頼することが多く、不動産がある場合の遺言書作成、裁判所に提出する書類の作成もしてもらえます。
費用:相続登記の報酬は安くても約6万6,000円からで、不動産の価値が高い場合は約15万円を超える事もあります。
税理士
税務申告の代理や申告書類の作成、税に関する相談です。
相続税申告の報酬は遺産総額の0.5%〜1.0%が相場です。
相続財産の総額 | 報酬額 |
~5,000万円以下 | 25万円(税込27.5万円) |
5,000万円~6,000万円以下 | 35万円(税込38.5万円) |
6,000万円~7,000万円以下 | 40万円(税込44万円) |
8,000万円から1億円以下 | 50万円(税込55万円)) |
相続人が複数いた場合は加算報酬があります。
例えば、報酬額が約25万円あれば、相続人2人目に関しては2万5000円(10%)から3万7500円(15%)になります。加算は4人までが限度とします。
また、非上場株式が相続財産に含まれていた場合は加算報酬が必要になります。
申告期限までが短い場合、相続税の申告を断られるケースや、受ける代わりに報酬の上乗せしている事務所もあるので、税理士に依頼するなら早いに越したことはないです。
行政書士
保険、公共料金の手続き、遺産分割協議書の代理作成、戸籍の収集、相続財産の確認、不動産がない場合の遺言書作成などです。
費用:相続基本報酬約6万円からで、戸籍、住民票取得は1通1,500円です。遺産分割協議書の作成や、財産目録、金融機関の預貯金の相続手続き、自動車の相続手続きは各3万円からで、有価証券の相続手続きは約3万5,000円からです。
専門家以外の相談先は、銀行、不動産会社、保険会社、役所、税務署、法務局、各地域で行われる民間の相談会などです。
最後に
遺産相続トラブルは各家庭で様々です。財産が貰える状態にあれば金額の大小ではなく主張が先にでてきます。
そのため、相続は起きてからではなく起きる前の対策が後々のトラブル回避に繋がります。また、遺言書がある場合、手続きなどの時間短縮にもなります。
戸籍の収集や推定相続人への連絡先の確認もしておくと良いでしょう。
いつ起きるかわからないことですが、専門家へ相談して対策や確認しておくのもおすすめです。
【無料相談】相続に関するお悩みは相続診断士へ
相続は十人十色、十家十色の事情や問題があるもので、その解決策は一通りではないものです。
本記事で抱えている問題が解決できているのであれば大変光栄なことですが、もしまだもやもやしていたり、具体的な解決方法を個別に相談したい、とのお考えがある場合には、ぜひ相続のプロフェッショナルである「相続診断士」にご相談することをおすすめします。
本サイト「円満相続ラボ」では、相続診断士に無料で相談できる窓口を用意しております。お気軽にご相談ください
この記事を書いたのは…
合同会社RunSmile 代表社員 笑顔相続サロン®愛媛 代表 愛媛相続診断士協会会長
浜田 政子(はまだ まさこ)
長年保険業に携わっている経験を生かしい、生命保険、相続、終活などコンサル及びライフプラン作成を通じお客様へ常に寄り添い、悩みや相談、希望をお聞きし士業とともに解決へ導く道先案内人として愛媛より全国へ笑顔をお届けする活動しております。
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