公正証書遺言を見せてくれない!開示請求する方法をわかりやすく解説!

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遺産相続

公正証書遺言を開示してくれない!対処法を解説!

被相続人が生前、法定相続人となる自分に遺言書の存在を話していたが、相続開始後に他の相続人から「遺言書はない。予定通り遺産分割で分ける。」と、言い張られるケースも考えられます。

特に被相続人と同居していた法定相続人は、遺言書の内容を確認する機会が多く存在します。

そのため、遺言内容を確認し、自分に不利な遺言内容と知ると、遺言書を隠匿したり破棄したりする可能性があるでしょう。

このようなケースでは、相続人間の話し合いでトラブルを解決するのが難しく、家庭裁判所に遺産分割調停を申立て、話し合いの場を裁判所に移し、解決を図る必要があります。

ただし、被相続人が公正証書遺言を残した場合は、他の相続人から遺言内容を見せてもらえなくても、公証役場で確認が可能です。

公正証書遺言は誰でも開示請求し見ることができる?

公正証書遺言とは、公証作用を担う公務員である「公証人」が、遺言者(被相続人)から遺言内容を口授(遺言内容をどのようにしたいか伝える)してもらい、それをもとに作成する遺言書です。

公正証書遺言は最も安全で信用性が高い遺言書

公正証書遺言は公証人が遺言書を作成し、原本は必ず公証役場に保管されます。

公証人という公務員が遺言者から遺言内容を聴いて作成するので信頼性は高く、遺言書は公証役場にも保管されるので、第三者から破棄や隠匿、改ざんされるリスクもありません。

そのため、公正証書遺言は最も安全に遺言を残す方法と言われています。

公正証書遺言は開示請求が可能

遺言書を他の相続人が見せてくれない場合でも、公証役場に公正証書遺言の謄本の請求を行い、公正証書遺言を見ることが可能です。

もしも、被相続人がどこの公証役場で作成したのかわからない場合は、まず最寄りの公証役場で「遺言検索の申出」をしましょう(ただし、平成元年以降の遺言書に対応)。

公証役場では遺言情報管理システムを活用し、無料で検索を行ってくれます。このシステムで公正証書遺言の有無や保管されている公証役場を見つけ出せます。

公正証書遺言の開示請求をする場合に必要な書類は?費用はどのくらいかかる?

開示請求を行う場合、申出人はまず提出書類の収集、申し出の際に費用を支払う必要があります。

提出書類は次のものを準備しましょう。

  • 遺言者の死亡がわかる書類(戸籍謄本・除籍謄本等):戸籍謄本等は本籍地の市区町村役場で取得、戸籍謄本(1通)450円・除籍謄本(1通)750円
  • 遺言者の相続人とわかる書類(戸籍謄本):戸籍謄本等は本籍地の市区町村役場で取得、1通450円
  • 申出人の本人確認書類:マイナンバーカード、運転免許証等または実印・印鑑登録証明書(発行後3か月以内)

検索自体は無料です。検索し公正証書遺言の存在が確認できた場合、更に謄本請求書(公証役場で取得)を提出すれば、公正証書遺言の謄本が取得できます。

費用は公正証書遺言の閲覧だけなら200円、謄本を取得する場合は1ページにつき250円かかります。

公正証書遺言の開示請求を行う手続きの流れを解説!

こちらでは開示請求の手順について説明しましょう。

  1. 必要な提出書類を収集
  2. 最寄りの公証役場で「遺言検索の申出」を行う
  3. 遺言情報管理システムで遺言者の公正証書遺言の存在が判明
  4. 遺言検索の申出をした公証役場に公正証書遺言があれば謄本を請求、遠方の公証役場に保管されていれば郵送で請求可能

手続きは最寄りの公証役場で遺言検索の申出を行い、その公証役場で公正証書遺言を保管しているのがわかれば、当日に謄本を取得できます。

公正証書遺言を開封した後の手続きを解説!内容に疑問がある場合はどうする?

公正証書遺言の謄本を取得できたなら、いよいよ遺言内容の確認です。基本的には、遺言の内容に従い相続手続きが進められていきます。

こちらでは、オーソドックスな手続きの流れ、遺言内容に疑問・不満がある場合の対処法について解説します。

遺言の内容に従い相続手続き

遺言に明記された法定相続人またはそれ以外の受遺者(遺産を贈与された人)は、それぞれ引き継いだ遺産を取得するため、相続手続きを進めます。

  • 預貯金を相続した人→被相続人の預貯金口座の解約
  • 不動産を相続した人→被相続人の不動産の名義変更登記の実施

公正証書遺言による遺産の分与なので、手続きを行う際、公正証書遺言の謄本を窓口に提示する必要があります。

なお、課税される遺産の総額が、相続税の基礎控除「3,000万円+600万円×法定相続人の数」を超える場合、原則そして相続税の納付・申告が必要です。

遺言の内容をみたら法定相続人の自分に遺産が分与されていない

特定の法定相続人に相続させないという遺言は有効です。ただし、法定相続人が遺産を全く受け取れないわけではありません。

遺産が分与されなかった法定相続人は「遺留分侵害額請求権」を行使し、自分の遺留分を侵害している相続人へ、遺留分(最低限相続で保障されている財産の金額)を請求できます。

ただし、法定相続人が被相続人の兄弟姉妹だった場合、遺留分は無いので注意が必要です。

公正証書遺言の内容に法定相続人の誰もが納得していない

法定相続人の誰もが遺言内容に不満を持っている場合は、公正証書遺言に従い遺産を分与する必要はありません。

法定相続人全員の合意で「遺産分割協議」で分割内容を決める方法もあります。遺産分割協議後は「遺産分割協議書」を作成し、法定相続人全員の署名・押印をしましょう。

一方、公正証書遺言で法定相続人以外の受遺者が明記されていれば、原則として遺言内容に従います。なぜなら、遺言に従わないと、法定相続人以外の受遺者の権利を無視することになるからです。

ただし、法定相続人以外の受遺者が遺贈の放棄をした場合、遺産分割協議を行えます。

公正証書遺言を作成していたころ、遺言者は認知症を患っていた

公正証書遺言では遺言者が認知症を患い、その遺言者の口授に関して、有効性が疑われる可能性もあります。

公正証書遺言を争う場合は、裁判所にて「遺言無効確認請求訴訟」を提起します。

ただし、認知症の症状があるとはいっても、その症状のある方々の口授による公正証書遺言が全て無効となるわけではありません。

遺言者本人の言葉で財産を

  • 誰に対し
  • どのように処分(譲渡)するのか

を明確に伝えた場合、有効な公正証書遺言と裁判所が判断する可能性は高いです。

しかし、公証人が事前に作成していた遺言公正証書案を、病室で横になっていた遺言者へ見せながら、項目ごとにその要旨を説明、この内容で良いか単に確認を求めたというケースの場合、公正証書遺言が無効と判断されてしまいます。

なぜなら、公証人の質問に遺言者がうなずいたり「はい」と返答したりしても、遺言の内容を遺言者自らが語るような口授とはいえないからです。

公正証書遺言の口授の有効性が争われた裁判では、本当に遺言内容を理解し、その通りの遺言をする趣旨の発言かどうかに疑問が残り、遺言者の真意の確保のために必要とされる口授とはいえない、という判決が下っています(大阪高裁平成26年11月28日判決)。

公正証書遺言によるトラブルが起きた場合は専門家に相談しよう

公正証書遺言について相続人間でトラブルが発生しそうな場合、法律の専門家である「弁護士」に相談してみましょう。

弁護士は相続争いの当事者の間に入り、話し合いの調整・交渉をお願いでき、穏便に解決できるようなアドバイスも提供してくれます。

また、話し合いがまとまらず裁判となった場合は、弁護活動を依頼した相続人の立場にたって、公正証書遺言に関する主張・立証へ尽力してくれるはずです。

また、公正証書遺言をはじめとした相続全般にわたる悩み、不明点・不明点があれば「円満相続ラボ」を利用しましょう。円満相続ラボでは「相続診断士」の紹介を無料でサポートしてくれます。

相続診断士は相続全般に深い知識を有する専門資格者なので、相談者の悩みへ適切なアドバイスを行ってくれるはずです。

【無料相談】相続に関するお悩みは相続診断士へ

相続は十人十色、十家十色の事情や問題があるもので、その解決策は一通りではないものです。

本記事で抱えている問題が解決できているのであれば大変光栄なことですが、もしまだもやもやしていたり、具体的な解決方法を個別に相談したい、とのお考えがある場合には、ぜひ相続のプロフェッショナルである「相続診断士」にご相談することをおすすめします。

本サイト「円満相続ラボ」では、相続診断士に無料で相談できる窓口を用意しております。お気軽にご相談ください

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