相続関係説明図とは?作成のメリットや書き方を徹底解説
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相続関係説明図(家系図)とは?相続関係説明図は必ず必要なの?
相続関係説明図は被相続人と、その人の遺産を相続する全ての相続人を明記する図表です。この図表は、相続が発生する際に必ず作成する義務はありません。また、どのような形で作成するかは法律で明記されておらず、手書きやパソコンで作ることが可能です。
しかし、被相続人の預貯金解約や払い戻しの際、金融機関から相続関係説明図の提出を要求されるケースがあります。また、相続人間で遺産分割の話し合いが上手くいかず、家庭裁判所で遺産分割調停を申し立てる際、この図表を作成・提出する必要があります。
相続関係説明図に明記する関係者
被相続人の相続人となる方々を全て明記します。その他、被相続人と離婚した元配偶者についても記載します。元配偶者には相続権はないものの、遺産相続の権利関係を明確にする必要があるためです。なお、被相続人と前配偶者との間に生まれた子は相続権があるのでこちらも記載します。
また、相続発生の際に相続放棄をした人も、相続放棄した旨を明記し相続関係説明図へ記載します。これで相続放棄をした人がいて、その方が相続人とならないことを一目で確認できます。
法定相続情報一覧図との違い
法定相続情報一覧図とは、法務局で「法定相続情報証明制度」に基づき作成される相続の相関図のことです。2017年5月に開始された比較的新しい制度です。
この一覧図を作成し法務局へ提出し登記職員のチェック後、問題が無ければ認証文のついた一覧図の写しが交付されます。そのため証明力が高く、いろいろな相続手続きの際、この一覧図のみで相続関係を証することができます。つまり、戸籍謄本等の添付書類は不要となります。
相続関係説明図を作成するメリットとは?将来の相続手続きは円滑に!
相続関係説明図を作成するメリットは主に次の3点です。
(1)相続人を明確化できる
被相続人の相続人が多い場合、被相続人が離婚・再婚したり養子縁組を行ったりした場合等、関係性が複雑でも、相続関係説明図を作成すると法定相続人となる人、ならない人がすぐにわかります。
(2)相続手続きが円滑に進む
相続関係説明図を作成していれば、被相続人と相続人との関係が一目でわかるので、手続きを担当する第三者は非常に助かります。土地・建物の名義変更や金融資産(預貯金・有価証券)の相続手続き等が、スムーズに進むはずです。
(3)費用面での負担軽減
相続関係説明図があれば、提示した戸籍謄本は後日返却され手続きの費用が抑えられます。相続手続きでは被相続人と相続人の戸籍謄本が必要です。戸籍謄本は1通450円かかります。
相続関係説明図がないと、相続手続きの際に公的機関や金融機関の窓口へ渡した戸籍謄本が返却されません。そのため、手続きの度に戸籍謄本を取得し提出する必要が出てきます。相続関係説明図を提示できれば、このような手間も省くことができます。
相続関係説明図(家系図)は自分で作成できる?必要書類や作成方法をわかりやすく解説!
相続関係説明図はご自分で作成が可能です。作成の際、行政へ許可を求める必要は無く自由に作成できます。こちらでは、作成時の必要書類や作成方法を解説します。
相続関係説明図の作成に必要な書類
必要な書類は被相続人と相続人でそれぞれ異なります。
(1)被相続人の場合
出生から死亡までのすべての戸籍謄本等を準備します。
・被相続人の最後の本籍地
・被相続人の最後の住所
・被相続人の出生日
・被相続人の死亡日
・被相続人の氏名
が明記されていなければいけません。
(2)相続人等の場合
相続人等全員の戸籍謄本や住民票を準備します。
・相続人等の住所
・相続人等の出生日
・被相続人との続柄
・相続人等の氏名
が明記されていなければいけません。
作成の際に市区町村から収拾した資料は、相続手続きの際も相続関係説明図と共に窓口へ提示する必要があります。作成を終えてからも大切に保管しておきましょう。
相続関係説明図の作成方法
作成の流れは次の通りです。
(1)被相続人の戸籍謄本を収集
被相続人の出生から死亡までのすべての戸籍謄本を集めます。なお、戸籍謄本は被相続人の本籍地である市区町村から取得します。
取得した戸籍謄本で相続人は何人いるか、離婚歴・再婚歴があるか、離婚した元配偶者との間に子がいるかどうか等を把握します。
(2)相続人等の戸籍謄本・住民票を収集
相続人全員の戸籍謄本を集めます。たとえ相続人が被相続人より先に死亡していたとしても、相続人に子がいれば、その子が被相続人を代襲相続することになります。この場合は代襲相続人の戸籍謄本も必要です。
(3)被相続人・相続人等の相続関係説明図を作成
相続人調査を行い、戸籍謄本等で得た関係者の情報を図表にして記載します。手書きやパソコンで作成できます。
被相続人の場合、氏名、最後の本籍地、住所、出生日、死亡日を記載します。相続人の場合は氏名、出生の年月日、住所を記載します。相続人が死亡している場合は死亡日も記載します。また、相続する財産を明記しても良いでしょう。
作成の具体例は次の通りです。
被相続人と配偶者との間は二重線で記載し、その子たちは一本線で繋げます。手書きやパソコンいずれでも同じように作成します。横書きではなく縦書きにしても構いません。
知っておくべき相続関係説明図(家系図)作成時の注意点とは?
相続関係説明図は法律によって作成の形式が厳格に規定されていません。しかし、作成の際に注意するべき点があります。
戸籍謄本や住民票に記載している氏名・住所等を記載
被相続人・相続人の名字が旧字体である場合は要注意です。例えば「澤」→「沢」、「髙」→「高」で記入しても、通常ならば修正を求められないことが多いです。
しかし、相続関係説明図は被相続人や相続人の存在を明記し、相続手続きを進める大切な書類となるので、戸籍謄本や住民票に記載されている名字を明記しなければいけません。つまり旧字体で記載されていれば、やはり旧字体で氏名を書き込む必要があります。
住所の場合も同様で、「〇ー〇ー〇」等の省略した記載ではなく「〇丁目〇番〇号」と、戸籍謄本や住民票で記載された通りに相関図へ書き込みます。
正確に氏名・住所を書き込まないと、行政や銀行等の窓口の職員から、不正確な相続関係説明図と指摘され、手続きに応じてくれないこともあります。
相続や遺産分割を明示した方が良い
相続人が非常に多い場合、相続関係説明図を作成すると、遺産分割協議で誰が土地・建物の不動産資産を相続したのか、わからなくなることもあり得ます。
そのため、必ずしも記載する義務はないのですが、不動産資産を相続した人の氏名に「相続」と添え書きし、不動産資産を相続しない人の氏名に「遺産分割」と添え書きした方がわかりやすいです。
なお、相続放棄をして、被相続人の遺産を引き継がない人がいたら、その人の名前に「相続放棄」と添え書きします。
相続関係説明図(家系図)のテンプレートはある?おすすめのシステムソフトも併せてご紹介!
相続関係説明図(家系図)のテンプレートは、インターネット等で無料・有料のテンプレートが提供されています。ご自分で手書きやパソコンで一から作成するのが難しいと感じたら、テンプレートを購入して作成した方が良いでしょう。
おすすめの相続関係説明図作成ソフト
こちらでは、無料・有料の相続関係説明図作成ソフトを紹介します。
(1)相続関係説明図01
「bizoceanβ版」の無料相続関係説明図作成ツールです。基本的な作成機能が揃っています。
・料金:無料
・サイト:「https://www.bizocean.jp/doc/detail/101992/」
(2)PM相関
「株式会社プロデュースメディア」が提供する有料の相続関係説明図作成ソフトです。全ての機能を7日間無料で利用できます。
・料金(税込):1ライセンス20,200円
・サイト:「http://www.producemedia.co.jp/pm_soukan/」
(3)そうぞく工房4
「株式会社リプロ」が販売する有料の相続関係説明図作成ソフトで、無償で利用可能なフリー版も用意されています。地方自治体や法律事務所等で幅広く使用されています。
・料金:フリー版あり、製品版の料金は問い合わせ
・サイト:「https://www.nissin-skr.co.jp/souzoku/index.html」
相続関係説明図を専門家に依頼する
相続関係説明図の作成は弁護士や司法書士、行政書士が対応できます。料金の目安は30,000円程度です。また、相続手続きに関する依頼を行う際、その報酬に相続関係説明図の料金が含まれていることもあります。
なるべく手間をかけず、相続関係説明図を作成したいのなら専門家に頼んだ方が良いでしょう。作成に慣れており、正確な図表を完成させることができるはずです。
【無料相談】相続に関するお悩みは相続診断士へ
相続は十人十色、十家十色の事情や問題があるもので、その解決策は一通りではないものです。
本記事で抱えている問題が解決できているのであれば大変光栄なことですが、もしまだもやもやしていたり、具体的な解決方法を個別に相談したい、とのお考えがある場合には、ぜひ相続のプロフェッショナルである「相続診断士」にご相談することをおすすめします。
本サイト「円満相続ラボ」では、相続診断士に無料で相談できる窓口を用意しております。お気軽にご相談ください
この記事を監修したのは…
司法書士
猿田 稚篤(さるた のりあつ)
司法書士の手腕は、お客様に何が起こっているのか、お客様が何を欲しているのか汲み取り、把握することによって、お客様がとるべき法律の手続きを導き出すことにあると考えます。
①誠実な対応を尽くす②依頼者の話をとことん聴く③司法書士としての圧倒的な法律知識を持つ
開業以来この3つのスタイルを貫き通しています。
サイトURL:https://saruta-legal.jp/